Bert Janschをレコードで聴く完全ガイド:おすすめ盤・プレス選びと聴きどころ
イントロダクション — Bert Jansch とレコードで聴く意味
スコットランド出身のギタリスト/ソングライター、Bert Jansch(バート・ヤンシュ)は、1960年代英国フォーク復興を代表する存在です。彼のアコースティック・ギターのフィンガーピッキング、伝承曲の解釈、そしてオリジナル曲の佇まいは、後のギタリストに多大な影響を与えました。ストリーミングやCDでも良いのですが、アコースティック楽器の生々しいニュアンス、弦の微細なアタック感や余韻、古いマスタリングの空気感はアナログLPでこそ味わいやすい面があります。本稿では「レコード」にフォーカスして、入手・比較・再生の観点からおすすめ盤とその聴きどころ、コレクター向けの注意点まで詳しく解説します。
おすすめレコード(ソロ作品) — 必携盤とそのポイント
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Bert Jansch (1965)
デビュー作にして代表作。トラディショナルとオリジナルが混在し、彼の指の動きと歌が裸で聴けます。レコードでの魅力はマイク前での直接録音の空気感。おすすめはオリジナルUK Transatlantic盤(黒ラベル/初期プレス)の入手です。ジャケット状態と盤質で評価が大きく変わるため、盤面のノイズとスクラッチを必ずチェックしてください。
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It Don't Bother Me (1965)
デビュー直後の続作で、ブルースやジャズの要素が見え隠れするアレンジが魅力。ソロ・ギターの表現がさらに広がっています。オリジナル盤はトランスアトランティックのプレスが好まれます。モノラル盤とステレオ盤が存在するため、どちらのサウンドを好むか事前に確認を。
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Jack Orion (1966)
伝承バラッドの大曲を大胆にアレンジした意欲作。「Jack Orion」など長尺のトラディショナル解釈が聴きどころ。オリジナルLPは物語性のある曲の空間表現が良く、カッティングの深さも楽しめます。初期プレスはコレクター需要が高めです。
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Nicola (1967)
メロディ重視の曲が増え、ソングライターとしての側面がはっきりと表れる名盤。アコースティックの響きを繊細に記録したマスタリングが特徴で、良好な盤で聴くとヴォーカルの質感が生々しく伝わってきます。これもオリジナルのTransatlantic盤が基本ですが、リマスター再発で品質が改善されている盤もあるので聴き比べを推奨します。
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Birthday Blues (1969)
よりバンド志向のアレンジを試みた作品で、ベースやドラムが絡むトラックが存在します。ソロ作の延長線上にありつつ多様性が出た一枚。オリジナル盤はやや入手しにくいものの、状態の良い当時物は音に厚みがあります。
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Rosemary Lane (1971)
より落ち着いた、室内楽的な趣もある作品。アコースティック・トーンとアレンジのバランスが良く、リスニング向け。日本プレス(存在する場合)は盤質が良いことが多いので、入手可能なら候補に入ります。
Pentangle やコラボ作品 — 併せて押さえるべきレコード
Bert Jansch は John Renbourn とともに Pentangle を結成し、グループとしても重要なアルバムを残しました。ソロと並行して聴くことで彼の表現の幅が理解できます。特におすすめ:
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The Pentangle (1968)
フォーク・ジャズ的なアンサンブルが魅力。レコードでの定位感、楽器間の距離感を確かめてください。
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Basket of Light (1969)
代表曲「Light Flight」を含むヒット作。放送使用やコンパクトな編成でも存在感を示すサウンドが魅力で、オリジナルの英国プレスは人気です。
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Bert and John (1966)
John Renbourn とのデュオ盤。二人のギターの織りなすインタープレイが楽しめ、ギター音像の再現性が高いアナログ盤で聴くと格別です。
プレス/エディション選びの実務的アドバイス
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オリジナル盤(初期プレス)と再発の違い
オリジナル盤は当時のマスターとアナログ機器でカッティングされた音の質感があります。ただし経年劣化やノイズが問題になることも。近年のリマスター再発はノイズが少なくクリアですが、音色の「質感」が変わることがあります。両方を聴き比べられれば理想的です。 -
レーベルとラベルデザインで識別
Bert Jansch の初期は主にTransatlanticレーベルが原盤です。レーベルのロゴや盤の刻印(runout/deadwax)を確認してオリジナルか再発かを見分けましょう。 -
モノラル vs ステレオ
作品によってはモノラル盤が初期に出ていることがあります。モノラルは中央に定位する力強さがある一方、ステレオは楽器の広がりを楽しめます。曲によって好みが分かれるため、好みで選んでください。 -
日本盤・高品質プレス
日本のアナログ盤(もし存在するなら)は一般にプレス品質が高い傾向があります。帯(OBI)や国内ライナーの有無もコレクション価値を高めます。 -
盤質のチェックポイント
盤面の光沢、スクラッチ、センターホールの摩耗、ジャケットの角傷やリングウェア、付属インナー(歌詞カードなど)の有無を確認。通販で買う場合は高解像度の写真で状態を必ず確認しましょう。
購入のコツと相場感(参考目安)
相場は盤のコンディション、プレス、オリジナリティによって大きく変動します。一般的には:
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初期オリジナルUK盤(良好)=コレクター価格が付くことが多い
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良状態の再発LP=手頃で音質・利便性が高い
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レアプレスや日本初回盤=付加価値あり
具体的な金額は盤質と流通状況に依存するため、購入前にDiscogsや専門ショップの出品履歴をチェックするのが確実です。
実際の視聴・再生設定のポイント
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カートリッジと針圧
アコースティック主体の作品は中高域の解像度が重要。コンプライアンスの合ったカートリッジと適切な針圧で弦の立ち上がりを捉えましょう。トラッキング性能の良い針先を使うと細かなニュアンスが出ます。 -
ターンテーブルの振動対策
アコースティック楽器の余韻や微細なノイズを拾わないよう、設置場所とアイソレーションに配慮してください。 -
クリーニング
ビニール特有の表面ノイズを減らすために、購入後はレコードクリーナーやブラシで丁寧に掃除します。中古盤は特に念入りに。
リスニング順のおすすめ
初めてレコードでBert Janschを聴くなら、まずは「Bert Jansch(1965)」で彼の指弾きと声の佇まいを掴み、次に「Jack Orion」や「Nicola」でアレンジの幅を確かめる。Pentangle の「Basket of Light」へ進めばグループでの化学反応が楽しめます。ソロ→デュオ(Bert and John)→Pentangleの流れで聴くと彼の表現領域の拡がりが分かりやすいです。
保存とメンテナンス(長期保管の実践)
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直射日光、高温多湿を避ける。理想は15〜20℃、湿度40〜60%。
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盤は立てて保管し、重ね置きは避ける。
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長期保存用スリーブ(内袋)に入れて埃と摩耗を防ぐ。
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高価なオリジナル盤は定期的に状態をチェックし、必要なら専門店でのクリーニングを検討。
まとめ — レコードで聴くBert Janschの魅力
Bert Jansch の音楽は繊細で人間味があり、アナログLPはその息遣いや楽器の自然な響きを豊かに伝えてくれます。オリジナル盤の風格、再発盤の利便性や音質改善、それぞれに良さがあるので、目的(鑑賞重視かコレクションか)を明確にして選ぶのがコツです。特に初期作品とPentangle関連はレコードで手に入れておく価値が高いと言えます。盤の状態確認、ラベル・刻印の見分け方、再生環境の整備を押さえつつ、自分だけの一枚を見つけてください。
参考文献
- Bert Jansch — Wikipedia
- Bert Jansch — Discogs
- Bert Jansch — AllMusic
- Pentangle — Wikipedia
- Vintage Vinyl & Record Collecting Resources
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