Orbitalのおすすめアルバムガイド|年代別必聴盤とレコードで楽しむ聴きどころ
はじめに — Orbitalという存在
Orbital(オービタル)はイギリス出身の兄弟デュオ、ポールとフィル・ハートノルによるエレクトロニック/テクノの旗手です。1989年から90年代にかけてのレイヴ/クラブ文化を背景にありながら、ダンスフロア向けのトラックと長尺のアンビエント性を両立させた作品群で知られ、シンセやサンプラーを駆使したドラマティックな楽曲構築が特徴です。本コラムではレコード(アルバム)として特におすすめしたい作品をピックアップし、それぞれの魅力と聴きどころを深掘りします。
おすすめアルバム一覧(概観)
- Orbital(1991) — デビュー作/“Green”と呼ばれる初期の名刺代わり
- Orbital(1993) — セカンド(“Brown”と呼ばれる)/ 表情が広がった進化形
- Snivilisation(1994) — よりダークで知的な側面を強調した作品
- In Sides(1996) — 最高傑作と評されることの多い、感情表現と構成の完成形
- The Middle of Nowhere(1999) & The Altogether(2001) — 90年代末の実験とポップ感覚
- Wonky(2012)/Monsters Exist(2018) — 再結成以降の現代的サウンド
Orbital(1991) — 原点と衝動
特徴:デビュー作。初期シングルのエッセンスをまとめたアルバムで、シンプルながら印象的なシンセリフや反復フレーズが耳に残ります。当時のレイヴ文化と地下クラブの熱気がそのまま凝縮された一作。
- 聴きどころ:イントロで惹きつけるメロディ、リズムの直線的な推進力、初期の代表曲群(例:ChimeやBelfastなど)に触れられる点。
- おすすめの聴き方:当時のシングル感覚とアルバムとしてのまとまりを往復して聴くと、彼らのサウンドの核が見えてきます。
Orbital(1993) — 表現の幅を広げた第二幕
特徴:デビューからさらに表現の幅を広げた作品。アンビエント志向のトラックや、より複雑なアレンジを取り入れ、クラブ音楽としてだけでなく「アルバム作品」としての完成度を高めています。
- 聴きどころ:ダイナミクスの強い構成、音色の細かな重ね、長尺トラックの中で展開される物語性。
- おすすめポイント:90年代初頭のブレイクビーツ〜テクノの文脈を感じつつ、メロディックで聴き応えのあるトラックが並ぶため、入門から掘り下げまで幅広く楽しめます。
Snivilisation(1994) — ダークで知的な側面
特徴:より野心的で社会的なテーマや重厚なサウンドプロダクションが際立つアルバム。クラブ寄りの要素と、時にメッセージ性を帯びた楽曲が混在します。
- 聴きどころ:硬質なリズム、深みのあるシンセ、緊張感を生む構成。ダンスフロアの「前線」に立つためのエッジの効いた曲が多いです。
- おすすめポイント:Orbitalの“攻め”の側面を知りたい人に最適。パフォーマンス的な強度を感じられます。
In Sides(1996) — 感情と構築美の融合(必聴)
特徴:多くの批評で彼らの代表作とされることが多いアルバム。長尺トラックにおける緩急の付け方、メロウな瞬間とピークの対比、繊細な音作りが高い次元で融合しています。
- 聴きどころ:アルバム構成の緻密さ、叙情性とパワーの両立。ダンスとリスニングの境界を自在に行き来する楽曲群。
- おすすめポイント:Orbitalを深く理解する上で最も語られる作品の一つ。初めて聴くならここから入るのも良い選択です。
The Middle of Nowhere(1999)/The Altogether(2001) — 末期90sの実験と拡張
特徴:90年代末期のエレクトロニカ的な拡張を受けた作品群。ポップス的な要素やオーケストレーション、ゲストワークを取り入れつつ、独自の世界観を保っています。
- 聴きどころ:実験性と親しみやすさのバランス、サウンドスケープの拡大。
- おすすめポイント:90年代後半〜2000年代初頭のシーンの変化を追ううえで興味深い一連の作品。
Wonky(2012)/Monsters Exist(2018) — 再結成後の現在形
特徴:活動再開後の作品では、現代的なビートやプロダクションを取り入れつつ、Orbitalらしいメロディックな感性は健在です。社会的・政治的なテーマにも踏み込む場面が増えました。
- 聴きどころ:現代のダンスミュージックと90年代からの文脈が交差する点。新しいリスナーにも響くポップな側面と、彼ららしい深みが共存しています。
- おすすめポイント:最新作を通して彼らの進化を追いたい人、またライブでの表現力に興味がある人に。
どの盤を選ぶか(購入ガイド的観点)
入門者には「In Sides」や初期セルフタイトル(1991/1993)のような代表的作品がおすすめです。よりディープに掘りたい場合は「Snivilisation」でダークな側面、「The Altogether」で実験的要素を確認すると良いでしょう。再結成後の作品を聴けば、現在のシーン感や彼らの音楽的成長も把握できます。
最後に — なぜレコードで聴くべきか(簡潔に)
Orbitalの作品はトラックごとの構成や音の層が緻密で、アルバムとして通して聴くことで物語や起伏が明確になります。作品ごとの時代背景や制作意図を踏まえつつアルバム単位で聴くと、彼らの表現の変遷がより鮮やかに感じられるはずです。
参考文献
- Orbital 公式サイト
- Orbital - Wikipedia
- Orbital | AllMusic
- Orbital | Discogs(ディスコグラフィ)
- Pitchfork - Orbital 関連記事
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