Paul Butterfield Blues Band必聴レコードガイド:デビュー盤〜East‑Westの聴きどころと再発・オリジナルの選び方

はじめに — なぜ今、Paul Butterfield Blues Band を聴くべきか

Paul Butterfield Blues Band(以下PBBB)は、1960年代のアメリカにおいてシカゴ・ブルースとロック、ジャズ的即興をつなげた重要なバンドです。白人と黒人のミュージシャンが同じステージで本格的なブルースを演奏し、ギターのマイク・ブルームフィールドやポール・バターフィールド本人のハーモニカが当時のロック/フォーク・リスナーに強烈な影響を与えました。本コラムでは「どのレコードを買うべきか」「各アルバムの聴きどころ」「盤の選び方(どの再発を狙うか)」を中心に深掘りします。

おすすめレコード(必聴盤)

  • The Paul Butterfield Blues Band(1965)

    バンドのデビュー作で、シカゴ・ブルースを直球でロックの文脈に持ち込んだ一枚。力強いヴォーカルとポールのハーモニカ、マイク・ブルームフィールドのギターが若いエネルギーでぶつかり合います。ブルースのカヴァーとオリジナルが混在し、バンドの核となるサウンドとスピリットが詰まった作品です。

    聴きどころ:ポールのハーモニカ・フレーズ、ブルームフィールドのブルース・トーン、リズム隊のタイトさ。入門盤として最適。

  • East-West(1966)

    PBBBの代表作かつマイルストーン。タイトル曲「East-West」はモード奏法やラガ的アプローチを取り入れた長尺インストゥルメンタルで、ロックに即興ジャズ的展開を持ち込んだ点が歴史的に評価されています。バンドのジャム志向・実験性が明確になった作品で、後のサイケ・ジャム/ジャズ・ロック系に大きな影響を与えました。

    聴きどころ:タイトル曲のモード展開、ギター群とハーモニカの対話、テンションの作り方。即興の流れを追いつつ、テーマへ戻る構成の妙を楽しんでください。

  • The Resurrection of Pigboy Crabshaw(1967)

    このアルバムから音色が大きく変わり、ソウルやR&B色、ホーンの導入といった「歌モノ」重視の方向性が強まります。ブルースの色は残しつつも、ブラス・アレンジやゴスペル風の要素が入ることで、バンドの幅が広がったことを示す一枚です。

    聴きどころ:ホーンとのアレンジ、ブルースを土台にしたブラック・ミュージックへの接近。ライブ的熱気とアレンジのバランスを味わえます。

  • Keep On Movin' / In My Own Dream(後期作品)

    1968〜69年あたりの作品群は、メンバー交代や音楽性の変化が顕著で、ブルース中心からR&B、ファンク、ポップ寄りのアプローチへと移行します。初期の衝撃から成熟期への過程をたどるうえで重要です。好みは分かれますが、バンドの発展や時代背景(1960年代後半の音楽潮流)を掴むには役立ちます。

    聴きどころ:アレンジの多様化、ソングライティングの幅、各メンバーのソロ活動や色の変化。

  • ライブ盤/編集盤(Anthologies)

    PBBBはスタジオ作品だけでなく、ライブでこその爆発力が魅力。ライブ音源や全集的な編集盤には未発表テイクや長尺ジャムの別テイクが多く、East-Westのような即興の醍醐味を豊富に楽しめます。初心者は「ベスト」や「エレクトラ期編集盤」など良質なアンソロジーから入るのもおすすめです。

代表曲(聴いておきたいトラック)

  • Born in Chicago — デビューでの代表的ナンバー。バンドの原点を知るのに最適。
  • East-West — 彼らの実験精神を象徴する長尺インスト。ジャム/即興の教科書的名作。
  • Work Song(カヴァー)など、ジャズ/R&Bの影響が見えるカヴァー群。
  • ホーンが入った時期の楽曲群 — ブルースからソウルへの拡張を体感。

聴き方・鑑賞のポイント

  • 「対話」を聴く:ハーモニカ(Paul)、ギター(特にBloomfield)の呼応、リズム隊とソロのやり取りに注目すると、バンドの本質が見えます。
  • 即興の展開を追う:East-Westのような長尺曲はテーマ→展開→再現のドラマを描きます。細部のモチーフが返ってくる瞬間を探してみてください。
  • 時代背景を意識する:黒人音楽への敬意、世代間・人種間のクロスオーバー、60年代のサイケやジャズの影響を踏まえて聴くと理解が深まります。

盤選びのアドバイス(どのLP/再発を買うか)

  • オリジナル・プレスはコレクターズアイテムとして魅力的ですが、音質は個体差があります。針飛びや盤の劣化に注意。
  • 近年のリマスター再発は音像が整って聴きやすくなっている一方で、オリジナルの“色”やダイナミクスが変わることもあります。音の鮮明さを重視するなら信頼できるリマスターが無難です。
  • アンソロジー/コンピレーションは未発表やライブをまとめて聴くのに便利。まずは良質な編集盤で全体像を掴み、その後オリジナルLPやアルバム単位の再発を探すのが効率的です。

おすすめの聴く順(はじめての人向け)

  • まずはデビュー盤でバンドの基礎を把握(ブルース・ルーツ)。
  • 次に East-West で即興的・実験的側面を体験。
  • その後、Resurrection 等でソウル/R&B方向の変化をたどる。
  • 最後にライブ盤やアンソロジーで未発表テイクや長尺ジャムを楽しむ。

レガシーと影響

PBBBはブルースの伝統をそのまま継承しつつ、ロックやジャズと融合させたことで、サイケデリック・ジャム、ジャズ・ロック、シカゴ・ブルースの後続世代に多大な影響を与えました。マイク・ブルームフィールドのギターはエレクトリック・ブルースの表現の幅を拡げ、ポール・バターフィールドのハーモニカはロックにおけるハーモニカ表現の基準を引き上げました。

最後に

Paul Butterfield Blues Band は「ブルースの純度」と「実験性」を同時に持っていた稀有なバンドです。まずはデビュー盤と East-West を押さえ、興味が湧いたら以降の作品やライブ音源、アンソロジーへと広げていくのが良いでしょう。どのアルバムも時代の息吹と演奏家たちの化学反応が残されており、レコードコレクションに加える価値は高いです。

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