Hawkwind(ホークウィンド)入門:スペースロックの名盤・代表曲とライブの魅力

イントロダクション — Hawkwindとは何者か

Hawkwind(ホークウィンド)は、1969年にイングランドで結成されたスペースロック/サイケデリックロックの代表的存在です。創設メンバーのデイヴ・ブロック(Dave Brock)を中心に長年にわたって活動を続け、サイエンスフィクション的なテーマ、反復的で機械的なリズム、電子音響の実験、派手なライヴ演出を武器に独自の宇宙観を築き上げてきました。

簡単な来歴と特徴

  • 結成と初期:1969年にロンドンで結成。初期はサイケデリックな色合いが強く、徐々にシンセサイザーや電子機器を取り入れて「スペースロック」と呼ばれる音世界を確立しました。
  • 1970年代の飛躍:1970年代前半から中盤にかけて、アルバム『In Search of Space』『Doremi Fasol Latido』『Space Ritual』『Hall of the Mountain Grill』などで人気と評価を高めました。特に1972–73年の時期はバンドの商業的成功と実験性が両立した黄金期です。
  • 流動的なメンバー構成:ラインナップは常に流動的で、ロバート・カルバート(詩人/フロントマン)、ニック・ターナー(サックス/フルート)、レミー(Lemmy Kilmister:後のMotörhead創設者)などの参加で知られます。中心人物はデイヴ・ブロックで、彼がバンドの継続性を支えてきました。

音楽的な魅力とサウンドの解剖

Hawkwindの魅力は〝空間を創る〟ことにあります。以下がその主要構成要素です。

  • 反復的なグルーヴ:トランス的な反復フレーズとドライヴ感のあるリズムが、聴き手を没入させる基盤を作ります。
  • 電子とロックの融合:アナログシンセ、Mellotron、テープエフェクト、ノイズ処理などをロック編成に統合し、宇宙的・未来的な音像を生み出します。
  • サイエンスフィクション的歌詞:宇宙旅行、ディストピア、奇想天外なキャラクターや神話的テーマを扱う歌詞が多く、物語性と詩的表現を重視します。マイケル・ムーアコック(Michael Moorcock)とのコラボレーションもその一端です。
  • 即興性とライブ重視:レコーディング音源以上に、長尺の即興パートやライヴでの光と視覚演出が魅力。1973年のライブ盤『Space Ritual』はその代表例で、視聴体験としての音楽性を強烈に提示します。

主要メンバー(歴史的に重要な人物)

  • デイヴ・ブロック(Dave Brock) — 創設者、ギター/ボーカル/ソングライター。バンドの核。
  • ロバート・カルバート(Robert Calvert) — 詩人/フロントマン、劇的かつ物語的な作詞でバンドのイメージ形成に寄与。
  • ニック・ターナー(Nik Turner) — サックス/フルート、宇宙的なブロウと風合いを提供。
  • レミー・キルミスター(Lemmy Kilmister) — 1970年代初頭に在籍したベーシスト。後のMotörheadへと繋がる系譜を持つ。
  • 他、多数の出入りするメンバーが存在し、それがHawkwindの多様性と創造性の源泉になっています。

代表曲と名盤(初心者のための導入案内)

  • 代表曲:
    • Silver Machine — シングルヒットとして彼らの名を広めた曲。スペースロックの代表的なアンセム。
    • Master of the Universe — 初期の重厚なギターリフとドライヴ感が光る名曲。
    • Brainstorm — ライブでの即興性を体現する高エネルギー・ナンバー。
    • Hurry on Sundown — 彼らのフォーク/サイケ寄りの初期サウンドを感じさせる楽曲。
  • 名盤:
    • In Search of Space(1971) — 初期の実験精神とサイエンス的テーマが凝縮された作品。
    • Doremi Fasol Latido(1972) — シンセとロックの融合に磨きがかかったアルバム。
    • Space Ritual(1973) — ライヴ2枚組。視覚演出を伴うステージを記録した決定盤で、Hawkwindのエッセンスが最も明確に伝わる作品。
    • Hall of the Mountain Grill(1974) — よりメロディックな要素を取り入れた完成度の高いアルバム。
    • The Chronicle of the Black Sword(1985) — マイケル・ムーアコックの創作と深く結びついたコンセプト作。

ライヴ体験と視覚演出

Hawkwindのライヴはただ音を聴く場ではなく「体験」です。ライトショー、サイケデリックな映像(当時はオーバーヘッドプロジェクターやスライド)、パフォーマーの演劇的要素、長尺のサイケデリック・セッションが組み合わさり、観客は没入的な“宇宙旅行”に連れて行かれます。1970年代のツアーはカウンターカルチャーと直結しており、コミュニティ的な側面も強かったのが特徴です。

影響とレガシー

  • スペースロック、サイケデリック、ポスト・パンク、エクスペリメンタル音楽、さらには一部のメタルやドローン系アーティストに至るまで広範な影響を与えました。
  • ラインナップからのスピンオフ(例:Lemmy → Motörhead)や、後続のバンド(Spiritualized、Ozric Tentaclesなど)への影響も顕著です。
  • 「音で風景を作る」アプローチは、その後の実験的ロックや電子音楽シーンにおける先駆けとなりました。

なぜ今聴くべきか — Hawkwindの現代的な魅力

現代においてHawkwindを聴く価値は多方面にあります。サウンドの古典性と同時に先進的な実験精神、即興性、ステージアート性は、ただの懐古趣味では済まない新鮮さを持っています。長尺トラックに身を委ねれば、バンドが作り出す“音の風景”が現在の電子音響やポストロックの文脈と通じ合う瞬間を体験できるでしょう。

入門のすすめ — 最初に聴くなら

  • まずは『Space Ritual』でライヴ体験を疑似体験する。
  • スタジオ作品では『Doremi Fasol Latido』や『Hall of the Mountain Grill』を聴いて、バンドの多面性を確かめる。
  • 代表曲のシングル群(特に『Silver Machine』)でキャッチーな側面にも触れると入りやすいです。

まとめ

Hawkwindは、サイエンスフィクション的な世界観、電子音響とロックの大胆な融合、そして圧倒的なライヴ演出を通じて「音で宇宙を描く」バンドです。流動的なメンバー構成と長年にわたる活動により、常に変化を続けつつも独自のコアを保ってきました。初めて接する人にはライヴ盤を、じっくりと世界観を味わいたい人にはスタジオの名盤をおすすめします。

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