The Pretty Things(プリティ・シングス)とは?名盤『S.F. Sorrow』と必聴曲でわかる入門ガイド

The Pretty Thingsとは

The Pretty Thingsは1963年にロンドンで結成されたイギリスのロックバンドです。初期はシカゴ・ブルースやR&Bに強く根ざした荒々しいサウンドを武器に、同時代のロックンロール/R&Bシーンで異彩を放ちました。メンバーの入れ替わりを経ながらも、サイケデリック、プロトパンク、アートロックといった多様な要素を取り込み続け、長年にわたってカルト的な支持を獲得してきました。

結成と初期のサウンド

結成メンバーにはフィル・メイ(ボーカル)やディック・テイラー(ギター)らが含まれます。ディック・テイラーは初期のローリング・ストーンズに参加していた経歴を持ち、そのバックグラウンドもあって初期のPretty Thingsはストーンズの粗削りなR&B路線に近いが、より危険で野性的なグルーヴを持っていました。シングル「Rosalyn」や「Don't Bring Me Down」などは当時の英国シーンで強い印象を与え、ライブでは乱暴とも言えるアグレッシブなパフォーマンスで知られていました。

革新的な作品 — S.F. Sorrow とその意義

彼らの評価を決定づけたのが1968年発表のアルバム「S.F. Sorrow」です。これは主人公の生涯を追うコンセプトアルバムで、ロックの物語性を強く打ち出した点で「ロック・オペラ」的な側面を持ち、同時期のサイケデリック潮流と深く結びついています。

S.F. Sorrowの特筆すべき点は、単なる楽曲集を超えたドラマ構成、実験的な音響処理、そしてフィル・メイの物語性の強い歌詞です。商業的には大ヒットとはなりませんでしたが、後年のアーティストや批評家から高く評価され、ロック史に残る重要作として扱われています。

代表曲・名盤

  • Rosalyn(シングル)— 初期の代表曲。粗削りで攻撃的なR&Bナンバー。
  • Don't Bring Me Down(シングル)— キャッチーさと荒々しさを併せ持つナンバーで、彼らを広く知らしめた曲のひとつ。
  • Get the Picture?(1965) — 初期R&B路線を集めたアルバム。バンドの原点を知るうえで重要。
  • S.F. Sorrow(1968) — コンセプト作。芸術的到達点としてバンドの評価を確立した名盤。
  • Parachute(1970) — サイケ~アートロックの流れを受け継ぎつつ、成熟したメロディとアレンジが光る作品。
  • Silk Torpedo(1974) — 1970年代のサウンドを取り入れた作品で、多様化したバンドの側面を示す一枚。

サウンドの特徴と魅力

  • 生々しく歪んだギターと直線的なリズム:初期のR&B直系のアプローチだが、どこか荒々しく生々しい演奏感が魅力。
  • 物語性の強い歌詞:特にフィル・メイのリリックは人物の心理や人生の起伏を描き、単純なラブソングやダンス曲とは一線を画す。
  • 実験精神:サイケデリック期以降は音響実験や編曲の工夫が増え、コンセプトの追求やアルバム単位での作品性を重視。
  • ステージの迫力:荒々しい演奏と過激なステージングで観客を引き込む力があり、ライブバンドとしての信頼も厚い。

ライブとステージング

The Pretty Thingsは録音作品だけでなく、ライブでのエネルギーこそが真骨頂です。初期は混乱を招くほどの過激なパフォーマンスで知られ、サイケデリック期には演劇的な演出を取り入れることもありました。ライヴ音源や再結成ツアーでも、その演奏のタフネスと生々しさは色あせていません。

影響と評価

商業ヒットでは同時代の大物たちに一歩譲ることが多かったものの、音楽的影響は広範囲に及びます。ガレージロックやプロトパンク、サイケデリック・ロック、さらには後のオルタナ/インディー系のアーティストに与えた影響は無視できません。批評家からは革新的なアルバムへの評価が定着しており、S.F. Sorrowはロック史上の重要作として繰り返し言及されます。

おすすめの聴きどころ(入門ガイド)

  • まずは代表的なシングル「Rosalyn」「Don't Bring Me Down」で初期の荒々しさを体感。
  • 次に「S.F. Sorrow」を通して聴き、コンセプトアルバムとしての物語と音響実験を味わう。
  • さらに「Parachute」や「Silk Torpedo」を聴けば、1960年代末から1970年代の変化とバンドの幅広さがわかる。

まとめ — なぜ聴くべきか

The Pretty Thingsは「商業的成功」と「クリエイティブな挑戦」を必ずしも同時には得られなかったバンドですが、その分だけ実験性と野性味に富んだ音楽を残しました。ロックの深層にある粗野さや自由さを今に伝える存在であり、歴史的な位置づけだけでなく、単純に聴いて楽しい・刺激的という点でも魅力的です。ロックのルーツやサイケデリック/プロトパンクの源流に触れたい方には必聴のバンドと言えるでしょう。

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