レコードで聴くラウリ=ヴォルピ名盤ガイド:代表アリア・おすすめ編集盤と聴きどころ

はじめに — ラウリ=ヴォルピとは何者か

Giacomo Lauri-Volpi(ジャコモ・ラウリ=ヴォルピ、1892–1979)は20世紀前半を代表するイタリアのテノールで、抜群の高音、明晰な発声、そして豊かなレガートで知られます。オペラや歌劇の歴史的録音が多数残されており、当時の様式や歌唱技術を知るうえで重要な存在です。本コラムでは「レコード(音盤)で聴くラウリ=ヴォルピの薦め」をテーマに、代表曲とおすすめ盤(主に編集盤・話題の録音群)を、歌唱の特徴や聴きどころとともに解説します。

ラウリ=ヴォルピを聴く価値 — 何に注目するか

  • トップレンジの美しさ:彼の持ち味は伸びやかで明るい高音。高音域での安定感と輝きは他に類を見ないものがあります。
  • 発声とレガート:胸声と頭声の切り替えが滑らかで、フレーズのつながり(レガート)が美しい。旋律線を追う喜びがあります。
  • 様式感(verismo・イタリア古典):ヴェルディやプッチーニのレパートリーで特に魅力を発揮します。力強さと抒情の両方を備えた歌唱は、時代様式の理解に役立ちます。
  • 歴史的音源としての学習価値:当時の歌唱法、フレージング、アーティキュレーションの手法がそのまま記録されているため、研究・鑑賞の両面で貴重です。

代表的なアリア(まずここから聴いてほしい)

  • 「Di quella pira」 — ヴェルディ:『イル・トロヴァトーレ』

    テノールの見せ場のひとつ。ラウリ=ヴォルピの豪胆で鋭い高音と推進力を味わえます。

  • 「Celeste Aida」 — ヴェルディ:『アイーダ』

    抒情的な序句から高音へのクライマックスまで、技巧と表現の両立を見ることができます。

  • 「E lucevan le stelle」 — プッチーニ:『トスカ』

    悲痛で歌心豊かな場面。温度感あるヴィブラートとレガートが魅力です。

  • 「La donna è mobile」 — ヴェルディ:『リゴレット』

    軽やかさと明瞭な発音で、人気アリアを見事に歌いこなします。

おすすめ盤(ジャンル別に)

ラウリ=ヴォルピの録音は散逸しているため、まずは良質な編集盤(アンソロジー)から入るのが効率的です。以下は「聴きどころ」と「何を期待できるか」を挙げたおすすめリストです。

1) スタジオ録音集(編集盤) — 入門・名唱集

  • 内容:代表的アリアを集めた編集盤。録音年代は主に1920〜1940年代。

  • 聴きどころ:彼の高音の輝き、フレーズ構築、リズム感。複数のアリアを並べて聴けば、技術的一貫性と音色の変化がよく分かります。

  • 注意点:原盤が古いため、リマスター品質で音の印象が変わります。良質なリマスター版を選ぶと聴きやすいです。

2) 完全オペラ録音・舞台録音(ライブ) — 演技・場面感を楽しむ

  • 内容:(一部)彼のライブ公演や全曲録音の断片が現存しています。舞台でのテンポ感・ダイナミクス、役の表現力が味わえます。

  • 聴きどころ:生のやり取りや臨場感、指揮・共演者との相互作用。スタジオ録音とは違う「歌手としての佇まい」を感じられます。

  • 注意点:音質はまちまち。評価の高い復刻盤を選ぶのが吉です。

3) レア録音・未編集音源集 — コアなファン向け

  • 内容:ラジオ放送、リサイタル、スタジオのテイク違いなど。歌唱の多様性と稀少性が魅力。

  • 聴きどころ:異なる時期の声の変化、解釈の差、珍しいレパートリー(フランス語歌曲など)に触れられることも。

  • 注意点:編集の注釈や詳しい解説が付いたセットを選ぶと、背景がわかってより楽しめます。

具体的に注目すべき録音(曲ごとの聴きどころ)

  • 「Di quella pira」

    鋭いアクセントとトップの伸び。序盤の勢いから高音での決めまでの呼吸使いに注目してください。合唱やオーケストラとの掛け合いも含めた「場面力」が魅力です。

  • 「Celeste Aida」

    序奏の静けさからヴォーカルの立ち上がり、そしてクライマックスへ至るダイナミクス操作が見事。エクスプレッションの自然さを味わいましょう。

  • 「E lucevan le stelle」

    息遣いと語りのようなフレーズ作りが聞きどころ。感情の小さな揺らぎが歌唱の説得力を高めます。

  • フランス語・アリア類

    彼がイタリア以外のレパートリーをどう解釈しているかを見る好素材。母語ではない言語での発音処理やフレージングの注目点が学べます。

聴き方の提案 — ただ感嘆するだけでなく「比較」する

  • 同じアリアを別の名テノールの演奏(例:Caruso、Tito Schipa、Beniamino Gigli、Franco Corelli など)と比較すると、ラウリ=ヴォルピ特有の高音の扱い、アクセントや語り口の違いがよく分かります。

  • 年代順に聴く:若い頃と晩年の録音を時系列で追えば、声の変化と技術の維持・変容を見ることができます。

  • 録音の背景を読む:良い再発盤には解説書が付くことが多いので、舞台写真や当時の評など背景情報を併せて読むと理解が深まります。

どの盤を買うか(購入指針)

  • まずは編集盤(ベスト集)で代表作を押さえる。

  • 次に、興味が出たアリアやオペラのライブ録音やリマスター良好な全集に手を伸ばす。

  • 音質重視なら「リマスターの評判が良いレーベル」や、解説が充実している復刻シリーズを選ぶと得です。復刻盤のレーベル例としては、歴史的録音を扱うレーベル(Preiser、Testament、Opera d'Oro、EMIの歴史的シリーズ等)が参考になります。

まとめ

ラウリ=ヴォルピは「技術と響き」を兼ね備えたテノールで、特に高音の美しさとフレージングの巧みさが光ります。入門は編集盤で代表アリアを押さえ、その後ライブや全集で掘り下げるのがおすすめ。歴史的録音としての価値も高く、歌唱史や演奏様式の学びにも最適です。良い復刻盤と解説を手に入れて、時代を超えた名声をじっくり味わってください。

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