Cocteau Twins(コクトー・ツインズ)完全入門:初心者におすすめの名盤3枚+EPで深掘りする聴き方ガイド
はじめに — Cocteau Twinsとは
Cocteau Twins(コクトー・ツインズ)は、エリザベス・フレイザー(ボーカル)、ロビン・ガスリー(ギター/プロデュース)、(初期は)ウィル・ヘギー、のちにサイモン・レイモンド(ベース)で知られるスコットランド出身のバンドです。1980年代に4ADレーベルから作品を発表し、「エーテリアル(霧のような)サウンド」と称される独自の音像を築き上げました。フレイザーの言葉を超えた歌唱、ガスリーのリバーブとコーラスを多用したギター・サウンド、レイモンドのメロディックなベースが混ざり合うことで、ポストパンク/ゴシック/ドリームポップの枠を越えた影響力を持ちます。
入門:まず押さえるべき3枚
Heaven or Las Vegas(1990)
バンドの到達点とされる代表作。ポップなメロディとフレイザーの透明感のある声が高次に融合した作品で、彼らの楽曲の“歌心”が最も明確に現れています。プロダクションは暖かく、楽曲の構造も聴き取りやすいので初めて聴く人に最適です。
おすすめトラック:“Cherry-coloured Funk”、“Heaven or Las Vegas”、“Fifty-Fifty Clowns”
Treasure(1984)
“エーテリアル・サウンド”の代表格と言われる作品。独特の浮遊感とハーモニー、フレイザーの声が楽器として機能するサウンド・アプローチが確立されたアルバムです。ジャケットの美学も含め、4AD黄金期を象徴する一枚。
おすすめトラック:“Ivo”、“Pearly-Dewdrops' Drops”、“Lorelei”
Garlands(1982)
デビュー作で、初期のダークでポストパンク的な側面が強いアルバム。現在の“Cocteau Twinsらしさ”が形成される前の生のエネルギーと陰影が残る作品です。後期の作品とは対照的ですが、バンドの起点を知るうえで重要。
おすすめトラック:“Blind Dumb Deaf”、“Wax and Wane”
深掘り:音楽的発展を感じる中期〜後期の名盤
Head Over Heels(1983)
GarlandsのダークさとTreasureの浮遊感の架け橋となる作品。サウンドのテクスチャーがより繊細に、同時にメロディも強くなっていく過程が感じられます。
おすすめトラック:“Sugar Hiccup”、“My Love Paramour”
Victorialand(1986)
パーカッションをほとんど用いず、アコースティック寄りのアレンジでより静謐(せいひつ)な世界を提示した作品。リバーブやエフェクトに頼らずに“空間”を作る試みが印象的で、環境音楽的な側面もあります。
おすすめトラック:“Lazy Calm”、“Wolf in the Breast”
Blue Bell Knoll(1988)
豊かなアレンジとスタジオ・ワークが光る中期の傑作。ポップさと牧歌的な響きが混ざり、海外での認知も高まった一枚です。
おすすめトラック:“Blue Bell Knoll”、“Carolyn's Fingers”
Four-Calendar Café(1993) / Milk & Kisses(1996)
90年代の作品はより明瞭な歌詞表現やメロディに焦点が当たり、ポップな要素が強くなります。フレイザーの声の表情がさらに豊かになった一方で、初期の実験性を求めるリスナーには評価が分かれる時期でもあります。
EPとレア音源 — ミニアルバム/EP群の価値
Cocteau TwinsはEPでの表現も非常に重要です。特に1985年の2枚組EP(Tiny Dynamine / Echoes in a Shallow Bay)は、アルバムでは見られない実験的なアプローチや短い断片的な美が詰まっています。また、シングルB面・コンピ収録曲にも名曲が多いので、ディープに楽しみたい人はEP群を追うことを勧めます。
- Tiny Dynamine / Echoes in a Shallow Bay(1985) — 断片的で夢幻的な楽曲群。
- Singles:Pearly-Dewdrops' Drops などのシングル曲は彼らの代表的な“入口”となるものが多い。
特徴的な要素:ボーカル、ギター、サウンドデザイン
Cocteau Twinsの音楽を語る上で外せないのは以下の要素です。
- エリザベス・フレイザーの“声”:歌詞が聞き取れないことが多く、語彙的な意味以上に音色・メロディ・感情を伝える“楽器としての声”が中心です。
- ロビン・ガスリーのギター/サウンド処理:リバーブ、ディレイ、コーラスを駆使して“雲のような”厚みを出すプロダクションで、空間の作り方が独特です。
- サイモン・レイモンドのベースとアレンジ:メロディを下支えしつつ、曲に彩りを添える重要な役割を果たしました。
初めて聴く人へのオススメ再生順(入門〜深堀)
- Treasure — バンドの特徴を凝縮しているので“らしさ”を知るのに最適。
- Heaven or Las Vegas — メロディと歌心を味わえる最高傑作。
- Blue Bell Knoll / Victorialand — 中期の多様性と実験性を感じる。
- EP群(Tiny Dynamine / Echoes in a Shallow Bay) — ディープリスニング向けの宝庫。
- Garlands — 初期の姿勢と文化的背景を知るために。
関連作品と影響
メンバーのソロ/関連活動も魅力的です。ロビン・ガスリーはソロワークでアンビエント/ドリーム寄りの作品を多数発表し、エリザベス・フレイザーは数々のゲスト参加でその独特の声を残しました(例:Massive Attack “Teardrop” のボーカルはフレイザー)。Cocteau Twinsのサウンドはその後のドリームポップ、シューゲイザー、ネオサイケなど多くのアーティストに影響を与えています。
盤選びのヒント(どの版を聴くか)
今回は再生やメンテナンスのアドバイスは避けますが、音源自体については「オリジナル・プレスと近年のリマスターは音作りが異なる」ことが多く、好みに応じて選ぶと良いでしょう。オリジナルは当時の空気感やダイナミクスが強く、リマスターは帯域のバランスやノイズ処理が異なる場合があります。購入時はリリース年やマスタリング情報を確認すると安心です。
最後に — Cocteau Twinsを聴く楽しみ方
言葉に頼らない音の美しさ、声そのものを楽器化する表現、そして聴き手の想像力を刺激する抽象性——Cocteau Twinsはそれらを兼ね備えたバンドです。まずは上記の入門盤から入り、気になった曲のB面やEP、コンピ収録曲へと掘り下げていくと、彼らの音楽的宇宙がより立体的に見えてきます。
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参考文献
- 4AD — Cocteau Twins(公式アーティストページ)
- Wikipedia — Cocteau Twins
- AllMusic — Cocteau Twins(ディスコグラフィー/レビュー)
- Discogs — Cocteau Twins(リリース情報)
- Pitchfork — Heaven or Las Vegas レビュー


