トム・ジョーンズおすすめレコード完全ガイド:必携盤と深掘り盤、得する中古LPの選び方
Tom Jones — おすすめレコード深掘りコラム
トム・ジョーンズ(Sir Tom Jones)は、豊かなバリトンからテナーに近い高域までを自在に行き来する魅力的な歌声と、ジャンルを横断するレパートリーで長年にわたり支持されてきたアーティストです。本稿では、レコードコレクター/リスナー視点で「これを押さえておきたい」というおすすめタイトルをピックアップし、それぞれの聴きどころ、キャリア上の位置づけ、入手時に注目したいポイントを解説します。
1. キャリアの概観(短め)
1960年代のモダンなポップ/R&B路線のヒットでブレイクし(“It’s Not Unusual” や “What’s New Pussycat?”)、その後はカントリー風のバラード(“Green, Green Grass of Home”)、ドラマチックなナンバー(“Delilah”)、70年代のポップ・ロックナンバー(“She’s a Lady”)など多彩なスタイルをヒットに結びつけてきました。1990年代以降もダンス・ポップ(“Sex Bomb”)で再ブレイク、2000年代以降はカヴァーやスモール・バンド編成で声の魅力を際立たせるアルバムが高い評価を受けています。
2. おすすめレコード(必携盤と深掘り盤)
Along Came Jones(1965) — デビュー期のエネルギーを残す1枚
なぜおすすめか:初期のトム・ジョーンズらしい勢いとポップセンスが詰まったアルバムで、彼の若々しい歌唱とシングル群の原点が聴けます。プロデューサー/編曲陣のオーケストレーションとブラス使いが当時のブリティッシュ・ポップの雰囲気を伝えます。
- 代表曲(アルバム収録の注目曲):“It’s Not Unusual”(シングルでの印象とはやや異なるアルバムヴァージョンの味わい)、初期のポップナンバー
- 聴きどころ:力強いボーカル、ヴァーティカルなブラス/ストリングスのアレンジ
- 入手の目安:オリジナルUKプレス(Decca系ラベル)が当時のサウンドをよく伝えます
Green, Green Grass of Home(1966/1967) — カントリー風バラードの代表作
なぜおすすめか:カントリー・バラードを取り入れた“Green, Green Grass of Home”はトム・ジョーンズの多面的な表現力を象徴するヒット。場面描写を伴う歌い回しや、感情のたたみかけ方に注目です。英国での人気を決定づけた楽曲の一つです。
- 代表曲:“Green, Green Grass of Home”
- 聴きどころ:物語を語るような歌唱、劇的なクライマックス処理
- 入手の目安:シングル・ヒット曲を含むオリジナルLPや当時のコンピレーションで音源のモノ/ステレオ差を確認
Live at the Talk of the Town(1967) — ステージの熱量を体験するライヴ盤
なぜおすすめか:トム・ジョーンズはステージでの魅力が非常に大きく、このライブ盤は往年のショウマンシップと観客の熱気をダイレクトに伝えます。シングル音源とは異なる即興的な伸びやかさ、MCや間の取り方も楽しめます。
- 代表的な魅力:生声のダイナミクス、ステージ運びの巧みさ
- 聴きどころ:MCやバンドとの呼吸、観客の反応が収録された臨場感
- 入手の目安:ライヴの年代的な雰囲気を味わうならオリジナルLPが最良
Greatest Hits(1967 前後のベスト盤) — 初期ヒットを一気に聴く
なぜおすすめか:初期のヒット群(“It’s Not Unusual”, “What’s New Pussycat?”, “Green, Green Grass of Home” など)をまとめて聴けるので、まずは名曲を網羅したいというリスナーに最適。レコードコレクションとしても需要の高いタイトルです。
- 代表曲:前述の代表ヒットを一枚で確認可能
- 聴きどころ:初期のシングル曲群の音質差(モノ/ステレオ)を比較する楽しみ
- 入手の目安:編集盤はプレス違いや地域差が多いので、収録曲・バージョンを確認して好みのものを選ぶと良いです
Reload(1999) — コラボ/大ヒットでの現代的再評価盤
なぜおすすめか:1990年代末、トム・ジョーンズは多くのアーティストとコラボしつつポップス/ダンス寄りのアレンジも取り入れて再び大衆的な注目を集めました。新世代のプロダクションと彼の歌唱が融合した“今のトム”を感じさせる作品です。
- 代表曲:当時のヒット“Sex Bomb”(ダンス/ポップ寄りの一曲)など
- 聴きどころ:年代ごとのプロダクション変化を踏まえた“声の使い方”の上手さ
- 入手の目安:オリジナルCDプレスやアナログ再発が流通。再発盤でも当時のプロダクション感は十分味わえます
Praise & Blame(2010) — 最小限の編成で迫るソウル/ゴスペル風の傑作
なぜおすすめか:プロデューサーにEthan Johnsを迎え、スモール・コンボで録音された本作は、楽器を削ぎ落としたアレンジで声の表現力が際立ちます。ゴスペルやブルースのカヴァー中心で評価が高く、批評面でも近年の代表作の一つとして挙げられます。
- 代表曲/選曲の傾向:ブラック・ミュージック系カヴァーを中心に、声で物語を語るアプローチ
- 聴きどころ:生々しい声の質感、感情表現の細部
- 入手の目安:オリジナル盤(2010年リリース)でのダイナミックさが魅力
Spirit in the Room(2012) — カヴァー集の洗練されたアプローチ
なぜおすすめか:シンプルで落ち着いた録音のもと、さまざまな作家の曲をトム・ジョーンズ流に解釈した一枚。若いリスナーにも届く現代的なセンスと、長年のキャリアがあってこその深みが同居しています。
- 代表曲/選曲の傾向:トラディショナルな曲や他アーティストの良曲を丁寧に歌い上げる
- 聴きどころ:選曲眼と歌唱の成熟度、録音の落ち着き
- 入手の目安:近年盤なので音質面では安定。アナログ再発があればそちらも魅力的です
3. どの盤を狙うか——レコード選びの実務的ポイント(音質・ヴァージョン)
・オリジナル・プレスの魅力:1960年代のオリジナルは当時のミックス(モノラルや初期ステレオ)、アレンジの息づかいを感じられる点で価値があります。レーベル表記(UK Decca/London、US Parrot/Parlophone系など)やマトリクス情報が参考になります。
・編集盤・ベスト盤の注意点:地域や時期によって収録曲・ヴァージョンが異なることが多いので、特定テイクを聴きたい場合は盤のクレジットをよく確認してください。
・近年のリイシュー:リマスター再発やハイレゾ由来のアナログ再発は音像が現代的に整えられているため、オリジナルの“時代感”と現代的な音質のどちらを重視するかで選ぶと良いでしょう。
4. まとめ — どこから入るか
初めての一枚なら「Greatest Hits」や初期のシングル集で代表曲を押さえ、その後で「Live at the Talk of the Town」のようなライヴ盤でショウマンシップを体感するのがおすすめです。トム・ジョーンズの声の幅をより深く味わいたければ、時代を跨いだ「Along Came Jones(初期の勢い)→Green, Green Grass…(物語性)→Praise & Blame(成熟した生声)」という流れで聴くと、音楽的変遷がよく分かります。
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参考文献
- Tom Jones — Wikipedia
- Tom Jones — AllMusic(バイオグラフィ・ディスコグラフィ)
- Tom Jones — Discogs(詳細なリリース情報)
- Tom Jones 公式サイト


