Bobby "Blue" Bland入門|『Two Steps from the Blues』を聴くべき理由とDuke期の名盤・選び方ガイド
イントロダクション — Bobby "Blue" Blandとは
Bobby "Blue" Bland(1930–2013)は、テキサス出身のR&B/ブルース/ソウル歌手で、「ブルース界のソウル歌手」として知られます。ゴスペル的なインフレクションを持つ独特の歌声と、Joe Scottらによる豪快かつ緻密なホーン・アレンジ、ギタリスト Wayne Bennett らを中心とした伴奏陣によるサウンドで、Dukeレーベル期に数々のヒットを残しました。ロックやソウル、後のR&Bシンガーたちにも大きな影響を与えた存在です。
サウンドの特徴と聴きどころ
声と表現力:ゴスペル由来の伸びやかなフレージングと、ブルース特有のウェットなエモーションを併せ持つ声。微妙な語尾処理やためるような歌い方が感情を強く伝えます。
アレンジ:Joe Scott をはじめとするアレンジャーによるホーン主体のアンサンブルが特徴。ホーンが単なる装飾で終わらず、曲のドラマ性を担うようにアレンジされている点に注目してください。
ギターとリズム:Wayne Bennett 等のギターは、ロック的なストロークとブルース・ソロの間を自在に行き来し、ヴォーカルの空白を埋めるプレイが多いです。リズムはしなやかなスウィング感を保ちながらもグルーヴをキープします。
ソングライティングとプロダクション:Don Robey(Deadric Malone 名義)らの曲を含むことが多く、ポピュラー性とブルースの土壌がバランスよく同居しています。
おすすめレコード(深掘り解説)
Two Steps from the Blues — Duke (1961)
Bobby "Blue" Bland の名盤中の名盤。初期のヒット群をまとめたLPで、感情の起伏を描く歌唱とJoe Scott のアレンジ、Wayne Bennett のギターが一体となった“Blandサウンド”が凝縮されています。代表曲「I Pity the Fool」「Turn On Your Love Light」など、シングルで知られる曲群がアルバム体験としてまとまっているため、入門盤としても最適です。アレンジの妙や、曲ごとの歌い分け(抑制/爆発)を聴き比べることでBlandの表現の幅がよく分かります。
シングル拾い/編集盤:The Best of Bobby "Blue" Bland(Duke時代編集盤)
単曲ヒットを中心に楽しみたいなら、Duke期のヒットを集めた編集盤が便利です。45回転シングルとして発売されたテイクや、シングルA面の瞬発力を味わえる収録が多く、Blandの“ヒット・メーカー”としての側面とともに、時代のR&Bシーンの空気を感じられます。特に初期シングルはライヴでも盛り上がった曲が多く、そのエネルギーも魅力です。
The Complete Duke Recordings(ボックス/網羅的編集盤)
もっと深く掘るなら、Duke期をほぼ網羅したボックスやコンプリート・コレクションがおすすめです。シングルB面や未発表テイク、別テイクなども含まれていることが多く、アレンジの変遷やレコーディング・テイクごとの歌い分け、スタジオでの実験的アプローチなどを追うことができます。研究的な楽しみ方をしたい人向け。
Together for the First Time — Bobby Bland & B.B. King(1974)
B.B. King との共演作(アルバムやツアー記録)は、両者の表現の違いが際立つ良い比較教材になります。Bland のソウルフルでドラマティックな歌い回しと、King のギター・フレーズ/歌の間合いが互いを引き立て合う名場面が多く、ブルース/R&Bの“掛け合い”を楽しめます。スタジオ録音・ライヴ録音問わず、共演作はBlandの声が相対的にどのように響くかを見るには格好の資料です。
70年代の名曲「Ain't No Love in the Heart of the City」(1974年頃のシングル/収録作品)
1970年代中頃のこの曲は、Bland のキャリアにおける“ソウル寄り”の代表例で、後年にヒップホップやR&Bでサンプリング/カバーされるなど影響力の高い1曲です。時代のサウンド(ストリングスやモダンなリズム)を取り入れつつ、Blandらしい切なさと説得力のある歌い回しが残っています。
レコードを選ぶときの視点(購入・試聴のコツ)
時代とレーベルを意識する:Duke期(1950s〜60s)は典型的な“Blandサウンド”が出ている時期。70年代以降はプロダクションが変化するので、どの時期の音を求めるかで選ぶと良いです。
シングルvsアルバム:初期の魅力は多くが45回転シングルで味わえます。アルバムは楽曲群としてのまとまりを重視する聴き方に向きます。
共演作や編集盤で比較する:B.B. King などの共演作や、年代別編集盤で聴き比べると、Blandの表現の変化やアレンジの違いがよく分かります。
歌唱表現に注目:発声の“ため”やブレスの使い方、語尾の処理、ホーンとの会話といった要素に注目して聴くと、彼の表現力の真髄が見えてきます。
まとめ — どこから始めるべきか
初めてBobby "Blue" Blandを探すなら、まずは「Two Steps from the Blues」から。そこからシングル集や「The Complete Duke Recordings」のような網羅盤へ進むことで、シンプルなヒット曲以上の深みを楽しめます。70年代以降の作品やB.B. Kingとの共演作も、時代ごとのサウンドの違いを知るうえで価値があります。
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参考文献
- Bobby "Blue" Bland — Wikipedia
- Bobby "Blue" Bland — Biography (AllMusic)
- Two Steps from the Blues — Album Page (AllMusic)
- Bobby "Blue" Bland — Discogs
- Bobby "Blue" Bland obituary — Rolling Stone


