Joyce Moreno(ジョイス・モレーノ)入門:ボサノヴァ×MPBの名盤おすすめレコード&聴きどころガイド

はじめに — Joyce Moreno(ジョイス・モレーノ)とは

Joyce Moreno(通称 Joyce、ブラジル名:Joyce Silveira Moreno)は、ボサノヴァ/MPB(ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ)を代表する女性シンガーソングライターの一人です。ギタリストとしての演奏力と、洒脱で繊細な作曲・歌詞、ジャズ的な和声感覚をあわせ持ち、1960〜70年代から現代まで一貫して高水準の作品を出し続けています。本コラムでは、初めてJoyceに触れる人からコレクターまで楽しめる「おすすめレコード」をピックアップし、音楽的な聴きどころや選び方の視点を深掘りして紹介します。

Joyceを聴く楽しみ方の基本

  • ヴォーカルの「距離感」に注目:Joyceの歌は近接マイクで語りかけるような親密さと、ギターやアンサンブルの間に置かれた余白が魅力です。歌詞の語り口(ユーモア・皮肉・愛情)を丁寧に追ってください。

  • 和声とリズムの交差点:ボサノヴァのやわらかなリズムにジャズ的なコード進行が重なり、都市的で少し複雑な表情を作るのがJoyceの特徴です。コードやハーモニーの移ろいに耳を向けると新たな発見があります。

  • 歌詞のテーマ性:女性の視点、都市生活、日常の小さな感情や風景を切り取った作品が多く、詩的な楽しみ方ができます(和訳や訳注を合わせて聴くと理解が深まります)。

おすすめレコード(厳選)

  • 「Feminina」 — Joyceの代表作の一つ

    なめらかな歌唱と洗練されたアレンジが特徴的で、Joyceの女性的視点や日常への繊細な観察がよく表れた一枚です。全体を通じて統一感があり、ソフトで都会的なMPBの魅力が詰まっています。

    聴きどころ:曲間のテンポ感の扱い、ヴォーカルのニュアンス(吐息やフレージング)、抑制された伴奏が歌詞を引き立てる点。

    どう聴くか:リラックスした時間にヘッドフォンで歌詞の語り口を追い、曲ごとの描く情景の違いに注目してみてください。

  • 初期セルフタイトル作品(デビュー期のアルバム)

    Joyceのデビュー期の作品群は、ボサノヴァ直系のスマートさと、作家としての誕生を感じさせるエネルギーが魅力です。若さゆえの即興性や、ギター伴奏を基盤にしたシンプルな編成が好まれます。

    聴きどころ:シンプルな編成の中で光るメロディと歌詞、初期作に見られるフォーク/ボサのクロスオーバー感。

  • 中期の作品群(ジャズ色の強いアプローチ)

    活動中期にはジャズや現代的なアレンジを取り入れたアルバムが増え、コード進行やコンピング、ホーンやピアノのアレンジにジャズ的な技巧が現れます。聴き手にとっては「より複雑で深い」Joyceが楽しめる時期です。

    聴きどころ:アンサンブルの色彩感、ソロの挿入やハーモニーの大胆な転調、ヴォーカルのインタープレイ。

  • 近年の作品(成熟した表現と多様性)

    長年のキャリアを経た近作では、楽曲の完成度・表現力ともに高く、実験的な編成や国際的なコラボレーションが見られます。ルーツであるボサノヴァを基盤にしながらも、ワールドミュージックやジャズの要素を自然に取り込んでいます。

    聴きどころ:洗練された歌唱表現、編曲の多彩さ、キャリア全体を見渡したような歌詞の深み。

  • コンピレーション/アンソロジー盤

    長年の活動を俯瞰するにはベスト盤やアンソロジーも便利です。代表曲を時系列で追えば、作風の変化や歌唱の成熟を一度に把握できます。入門用として特におすすめです。

    注意点:収録曲や編集方針は盤によって差があるため、収録リストを確認してから購入すると良いでしょう。

アルバムを深掘りするポイント(聴き手向け)

  • 編成を意識する:ソロギター中心の曲と、フルバンドやホーン編成の曲では表情が大きく異なります。編成の違いが曲の「語り方」をどう変えるかに耳を澄ましてください。

  • 歌詞の翻訳と比較する:ブラジル・ポルトガル語の微妙な語感やユーモアは訳すと失われやすいですが、意訳や注釈付きの訳詞と合わせると深く味わえます。

  • カバーや他アーティストとの比較:Joyceの曲を他の歌手がカバーしたバージョンと聴き比べると、作曲の普遍性や表現の違いが見えて面白いです。

  • 制作時期ごとの文脈:ブラジルの社会的・音楽的潮流(ボサノヴァ、MPB、ジャズ受容など)を押さえると、各アルバムの位置づけがより理解できます。

購入・入手のアドバイス(音質・版情報の見方)

ここでは再生・保管・メンテナンスの話は割愛しますが、購入時のチェックポイントだけ挙げます。オリジナル盤とリイシューではマスタリングや曲順が異なる場合があります。初めて聴くならベスト盤やリマスター盤で音質面の恩恵を受けるのも有効です。一方、オリジナルLPには独特の雰囲気やジャケット写真・ライナーノーツが残っていることが多いので、コレクターはそちらを狙うのも良いでしょう。

まとめ — Joyceをコレクションに加える理由

Joyce Morenoは、単なる「歌手」や「作曲家」にとどまらず、ブラジルの都市的感性と女性の視点を音楽という形で持続的に提示してきたアーティストです。代表的なアルバムを数枚押さえれば、ボサノヴァやMPBの豊かな表情、ジャズ的な洗練、そして歌詞における日常の詩情のすべてを味わうことができます。初めてなら、まずは代表作群(原盤か良好なリイシュー)を数タイトル聴いてみることをおすすめします。

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参考文献