ソニー・ロリンズ入門:初心者がまず聴くべき名盤5枚と聴き方ガイド
ソニー・ロリンズ入門 — まずはこれを聴け!
ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)はテナー・サックスの巨人であり、モチーフを繰り返し発展させる構築的即興(モティーフ増殖)や、メロディを深く歌い上げる語り口で知られます。本コラムでは、彼のキャリアを象徴するおすすめレコードを厳選して解説します。各作品の聴きどころ、歴史的意義、代表曲を押さえて、レコード選びや聴き方の参考にしてください。
Saxophone Colossus(1956年、Prestige)
- 主なメンバー:Sonny Rollins(ts)、Tommy Flanagan(p)、Doug Watkins(b)、Max Roach(ds)
- 代表曲:「St. Thomas」「Blue 7」「You Don't Know What Love Is」
- なぜ名盤か:ロリンズの代表作で、「St. Thomas」は彼のトレードマークともいえるカリプソ風ナンバー。特に「Blue 7」はテーマの発展と語り口の巧みさがジャズ即興の見本となる一曲です。
- 聴きどころ:フレーズの短いモチーフをどう発展させていくか、テーマの反復と変形、リズム感の作り方。ロリンズの歌うようなトーンと、Max Roachの切れ味鋭いドラムが絶妙に噛み合います。
Tenor Madness(1956年、Prestige)
- 主なメンバー:Sonny Rollins(ts)、John Coltrane(ts、タイトル曲ゲスト)、Red Garland(p)、Paul Chambers(b)、Philly Joe Jones(ds)
- 代表曲:「Tenor Madness」(RollinsとColtraneの唯一の共演録音として有名)
- なぜ名盤か:ロリンズとコルトレーン、二大テナリストの競演が聴ける歴史的1トラック。ハードバップの王道を行く演奏で、両者の対照的アプローチが面白い比較材料になります。
- 聴きどころ:二人のソロの対比(ロリンズのメロディ重視×コルトレーンのリズム/スケール推進)、リズム隊の支え方、短時間での表現の駆け引き。
Way Out West(1957年、Contemporary)
- 主なメンバー:Sonny Rollins(ts)、Ray Brown(b)、Shelly Manne(ds) — ピアノなしトリオ編成
- 代表曲:「I'm an Old Cowhand」「Way Out West」「You」
- なぜ名盤か:ピアノを入れないトリオ編成という思い切った編成により、ロリンズのハーモニーの示唆やベースとの対話が際立った一枚。西部劇風のレパートリー選びと、スリリングな間(ま)の取り方が聴きどころです。
- 聴きどころ:和音楽器不在の中でコードを示唆するフレージング、Ray Brownのベースとのユニゾンや応答、ドラムの色付けの妙。音の「余白」をどう生かすかに注目してください。
The Bridge(1962年、RCA Victor)
- 主なメンバー:Sonny Rollins(ts)、Jim Hall(g)、Bob Cranshaw(b)、Ben Riley(ds)
- 代表曲:「The Bridge」「Without a Song」「God Bless the Child」
- なぜ名盤か:1959年からの“自家精進(ブレイク)”の後に発表された復帰盤。ギターのジム・ホールとの対話的アンサンブルは、新たな音楽的成熟を感じさせます。ロリンズの語法がより洗練され、リズム感や間の使い方も深化しています。
- 聴きどころ:ジム・ホールの控えめで色彩豊かな伴奏とロリンズのフレージングの会話。復帰作としての「落ち着き」と「探求」のバランスを味わってください。
East Broadway Run Down(1966年、Impulse!)
- 主なメンバー:Sonny Rollins(ts)、Don Cherry(pocket trumpet)、Jimmy Garrison(b)、Elvin Jones(ds)
- 代表曲:「East Broadway Run Down」「Blessing in Disguise」ほか長尺即興が中心
- なぜ名盤か:1960年代中盤の先鋭的実験とロリンズの攻めの姿勢が交わる作品。ドン・チェリーやエルヴィン・ジョーンズといったモダンジャズ最前線のプレイヤーを迎え、テンポやフォームの破綻を恐れない挑戦的な演奏が展開されます。
- 聴きどころ:長尺トラックでの構築的展開、自由度の高いインタープレイ、ロリンズの増幅されたサウンドと対位法的アプローチに注目。
選盤メモ — 初めて買うならどれを選ぶか
- 「Saxophone Colossus」はロリンズ入門の最高峰。メロディと即興の関係を学ぶのに最適。
- 歴史的瞬間を味わうなら「Tenor Madness」(コルトレーンとの共演)。
- 音の空間や対話を楽しみたいなら「Way Out West」や「The Bridge」。
- 挑戦的・前衛寄りのロリンズを聴きたいなら「East Broadway Run Down」がおすすめ。
聴き方のコツ(実践)
- 1曲に集中して、テーマ→ソロ→テーマの「物語」を追う。ロリンズはテーマを変奏してソロに入ることが多い。
- 短いフレーズ(モチーフ)がどう発展するかに注意する。似たフレーズの繰り返しと変形が即興の骨格になる。
- 伴奏(ピアノやギター、ベース、ドラム)が何をしているかを聴き分ける。ロリンズは伴奏の隙間を活用する達人。
- 異なる年代の録音を比較する(1950sのハードバップ→1960sの成熟→中期以降の実験)。変化の軸が見えてきます。
補足:アルバムを選ぶときのポイント
- オリジナル盤/初期プレスは音色が独特ですが、リマスター盤でも演奏の核は変わりません。音質の好みで選んでください。
- ライヴ盤はその場の空気感や即興の臨場感が味わえます。まずはスタジオ録音で曲の構造を掴み、ライヴで表現の幅を楽しむのがおすすめです。
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