イツァーク・パールマン名盤レコード厳選ガイド:聴きどころ・選び方と中古購入のコツ
イツァーク・パールマン(Itzhak Perlman):イントロダクション
イツァーク・パールマンは20世紀後半から現代にかけて最も親しまれているヴァイオリニストの一人です。温かく豊かな音色、歌わせるフレージング、そしてテクニックの確かさで、クラシック入門者から愛好家まで幅広く支持されています。本コラムでは「レコードで聴くべきパールマンの名盤」を中心に、各盤の聴きどころと購入時の指針(録音の魅力や音楽的特徴)を解説します。
おすすめレコード(名盤解説)
Schindler's List(サウンドトラック) — John Williams(ヴァイオリン独奏:Itzhak Perlman)
映画『シンドラーのリスト』のサウンドトラックは、ジョン・ウィリアムズ作曲のテーマをパールマンが独奏することで広く知られています。パールマンの孤高で悲哀に満ちた音色は、映画音楽の中でも特に印象深い瞬間を作り出しており、感情表現の深さが直に伝わる盤です。映画音楽としてだけでなく、ヴァイオリンの歌心を堪能できる一枚としてレコードで持っておきたい名盤です。
Bach:Sonatas & Partitas for Solo Violin(無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ)
バッハ無伴奏は演奏家ごとに解釈の幅が大きい作品ですが、パールマンの演奏は豊かな音色と歌い回しで「人間的」な側面を強調します。歴史的演奏法に基づく解釈とは違う魅力があり、バッハの構成美に対する温かさや情感を味わいたい人には特におすすめです。各パルティータの舞曲感、シャコンヌのドラマ性など、聴き所が多く詰まっています。
Tchaikovsky:Violin Concerto in D major(チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲)
ロマン派の大曲を求めるなら、この協奏曲でのパールマンは外せません。大らかで豊かなヴィブラート、情熱的かつ繊細なカデンツァ表現により、劇的な第1楽章から歌心に満ちた第2楽章、華やかなフィナーレまで一貫して魅力的な演奏を聴かせます。パールマンの「熱い歌い口」を楽しむ典型的なレパートリーです。
Beethoven:Violin Concerto(ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲)
ベートーヴェンの協奏曲では、パールマンの落ち着いた表現と端正なフレージングが光ります。古典的な均衡感と内面の深さを両立させた解釈で、特に第2楽章の穏やかで歌うような表現は聴きどころ。管弦楽とのアンサンブルでの音程感・音色の溶け合いも魅力的で、ヴァイオリン協奏曲の「奥行き」を味わえる一枚です。
Mendelssohn:Violin Concerto in E minor(メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲)
俊敏で美しい旋律が特徴のこの協奏曲において、パールマンは軽やかさと歌心を兼ね備えた演奏をします。技術的な華やかさだけでなく、主題の歌わせ方や伴奏との掛け合いが非常に丁寧で、オーケストラとの一体感が高い録音は繰り返し聴きたくなります。
Kreisler/Encores(クライスラー名曲集)
フリッツ・クライスラー作品やアンコール曲集では、パールマンの「歌う」美質と愛らしいニュアンスが前面に出ます。レコードで聴くと、短い曲の中に込められた味わい深さや、余韻の作り方がよく分かります。コンサートで聴くアンコールを思わせる親しみやすさが魅力です。
室内楽録音(例:弦楽四重奏やデュオ録音集)
パールマンは室内楽でも数多くの名演を残しています。室内楽はソロとは違う「対話」の側面が楽しめ、同時に彼のアンサンブル感覚やフレージングの柔軟さがよく分かります。ピアニストやチェリストとの共演盤は、レパートリーの幅を知る上で非常に有益です。
ベスト/コンピレーション盤(例:「The Essential Itzhak Perlman」など)
まずは「代表作をまとめて聴きたい」という場合、コンピレーション盤が取り組みやすい入口になります。複数の時代・曲想の録音を通してパールマンの音色や解釈の一貫性を俯瞰できるため、好みの方向性を見つけるのに便利です。
各盤の「聴きどころ」と選び方の視点
歌う音色を楽しむ:パールマンの最大の魅力は「歌わせる」音楽作りです。旋律線が美しく伸びる箇所(協奏曲の第2楽章、バッハのラルゴやサラバンドなど)は特に注目してください。
技術と情感のバランス:高い技巧を背景に感情表現を抑制しすぎずに表出するタイプなので、ロマン派作品や映画音楽では感動的な瞬間が多いです。
ソロ/室内楽/協奏曲の違いを楽しむ:無伴奏バッハの内面的な表現、室内楽での対話性、協奏曲でのスケール感——同じ奏者でも別の顔を見せる点が面白いです。複数の形式を聴き比べることでパールマンの多面性がわかります。
録音年代による違い:若い頃の演奏はよりテクニカルで勢いがあり、成熟期以降は音色の深みや表現の円熟が増します。好みが分かれる部分なので、複数時代の録音を聴き比べるのがおすすめです。
買うときの実用的なアドバイス(音楽的観点のみ)
まずは聴きたい作品(例:バッハ無伴奏、チャイコフスキー協奏曲、シンドラーのリスト)を決め、それに特化した有名録音を探すと整理しやすいです。
コンピレーション盤は入門用に最適。気に入った曲が見つかったら、その作品単体のフル録音を探す、という流れが効率的です。
室内楽好きなら、共演者(チェロやピアノの名手)が著名な盤を選ぶとさらに楽しめます。共演者との対話によって音楽の別の側面が開きます。
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参考文献
- Itzhak Perlman - Wikipedia
- Schindler's List (soundtrack) - Wikipedia
- Itzhak Perlman - Discogs(ディスコグラフィ)
- Itzhak Perlman - Official Website


