Dave Edmunds入門:名盤6選と聴きどころ解説 — ルーツ志向ギターロックの楽しみ方
Dave Edmunds — ルーツ志向のギターロックを貫いた名匠
ウェールズ出身のシンガー/ギタリスト/プロデューサー、Dave Edmunds は、ロックンロール〜ロカビリー〜パブロックの伝統を現代に繋いだ存在です。シンプルで力強いギター・サウンド、ビンテージへの愛着、そしてカバー曲を自分の色に染め上げる手腕で知られ、Nick Lowe や Rockpile といった仲間たちとの関係も彼の音楽的魅力を高めました。本稿では「聴くべき・コレクションに加えたい」おすすめレコードを深掘りして紹介します。曲の構成やプロダクション面、聴きどころを中心に解説しますので、初めて触れる方も再発見を求める方も参考にしてください。
おすすめレコード(代表作・名盤を深掘り)
1. Love Sculpture / 初期シングル/アルバム(「Sabre Dance」ほか)
Edmunds の名を広めた初期プロジェクト「Love Sculpture」での録音群は、若き日の爆発的なギターテクニックを示します。とくにクラシック曲をロックに置き換えたインストゥルメンタル「Sabre Dance」は、若さと技巧、ブラック・ミュージック/ロックの衝動を直線的に伝える名演です。
- 聴きどころ:クラシック旋律をロックのテンポと歪んだギターで再解釈した衝撃。演奏の即時性と若いエネルギー。
- なぜ聴くか:後のルーツ志向サウンドの原点を感じられる。Edmunds のギター観を理解する手がかり。
2. Get It(Edmunds の“復活”を印象づけた作品)
Edmunds のソロ名義で注目を集めた初期作のひとつ。ロカビリー/R&B を土台にしつつ、ポップなセンスと録音の明快さが光ります。Nick Lowe との協働や、選曲のセンス(良質なカバーのチョイス)が際立つアルバムです。
- 聴きどころ:ギター・トーンの生々しさ、ドライで跳ねるリズム、そしてヴォーカルの親しみやすさ。カバー曲を自分の旗色にする解釈力。
- おすすめ曲:ロカビリー寄りのナンバーや、ポップ寄りのアップチューンを中心に、アルバム全体のアンサンブル感を味わってほしい一枚。
3. Tracks on Wax 4(職人芸が光る名盤)
この時期のEdmundsは「過去の良い曲」を現代的な感覚で鳴らす達人です。スタジオでの丁寧な演奏と最小限に研がれたアレンジにより、1曲1曲が短くも強い印象を残します。ロックンロールの骨格を尊重しつつも、音作りは明瞭で耳に残りやすい仕上がりです。
- 聴きどころ:テンポ感のコントロール、ギターとピアノ(またはリズム隊)のバランス感覚。短い曲での説得力。
- なぜ名盤扱いされるか:“古いものをただ再現する”のではなく、自分の時代のロックとして再提示している点。
4. Repeat When Necessary(ヒット曲と職人的ポップネス)
このアルバム周辺で Edmunds は商業的なヒットも獲得しつつ、良質なポップ・ロックを安定供給しました。Nick Lowe の楽曲を取り上げたカバー(例:”I Knew the Bride” や “Girls Talk” など)を自分仕様に変換する力に長けています。短いフレーズの中で印象を残すプロダクションは、彼の職人ぶりを示します。
- 聴きどころ:メロディの魅力を引き出すアレンジ、ギターのカントリー/ロカビリー風味、サビのワンフレーズで耳に残す技。
- おすすめ曲:Nick Lowe 作の曲群や、アップテンポなロックンロール寄りのトラック。
5. Rockpile — Seconds of Pleasure(Rockpile 名義の傑作)
Edmunds は Nick Lowe とともに Rockpile としても活動しました。Rockpile の唯一の公式アルバムは、双方の持ち味が融合した爽快なロックアルバムです。Edmunds のギター/ヴォーカル、Lowe のソングライティング・センスが同居し、バンドとしてのまとまりが際立ちます。
- 聴きどころ:バンド演奏ならではのグルーヴ、コーラスの厚み、メンバー間の相互作用。スタジオでの“生感”が強い。
- なぜ収集価値があるか:Edmunds 単独作では味わえない、バンドとしてのスリリングな演奏が楽しめる。
6. Information(80年代的な音作りを取り入れた作品)
キャリア中盤以降、Edmunds は時代のサウンドも取り入れつつ、自分の色を保ち続けました。比較的コンテンポラリーなプロダクションを導入したこの時期の作品は、80年代的な質感の中に彼らしいメロディとギター・ワークが見えるのが魅力です。
- 聴きどころ:シンセやモダンなプロダクションとの組合せで浮き彫りになる、Edmunds 本来のメロディ・センス。ポップで耳に残る曲が多い。
- なぜ注目か:変化を受け入れつつ、自分のルーツを失わない柔軟性がうかがえる。
聴きどころ・楽しみ方(楽曲解析の視点)
- ギター・トーンとフレージング:Edmunds のギターは過度にモダン化されず、ミディアム〜クランチの範囲で「歌う」フレーズを弾くことが多い。リフよりもフレーズの粋が光る。
- カバーの解釈:オリジナルを崩すことなく、自分の音楽語法で「昇華」する手腕が特徴。選曲のバランス感覚を楽しもう。
- ヴォーカル表現:派手さはないが、曲のムードを確実に伝える実直な歌唱。コーラスやハーモニーでの厚みも魅力。
- プロダクション観察:70s の録音は温かく生っぽい。80s に入ると艶やかな質感を取り入れる。年代差を比べて聴くと面白い。
どの盤から聴くべきか(入門ガイド)
- まずはヒット曲を押さえる:Edmunds を知るには代表曲を含むベストやシングル集が手早い入口になります。ヒット曲で彼の作風を掴んでからアルバムへ。
- バンド感を味わうなら Rockpile:複数人の化学反応を楽しみたいなら Rockpile のアルバムが最適です。
- ルーツ・ロック/ロカビリー志向なら初期作:Love Sculpture〜初期ソロ作は、ギタリスト Edmunds のダイナミズムを直に感じられます。
- 時代ごとの聴き比べ:70s の「生っぽさ」→80s の「光沢」まで追うと、彼の適応力と一貫性が見えてきます。
まとめ
Dave Edmunds は「古きをただ懐古する」のではなく、ルーツ音楽の良さを現代に伝え続けたアーティストです。選曲眼、ギターの歌わせ方、そしてプロダクションでの手際の良さ—これらが合わさったアルバム群は、ロックの基本を愛するリスナーに強く薦められます。本稿で挙げた作品群を起点に、シングルや共演作(Nick Lowe/Rockpile)にも手を伸ばすと、より立体的に彼の音楽世界が見えてくるはずです。
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