ザ・プリテンダーズ入門:クリッシー・ハインドの魅力がわかるおすすめアルバムと聴きどころ

イントロダクション — ザ・プリテンダーズとは何か

ザ・プリテンダーズ(The Pretenders)は、1970年代末にロンドンで結成され、リーダーであるクリッシー・ハインド(Chrissie Hynde)の鋭くも温かいボーカルと、パンク/ニューウェイヴのアティテュードをポップなメロディに融合させたバンドです。バンドはメンバーの離脱や悲劇的な死を経ながらも活動を続け、シングル中心のヒットや名盤でロック史にしっかりと足跡を残しています。本コラムでは「まず押さえておきたい」おすすめレコード(アルバム)を中心に、各作の魅力や聴きどころを深掘りして紹介します。

聴き方のポイント(共通)

  • クリッシー・ハインドの歌声と歌詞に注目:直截的で時に冷静、時に切ない語り口が大きな魅力です。
  • 初期作はパンク由来の切れ味、中期以降はポップ・ロックやブルーズの要素が混ざるため、時代ごとのサウンドの変化を追うと面白いです。
  • 代表曲はシングルとしても強力ですが、アルバム単位で聴くと曲間の流れやバンドの空気感がよく分かります。

Pretenders(デビュー作) — 原点の衝動を体感する一枚

おすすめポイント:スリリングな初期衝動、名曲「Brass in Pocket」などの強力なシングル群、若さと確信が同居したサウンド。

  • 特徴:パンク/ニューウェイヴの直線的な勢いを基盤に、ポップなフックとブルージーなニュアンスを併せ持つ。バンドの初期編成が放つ緊張感が魅力。
  • 代表曲(代表的に聴いておきたい曲):Brass in Pocket、Stop Your Sobbing、Kid、Precious。
  • 聴きどころ:ハインドのボーカルの「抜け」と、ギターの切れ味のコントラスト。アルバム全体のテンションが高く、初めて聴くならここから入るとバンド像が掴みやすいです。

Pretenders II — 初期からの深化と拡張

おすすめポイント:デビューの勢いを受け継ぎつつ、曲作りや表現の幅が広がった二作目。より多層的なアレンジとバンドの完成度がうかがえます。

  • 特徴:メロディの深さや曲ごとのキャラクターの差が目立ち、楽曲ごとに異なる色合いが楽しめる。バンドとしての引き出しが増えた時期です。
  • 代表曲(代表的に聴いておきたい曲):Message of Love、Talk of the Town(代表的なシングル/人気曲を中心に)
  • 聴きどころ:歌詞の視点がより洗練され、ギターのフレーズやリズム隊の存在感が曲を押し上げます。デビュー作の「荒々しさ」とは違う成熟感を味わえます。

Learning to Crawl — 再起を象徴する名盤

おすすめポイント:バンドにとって大きな転換期を経て生まれた“再出発”の作品。エモーショナルでポップな楽曲群が揃っており、ロック/ポップ両面での完成度が高い一枚です。

  • 特徴:失ったものへの哀惜と前へ進む意思が同居する楽曲群。メロディの強度とアレンジのバランスが良く、シングル曲の充実度も高い。
  • 代表曲(代表的に聴いておきたい曲):Back on the Chain Gang、Middle of the Road(この時期の名曲を中心に)
  • 聴きどころ:ストリングスやギターのレイヤーが感情の抑揚を作り、ハインドの歌唱が曲の核を担っています。バンドの“再起”として聴くと感慨深い一枚です。

Get Close — ポップ性と実験性のはざまで

おすすめポイント:よりソフィスティケートされたプロダクションとポップなアプローチが目立つ作品。シングルヒットが多く、バンドのポップ面を堪能できます。

  • 特徴:80年代中盤の音作りを反映した洗練されたアレンジ。ポップ感が強まり、バンドらしいロックンロール・ナンバーとバラードが共存。
  • 代表曲(代表的に聴いておきたい曲):Don't Get Me Wrong、My Baby(ヒットシングル中心に)
  • 聴きどころ:ポップソングとしての完成度が高く、ラジオヒットになった楽曲の強さを確認できる一作。ポップ系のアレンジやコーラスワークに注目。

Last of the Independents — 中期以降の充実と深み

おすすめポイント:シンガーソングライターとしての表現の幅が広がり、大人のロックとしての落ち着きと説得力が備わったアルバム。

  • 特徴:メロウなナンバーから力強いロックまでレンジが広く、長年のキャリアが音に反映されている。楽曲のピュアな良さが際立つ作品群です。
  • 代表曲(代表的に聴いておきたい曲):I'll Stand by You(バンドの代表的なバラード/後年多数のカバーを生んだ曲)
  • 聴きどころ:感情を抑えた歌唱や余裕のあるアレンジから、ハインドの成熟した表現力を感じ取れるでしょう。

入門盤・編集盤のすすめ

まず「広く楽曲を確認したい」ならベスト盤やシングル集が便利です。初期から中期の代表曲を一通り聴けば、バンドの変遷やハインドのボーカルの多面性がつかめます。アルバム単位での流れを楽しみたいなら、上記のスタジオアルバムを時系列で聴くのがオススメです。

音楽的な魅力の核心

  • クリッシー・ハインドの歌詞世界:自立、爱情の矛盾、孤独と希望が織り交ざる語り口は他に代えがたい魅力です。
  • ギターワークとメロディのバランス:尖ったギターリフと心に残るメロディが絶妙に組み合わさります。
  • ジャンル横断性:パンク、ニューウェイヴ、ロック、ポップ、時にカントリーやブルーズの要素も顔を出し、幅広いリスナーに訴求します。

どのアルバムから聴くべきか(ケース別ガイド)

  • ロックの荒々しさと初期衝動を求めるなら:Pretenders(デビュー)
  • ドラマ性とエモーションの強さを味わいたいなら:Learning to Crawl
  • ポップでキャッチーなヒット曲を楽しみたいなら:Get Closeやベスト盤
  • バンドの成熟した側面(大人のロック)に触れたいなら:Last of the Independents

さらに深掘りしたい人へ

バンドの各時期についてはラインナップの変遷やシングル曲の背景、制作時期のエピソードを追うことでより深い理解が得られます。国内外のライナーノーツやインタビュー記事、オフィシャルのアーカイブなどを併せて読むと、楽曲ごとの背景が見えてきます。

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参考文献