ウォーレン・ジヴォン名盤6選と初心者向け聴き順ガイド — 代表作の聴きどころと選び方
イントロダクション — ウォーレン・ジヴォンとは何者か
ウォーレン・ジヴォン(Warren Zevon)は、1970年代以降に活躍したアメリカのシンガーソングライター。ブラックユーモア、皮肉、人物描写に優れた歌詞と、ロック/フォーク/カントリーを横断する演奏感覚で知られます。短く尖ったフレーズと「語る」ような歌い回しで、聴き手を物語の中に引き込むタイプの作家です。本稿では、ジヴォンの代表作・名盤を厳選して深掘りし、各アルバムの聴きどころ、背景、そして初心者に薦めたい聴き順までを解説します。
選出基準と聴き方の指針
- 代表曲で彼の作風がわかるもの(ユーモアと冷徹さ、キャラクター・ナラティブ)
- 音楽的に要注目の作品(スタジオの凝り方、共演陣の豪華さ、ライブでの強度)
- キャリア全体の文脈で重要な転換点を示す作品
ジヴォンを聴くときは、歌詞の「物語性」に耳を澄ますことをおすすめします。短いフレーズや小さな情景描写に強い味わいがあるため、単純にメロディだけ追うのではなく、一度歌詞を追いながら聴くと奥行きが出ます。
おすすめレコード(アルバム)一覧
1. Warren Zevon(1976)
解説:メジャー・デビュー作として広く知られるセルフタイトル盤。カリフォルニアのシーンの中で録音され、ジヴォンの作家性が一気に花開いた作品です。プロダクションは比較的ナチュラルで、歌詞の語り口が前面に出ます。
- 聴きどころ:代表曲「Poor, Poor Pitiful Me」「Carmelita」など。皮肉と同情が同居する人物描写が光る。
- 背景:この時点でジヴォンはストーリーテラーとしての基盤を確立。ドラマチックな情景描写と、時折見せる冷笑的視点が特徴。
2. Excitable Boy(1978)
解説:商業的成功と批評的評価の両方を獲得した代表作。シングル「Werewolves of London」は広くヒットし、ジヴォンの名を一般的に知らしめた曲です。しかしアルバム全体はコミカルな曲ばかりでなく、暗い物語性や人間の弱点をえぐるものが多く含まれています。
- 聴きどころ:「Werewolves of London」「Lawyers, Guns and Money」「Excitable Boy」。キャッチーさとサディスティックなユーモアの共存。
- 背景:シンガーソングライターとしてのスタイルがポップ・センセーションに結びついた稀有な例。バンド演奏の密度も高く、レコードとしての完成度が高い。
3. Stand in the Fire(1981) — ライブ盤
解説:ジヴォンのステージの強さを伝えるライヴ・アルバム。スタジオ盤では抑制された楽曲も、ライヴでは荒々しく、よりダイレクトに感情が出ます。ファンにとっては欠かせない一枚です。
- 聴きどころ:スタジオ・ヒットのライブ解釈を通じて、歌の息づかいと場の熱を体感できる。
- 背景:1970〜80年代のツアーでのアグレッシブさが凝縮されており、ジヴォンの“生”の魅力がよく出ています。
4. Sentimental Hygiene(1987)
解説:1980年代後半の作品で、アレンジやプロダクションに当時の感触が強く出ています。いくつかの曲ではよりロック志向のサウンドが採られ、ジヴォンの柔軟性が示されます。
- 聴きどころ:リズムの強化やエレキの導入で、硬派なロック・トーンが増える。歌詞は相変わらず皮肉と哀愁に満ちる。
- 背景:時代を反映したプロダクションだが、ジヴォンらしい作家性は失われていない点が評価される。
5. Life'll Kill Ya(2000)
解説:2000年発表の佳作で、死や後悔、年齢の問題をテーマにした楽曲が並びます。成熟した作家の内省が色濃く反映され、穏やかながら深い余韻を残す一枚です。
- 聴きどころ:渋いアコースティック曲や局所的に不穏さを帯びるメロディ。ジヴォンの語り口が「熟成」された感触。
- 背景:キャリア後期の名盤と評され、静かな中にある覚悟やユーモアの交錯が魅力。
6. The Wind(2003) — 最終作
解説:ジヴォンの遺作にあたるアルバムで、発表後間もなく彼は他界しました。がん告知を受けて制作されたことが知られており、死を見据えた率直な歌詞と、豪華なゲスト陣による支えが大きな話題になりました。
- 聴きどころ:静謐でありながら胸を打つメロディと、老いと死を見つめる歌詞の直截さ。ゲストのコーラスやギターが、曲ごとに彩りを添えています。
- 背景:ポストヒューマン的評価が確立した作品で、批評家から高い評価を受け、受賞歴もあります。ジヴォンのキャリアにおける“総括”的な位置づけ。
特別に触れておきたい:編集盤とコンピレーション
初心者が入門するにはベスト盤や編集盤も有用です。年代順に名曲を追いたい方には編集盤が、曲の個別の魅力を掴みたい方にはスタジオ盤とライヴ盤の併聴をおすすめします。
- ベスト盤は代表曲の整理に便利。だがアルバム単位で聴くことで、ジヴォンの“物語作家”としての肉付きをより感じられます。
初心者へのおすすめ聴き順(入門ルート)
- まずは「Excitable Boy」 — 代表曲とジヴォンの作風が一度にわかる。
- 次に「Warren Zevon(1976)」 — 初期作の歌詞世界を補強。
- その後「Stand in the Fire」 — ライブでの強度を体感。
- 最後に「Life'll Kill Ya」と「The Wind」 — 人生後半の深みを味わう。
盤の選び方(コレクター視点の簡単な指針)
オリジナル・プレス盤(1970年代のElektra等)を探すと当時の息づかいが感じられます。一方、リマスターや公式再発は音像が整理されており現代のオーディオ機器で聴きやすい利点があります。ライブ盤は複数テイクを聴き比べるとジヴォンの解釈の幅が見えて面白いでしょう。
総括 — なぜウォーレン・ジヴォンを聴くのか
ジヴォンの音楽は「物語」と「皮肉」が共存する稀有な世界観を持っています。短いフレーズや決めの一言に独特の重量があり、聴けば聴くほど言葉の裏側が見えてくるタイプの作家です。ポップなフックを持つ曲から、胸に刺さる静かな歌まで、彼のカタログは多彩で、アルバム単位で聴くことでその幅と深みを味わえます。
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参考文献
- Warren Zevon — Wikipedia
- Warren Zevon — AllMusic
- Warren Zevon — Discogs(ディスコグラフィ)
- The Wind (Warren Zevon album) — Wikipedia


