Ian Dury & The Blockheads(イアン・デューリー&ザ・ブロックヘッズ)入門:レコードで聴くべき名盤・シングル&収集ガイド
イントロダクション
Ian Dury and the Blockheads(イアン・デューリー&ザ・ブロックヘッズ)は、パブロック/ニュー・ウェイヴ期に登場した英国ロックの稀有な存在です。リズムの巧みさとソウルフルなベース、チャズ・ジャンクルらのファンキーなアレンジを土台に、イアン・デューリーの語りかけるような英語のリリック(機知と社会観を併せ持つ)が強烈な個性を放ちます。本稿では、入門からマニアックなコレクション候補まで、レコードを中心に「聴くべき作品」を深掘りして紹介します。
聴く前に押さえておきたいポイント
歌詞重視のアーティスト:Duryは詩的かつ口語的な語り口で日常やユーモア、社会観を書きます。英語圏のスラングや地名ネタが多いので、歌詞を追うとより味わえます。
バンドの演奏力:ノーマン・ワット=ロイ(ベース)やチャズ・ジャンクル(ギター/鍵盤)らの演奏はファンク〜R&Bの影響が強く、ポップでありながらグルーヴが立っています。
シングルの存在感:多くの代表曲はシングルでのインパクトが強く、アルバム収録曲とは別にシングルだけでまとまった体験ができます。編集盤やシングル集も重要です。
おすすめレコード一覧(優先順・入門〜深掘り)
New Boots and Panties!!(Ian Dury)
イアン・デューリーの初期代表作。ヒット曲や名作が凝縮されており、Duryの世界観を最もストレートに味わえる一枚です。ユーモアと哀感が同居する歌詞、泥臭いロックとソウルの融合が魅力。初期の名曲群(例:「Sex & Drugs & Rock & Roll」「Sweet Gene Vincent」「Wake Up and Make Love with Me」「Billericay Dickie」など)を収録した、まず押さえるべきレコードです。
Do It Yourself(Ian Dury & The Blockheads)
バンド名義になり、よりグルーヴ重視のサウンドが前面に出た作品群の代表格。シングルヒットをはじめ、彼らの演奏力とアレンジの幅が良く分かるアルバムです。ポップかつ技巧的なアンサンブルが魅力で、アルバム単位での完成度も高いです。
シングル:"Hit Me with Your Rhythm Stick"(Ian Dury & The Blockheads)
バンドの代表的な一曲。ノーマン・ワット=ロイのベースラインとチャズ・ジャンクルのアレンジ、Duryの語りが一体となった名作シングルで、彼らのポップセンスとグルーヴ感が極まったトラックです。オリジナル盤や良質なリイシューで聴くと、演奏の細部がよくわかります。
"Reasons to Be Cheerful, Part 3"(シングル)
リスト形式の歌詞で祝祭的な雰囲気を作り出す名曲。シングルとしての完成度が高く、ライヴでも盛り上がる定番です。編集盤やベストでまとめて聴くのもおすすめ。
Laughter(Ian Dury & The Blockheads)
やや落ち着いた作風や実験的なアプローチも覗かせる時期の作品。歌詞の深さやアレンジのバリエーションが目立ち、バンドの別側面を知るために価値のあるアルバムです。
編集盤・アンソロジー(Jukebox Dury / ベスト盤 等)
シングル曲やアルバム未収録トラック、編集による再構成を一度に聴けるので、コレクションの起点として便利。入手や聞き比べの効率が良く、初めて手にするなら2枚組のアンソロジー系が実用的です。
ライヴ盤(公式ライブ/ブート含む)
ブロックヘッズの実力はライヴでこそ際立ちます。公式ライヴ盤や良質な録音のブートでの演奏は、レコードコレクションの幅を広げてくれます。
各アルバムの聴きどころ(もう少し深堀り)
New Boots and Panties!! — 歌詞世界の豊かさとポップセンス。Duryの語りかけるボーカルは俳優的で、ローカルな人間味や皮肉が詰まっており、英語詞のニュアンスを追うと更に味わい深いです。バックの演奏は派手さはないが生々しいグルーヴを持ち、曲ごとに表情が変わります。
Do It Yourself — バンドとしての結束と実験。より凝ったアレンジ、ダンス・グルーヴ寄りのトラック、ポップなメロディを持つ曲が混在し、シングル的な強さも兼ね備えます。バンド・サウンドを重視するなら本作が分かりやすいです。
シングル群(Hit Me... / Reasons... 等) — ラジオやダンス・フロアでの即効性を狙ったキラートラック群。アルバムの文脈を離れても単独で強烈な印象を残すので、編集盤より先にシングルを追うのも良い戦略です。
聴き方と収集のヒント
入門は「New Boots and Panties!!」→代表シングル→「Do It Yourself」という順がおすすめ。歌詞カードや和訳を用意すると、Duryの言葉遊びがよく楽しめます。
オリジナル・ステレオ盤(Stiff Records初期プレス)は音の雰囲気やジャケットの質感が独特で人気があります。一方でリマスター盤は音像が整って聴きやすいので、好みに合わせて選ぶと良いでしょう。
シングルは当時のミックスやテイク違いがあることがあるため、コレクターは盤ごとのクレジット(A/B面、プレス年、マトリクス)を確認しましょう。
最後に
Ian Dury and the Blockheadsは、詞と演奏の両立において独自の位置を占めるアーティストです。まずは代表作を通してDuryの語り口とブロックヘッズのグルーヴに身を委ね、その後でシングルやライヴ音源、編集盤を掘る——という楽しみ方が最も面白いはずです。
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参考文献
- Ian Dury and the Blockheads — Wikipedia
- New Boots and Panties!! — Wikipedia
- Do It Yourself (Ian Dury album) — Wikipedia
- Ian Dury & the Blockheads — AllMusic


