ボアダムスのレコード入門ガイド:初心者向けの名盤と聴き方
はじめに:ボアダムス(Boredoms)とは
ボアダムス(Boredoms、邦表記:ボアダムス)は、山塚アイ(Yamataka Eye)を中心に1980年代後半に結成された日本の実験/ノイズ/サイケデリック・ロック・バンドです。初期のパンク/ノイズ志向から、やがて大規模なリズムの実験やミニマルなサウンドスケープへと変化し、アルバムごとに大胆に音楽性を刷新してきたことが特徴です。本コラムでは「レコードで聴く」ことを前提に、ボアダムス入門として押さえておきたい名盤・おすすめ盤を解説します。
選び方のポイント
どこから聴くか:ノイズ/パンク寄りの初期作 → スペイシー/サイケ寄りの中期作 → ドラム主体のライブ/コンセプト作という流れで聴くと変化がよく分かります。
アルバム単位での完成度:ボアダムスはアルバムごとに世界観を構築するタイプなので、曲単位のヒット曲よりもアルバム全体を通して聴く価値があります。
ライブ音源やEP群(Super Rootsシリーズなど)も重要:本編アルバムとは別の実験性を示すため、好奇心が刺激されます。
おすすめ盤:深掘りガイド
1. 初期の衝撃 — Soul Discharge(代表的初期作)
ボアダムスの原初的エネルギーとカオスが詰まった時期の代表作。即物的なノイズ、パンク的な突進力、そしてアイのシャウトが前面に出た音像は、バンドが後に到達する繊細さとは対照的な“原点”を示します。レコードで聴くと、音の密度や芯の立ち方がより生々しく感じられます。
何を期待するか:混沌としたノイズ、突発的なテンポ変化、即興的熱量。
聴き方のコツ:一曲ずつ区切って聴くより、勢いを保ったまま通しで聴くと当時の空気感が伝わります。
2. 過渡期の名盤 — Pop Tatari
初期の荒々しさと、後のポップ/実験性が交錯する過渡期の傑作。曲構成や音作りに遊びが増え、サイケデリックな要素やリズムの揺らぎが顔を出します。バンドの多面性を知るうえで重要な一枚です。
何を期待するか:ノイズとメロディ、実験とポップの狭間。
聴き方のコツ:アルバムの「振れ幅」を楽しむ。短い混沌の断片と長い跳躍的パートが交互に現れます。
3. 中期の転換点 — Chocolate Synthesizer
サイケデリックな色彩と音響実験がさらに深化したアルバム。ノイズ/ギターの歪みと、音の余白を活かした構成が印象的で、レコードでの空間感や低音の再現がとくに効果的です。ここから“音の巨大な塊”を作る作風が顕著になります。
何を期待するか:厚みのあるサウンドスケープ、サイケデリックな処理。
聴き方のコツ:レコードならではのダイナミクスを意識して、音の重心や余韻を味わってください。
4. キャリアの到達点 — Super æ
ボアダムスの芸術性が高い次元で結実したアルバムの一つ。複雑なリズム、層状に重ねられたノイズとシンセ、そして広がるサイケデリックな空間が、聴き手を非日常へと誘います。LPで聴くと曲間の余白や定位がより明確に感じられ、アルバムの“構築美”を堪能できます。
何を期待するか:多層的な構成、サウンドの彫刻的配置感。
聴き方のコツ:ヘッドフォンではなくスピーカーで空間を感じながら通しで聴くと良いです。
5. 大地とリズムの叙事詩 — Vision Creation Newsun
ボアダムスが“リズムとスペース”の探究に達した名盤。太鼓や打楽器的な反復、持続音、そしてサイケデリックな層が混ざり合い、アルバム全体を通じた叙事詩のような聴き応えがあります。レコードでの低音の解像と空間の再現性が、この作品の体験価値を高めます。
何を期待するか:反復するビート、儀式的な高揚感、心地良い持続音。
聴き方のコツ:夜や落ち着いた時間帯に通して聴くと没入しやすいです。
6. 実験EP群 — Super Rootsシリーズ
短編的な実験やアイデアの飛躍が詰まったシリーズ。アルバムとは別軸の自由度が高く、ライブっぽい即興性や特殊なサウンド処理を楽しめます。コアなファンや“掘り出し物”を探したいレコード収集者におすすめです。
何を期待するか:短い実験曲、リズムの断片、遊び心。
聴き方のコツ:一枚だけでなく複数のSuper Rootsを聴き比べると傾向が見えてきます。
7. ライブ/プロジェクト作品 — 77 Boadrum / 88 Boadrum 他
多数のドラマーを動員した大規模演奏「Boadrum」シリーズは、ボアダムスの“リズムへの執着”を象徴します。レコードや公式リリースでその一端を体感できます。密室的なノイズとは対極の、野外やホールを満たす巨大なサウンドの圧力が特徴です。
何を期待するか:多数の打楽器が作る圧倒的なグルーヴと物理的な音の圧。
聴き方のコツ:大きめの音量で低域を含めて再生するとライブ感が増します。
どの盤を先に買うか(入門順の提案)
まずは「Vision Creation Newsun」または「Super æ」:バンドの到達点を知るのに最適。
初期の迫力を知りたいなら「Soul Discharge」→「Pop Tatari」:変化の過程を楽しめます。
さらに実験的な側面が好みなら「Super Roots」シリーズや「77 Boadrum」を。
レコードで聴く際の楽しみ方の提案(音楽体験として)
通しで聴く:ボアダムスはアルバム全体で世界観を作るタイプ。曲の間にある余白や曲順の流れを味わってください。
場面を作る:暗めの照明や深夜の時間帯に聴くと没入しやすいアルバムが多いです。
音像の変化を観察する:初期の粗さ → 中期の密度 → 後期の巨大リズムへと移る音像の推移を楽しんでください。
コレクションのヒント
オリジナル盤・初回盤には独自のジャケットやマスタリングがある場合が多く、コレクターズ・アイテムとしての価値があります。
再発盤は入手しやすく、音質面でも優れたマスターが使われていることがあるため、状態とマスタリング情報を確認して選ぶと良いでしょう。
EPや国内盤、輸入盤でトラック差異やボーナストラックが存在することがあるため、購入前にトラックリストを確認してください。
まとめ
ボアダムスは“聴くたびに新しい発見がある”バンドです。ノイズとポップ、混沌と秩序、個の叫びと集団のビート──その振幅の大きさが魅力。レコードで聴くと、音の物理性や空間性がより強く伝わり、作品ごとの世界観を深く味わえます。まずは「Vision Creation Newsun」「Super æ」あたりから入って、興味が向いたら初期作やEP群、ライヴ作品へと掘り下げていくのがおすすめです。
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