Metallica レコードを極める:初回プレス・180g盤の比較とおすすめアルバム総まとめ
はじめに — Metallica とレコードの相性
Metallica はスラッシュ/ヘヴィメタルを代表するバンドであり、ギターの攻撃性、ドラムの迫力、曲構成のドラマ性がレコードでの再生に非常に映えます。本コラムでは「レコードで聴くのに特におすすめの作品」を中心に、各アルバムの魅力・代表曲・レコード選びの観点から深掘りして解説します。レコード本体の取り扱いやメンテナンスの方法そのものには踏み込みませんが、どの盤を狙うべきか、どの点に注意するかを詳述します。
おすすめレコード:Kill 'Em All(1983)
デビュー作。スラッシュの原点とも言える速さと荒々しさが詰まった一枚で、初期Metallicaの生々しさをダイレクトに味わえます。
- 代表曲:"Hit the Lights"、"Whiplash"、"Seek & Destroy"
- 魅力:粗さを残した演奏・簡潔で力強いミックス。アグレッシブなギターとドラムのエネルギーがレコードでよく伝わる。
- レコード選びのポイント:初期プレス(Megaforce / 独自プレス)はコレクターズアイテム。ただし初期盤は盤質ムラがあることもあるため、良好なコンディションを重視するか、評判の良い180gリイシューで安定した音質を選ぶか判断を。
おすすめレコード:Ride the Lightning(1984)
デビュー作よりも音楽性とアレンジが広がった2作目。メロディとテクニックが増し、名曲が並ぶアルバムとして評価が高いです。
- 代表曲:"For Whom the Bell Tolls"、"Fade to Black"、"Creeping Death"
- 魅力:ヘヴィさと叙情性の両立。アコースティック導入やドラマティックな展開があり、レコードでのダイナミクス表現が効果的。
- レコード選びのポイント:マスタリングの違いが音像に影響します。オリジナル・プレスは価値が高いが、バランス重視ならバンド監修や信頼できるマスターを使用した再発(180gなど)を検討。
おすすめレコード:Master of Puppets(1986)
多くのファン・批評家から最高傑作とされるアルバム。構成、楽曲の完成度、演奏の密度いずれも高次元です。
- 代表曲:"Battery"、"Master of Puppets"、"Welcome Home (Sanitarium)"
- 魅力:テンポ変化や楽曲の重厚さ、ベース/ギターの絡みが非常に豊か。ステレオイメージや中低域の厚みがレコードで生きる。
- レコード選びのポイント:初回プレスはコレクション価値が高い。音質重視なら信頼性のある高重量盤(180g)やバンド監修の再発を探すと良い。オリジナルの温度感を重視するか、クリアで現代的な音を重視するかで選択。
おすすめレコード:...And Justice for All(1988)
複雑な構成と長尺曲が特徴。制作上のミックス(特に低域の抑制)が話題になったアルバムです。
- 代表曲:"One"(映像/シングルでの知名度も高い)
- 魅力:アレンジの複雑さとリズムの精密さ。ギターの切れ味とスネアの定位が強調された独特のミックスを持つ。
- レコード選びのポイント:オリジナル・ミックスは意図的にベースが控えめなため、低域の厚みを求めるなら後年のリマスターやファンが好むプレスを検討。マトリクス刻印(runout)でプレス由来の違いを確認すると良い。
おすすめレコード:Metallica(The Black Album)(1991)
商業的に大成功し、サウンドもよりモダンでタイトになった作品。多くの名曲を含み、初めてMetallicaを聴く人にも刺さりやすい一枚です。
- 代表曲:"Enter Sandman"、"Nothing Else Matters"、"Sad but True"
- 魅力:プロダクションの完成度が高く、低域の迫力とボーカルの前面への配置が特徴。音の重心が低く迫力があるためレコードでの満足度が高い。
- レコード選びのポイント:世界的に多くプレスされているため、良好なコンディションの初回プレスやバンド監修の高品質再発(180g)狙いが安全。特殊色盤や限定盤も多いが音質は個体差がある。
おすすめレコード:S&M(1999)
サンフランシスコ交響楽団との共演アルバム。オーケストラアレンジによって楽曲のスケールが拡張され、レコードでの空間表現が非常に魅力的です。
- 代表曲:"No Leaf Clover"、"Enter Sandman (S&M version)"
- 魅力:オーケストラとバンドの音場の奥行き・定位を楽しめる。ステレオ感、マイク/楽器ごとの分離が重要なので、良質なプレスで聴くと差が出ます。
- レコード選びのポイント:オーケストラ音源はマスターとプレス品質の差が音に顕著に出るため、公式リイシューや評判の良いプレスを選ぶのがおすすめ。
おすすめレコード:Death Magnetic(2008)
モダンなプロダクションで復帰感の強い作品。ただしリリース当時はCDのラウドネス(過度な圧縮)で批判を受けました。
- 代表曲:"The Day That Never Comes"、"All Nightmare Long"
- 魅力:曲自体はヘヴィでダイナミック。CDマスターの過圧縮が議論になりましたが、バージョンやプレスによってはゆとりある再生が可能。
- レコード選びのポイント:マスタリング差をチェック。ゲーミング版(Guitar Hero)や別マスターで好まれるサウンドが存在するため、複数プレスの評価を確認することが有益です。
おすすめレコード:Hardwired... to Self-Destruct(2016)/72 Seasons(2023)
近年作の代表例。現代的なメタル・プロダクションで、サウンドの分離や低域のコントロールが明確です。最新プレスは一般に盤質・プレス品質が安定しています。
- 代表曲(例):"Hardwired"、"Moth Into Flame"、"Lux Æterna"(72 Seasonsより)
- 魅力:モダンな録音技術で細部の輪郭が出やすく、良いプレスで高解像度に楽しめる。
- レコード選びのポイント:公式の帯同・バンド監修リイシューや高重量盤を中心に、盤の重量とマスターのクレジットを確認。
レコード選びの具体的ポイント(総括)
- オリジナル・プレス vs 再発:コレクション重視なら初回プレス、純粋に音質重視なら信頼できる高重量盤再発(180g 等)やバンド監修盤を検討する。
- マスタリング/マスター情報を確認:誰がマスタリングしたか、どのマスターが使われているかは音に直結する(オリジナルの温度感や低域の表現が変わる)。
- プレス地の違い:日本盤はジャケット品質や付属物が良好なことが多く、欧州/米国プレスは音傾向が異なる場合がある。Discogs の各プレスのレビューや試聴で比較するのが有効。
- プレス重量と盤質:一般に180g などの重量盤は歪みが少なく評価されやすいが、単純に重さだけで音が決まるわけではない。プレスの評判と個体の状態を重視。
- 限定色盤・特別盤:ビジュアル的魅力が大きい一方、色盤は黒盤よりノイズが出やすい場合があるため音質を最優先するなら黒盤の良コンディションを選ぶのが確実。
- 状態のチェック:中古で買う場合は盤面のキズ、歪み、ジャケットの保存状態、付属物の有無を確認。信頼できるショップや出品者からの購入が安心。
- 情報収集の習慣:Discogs のマトリクス/ランアウト刻印やユーザー評価、フォーラムの比較記録を参照すると、どのプレスが音質的に優れているか把握しやすい。
どの盤を優先するか — 目的別の選び方
- 「音で聴く」ことが第一:高品質な再発(バンド監修・プロフェッショナルなリマスター)、180g 黒盤、評判の良いプレスを優先。
- 「コレクション性」を重視:オリジナル初回プレス、サイン入り、限定カラービニール、初期のジャケット仕様(日本盤の帯など)を狙う。
- 「ライブ感・空間表現」を楽しみたい:S&M のようなオーケストラ盤やライブ盤は、音場表現を重視したプレスが向いている。
購入・比較の具体的な手順(実用的な流れ)
- 欲しいアルバムの主要プレスを Discogs などでピックアップし、マスタリング/プレス情報、ユーザー評価を確認する。
- 出品写真で盤面・ジャケットの状態をチェックし、出品者の評価や返品ポリシーを確認する。
- 可能なら試聴クリップやレビュー(YouTube、オーディオフォーラム)でプレス間の比較を行う(同じ曲で音の差を確認)。
- 価格と希少性、運送リスク、個体の状態を勘案して購入を決定する。
最後に — Metallica レコードの楽しみ方
Metallica の作品は時代ごとに音作りや表現手法が変わり、それがレコードでの聴こえ方にも大きく影響します。初期の荒々しさ、中期の構築美、近年の洗練されたプロダクション——それぞれに“正しい聴きどころ”があり、どの盤を選ぶかで体験は大きく変わります。本稿があなたのコレクション選びと試聴体験を豊かにする一助になれば幸いです。
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参考文献
- Metallica — 公式サイト
- Discogs — レコード/プレス情報のデータベース
- Wikipedia — Metallica(英語)
- AllMusic — Metallica のディスコグラフィーとレビュー
- Blackened Recordings — Metallica による公式リイシュー情報


