Nuno Bettencourtの軌跡とギター像—Extremeの伝説的リードギタリストに学ぶテクニックと作曲術
プロフィール — Nuno Bettencourtとは
Nuno Duarte Gil Mendes Bettencourt(ヌーノ・ベッテンコート)は、ポルトガル系アメリカ人のギタリスト、作曲家、プロデューサー。1966年9月20日生まれ。1980年代後半からシーンで頭角を現し、ロック/ファンク/メタルを横断する独自のギタープレイと優れたソングライティングで知られる。最も広く知られるのはバンド「Extreme」のリードギタリスト兼共同作曲者としての活動で、バンドのサウンドと成功に決定的な役割を果たした。
経歴の概略
- 1980年代後半:ローカルな活動を経て、ボストンでGary CheroneらとExtremeを結成。
- 1990年前後:「Pornograffitti」などのヒットで国際的成功を獲得。「More Than Words」や「Hole Hearted」などの楽曲が広く支持される。
- 1990年代後半〜2000年代:ソロプロジェクト(例:Schizophonic)やMourning Widows、Population 1など自らのバンドを率いて活動。プロデュースやセッション、他アーティストとのコラボも行う。
- 2000年代:一時的にポップ/R&B系アーティストのツアーやサポート活動も経験(例:ポップアーティストのツアー参加など)。
- 2000年代以降:Extremeの再結成や新作、ソロ活動を並行しつつ後進への影響を与え続けている。
音楽的魅力の深掘り
Nunoの魅力は「テクニック」と「ソングライティング」を両立させる点にある。単に速く弾くのではなく、楽曲の歌心やグルーヴを第一に据えた演奏をするため、多くのリスナーに“説得力”を持って届く。
演奏技術(ギター・テクニック)
- ハイブリッド・ピッキング(ピックと指を併用する右手技法)による滑らかなフレージングとファンキーなカッティング。
- オルタネイトとレガートを織り交ぜた高速フレーズ、タッピングやハーモニクスなどを効果的に用いるバランスの良さ。
- リズム感の強さ:リードプレイとリズムギターの境界を自由に行き来し、楽曲全体のダイナミクスをコントロールする能力。
作曲・アレンジの妙
- ヘヴィなリフと歌ものメロディの融合。ヘヴィな楽器隊の中に際立つメロディを置く作曲手法。
- 楽曲の起伏を活かすアレンジ力。アコースティックなパートとエレクトリックなパートを効果的に対比させることで、曲に物語性を与える。
- ポップな感性とマニアックなギター趣向の両立。ヒット曲の書き手としての側面も強い。
トーンと表現
トーン面では、クリーンなアルペジオから歪んだリードまで幅広く使い分ける。音色はきめ細かく、ピッキングの強弱やアーティキュレーションでフレーズに表情を与えるため、機材の違い以上に“弾き手の表現力”が前面に出る。
代表曲・名盤(Nunoの関わったものを中心に)
- Extreme — Pornograffitti (1990)
バンドのブレイク作。Nunoのギター・ワークと曲作りが最も広く知られるきっかけになったアルバム。代表曲「More Than Words」「Get the Funk Out」「Decadence Dance」など、多彩な側面を提示している。 - Extreme — III Sides to Every Story (1992)
コンセプト的要素も強いアルバムで、ドラマチックなアレンジや複雑な構成が光る。バンドとしての音楽的成熟がうかがえる作品。 - Nuno Bettencourt — Schizophonic (1997)
ソロ名義の作品。ギター中心のアプローチだけでなく、ボーカル/ソングライターとしての側面も見せたアルバムで、個人的な音楽的志向が反映されている。 - Extreme — Saudades de Rock (2008)
再結成後の作品。過去の要素を踏まえつつ、成熟した楽曲群とNunoのギターが健在であることを示した。
コラボレーションと多面的な活動
Nunoはバンド活動だけでなく、他アーティストのサポートやセッション、プロデュース業務など多岐にわたる活動を行ってきた。ジャンルを横断する柔軟性があり、それが長期に渡るキャリアを支えている。
影響とレガシー
- 90年代以降のロック/ファンク寄りのギタリストへ大きな影響を与えた。技巧だけでなく“歌わせるギター”という観点での模範となっている。
- 楽曲作りにおけるメロディの重視や、バンドアンサンブルを意識したギターアプローチは、多くのプレイヤーにとって学ぶべき点が多い。
ギタリストとして学ぶためのポイント(実践的アドバイス)
- 右手のコントロールを磨く:ハイブリッド・ピッキングや指弾きの切り替えをスムーズにすることで、Nuno的なフレーズの滑らかさを得られる。
- リズムとフレーズを同等に重視する:リフを弾くときのグルーヴ感、休符やアタックのニュアンスに注意する。
- 曲作りでは「メロディ」を第一に:テクニックに走る前に、歌として成り立つかを常にチェックする。
- ダイナミクスを大切にする:強弱、音色の切り替え、アンサンブルとの兼ね合いで表現を作る。
まとめ
Nuno Bettencourtは“技巧派ギタリスト”というラベルに留まらず、楽曲を豊かにするための演奏家・作曲家である。テクニックの華やかさだけでなく、歌心・グルーヴ・アレンジセンスを兼ね備えた点が彼の最大の魅力だ。彼のプレイを分析すれば、単に速く弾く方法だけでなく、音楽全体をより魅力的にするギターの使い方を学べるはずだ。
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参考文献
- Nuno Bettencourt — Wikipedia
- Nuno Bettencourt — AllMusic
- Extreme — 公式サイト
- Guitar World: Nuno Bettencourt に関する記事
- Premier Guitar: Nuno Bettencourt 関連記事


