Paquito D'Rivera(パキート・ドリヴェーラ)— クラリネットとサクソフォンで紡ぐアフロ・キューバとジャズの融合と架け橋
プロフィール:Paquito D'Riveraとは
Paquito D'Rivera(パキート・ドリヴェーラ)は、1948年6月4日ハバナ生まれのクラリネット奏者・サクソフォーン奏者、作曲家です。クラシック教育を受けた上でジャズやアフロ・キューバ音楽に深く関わり、ジャンルの壁を越えた活動で国際的に知られています。演奏・作曲の両面で高く評価され、グラミー賞やラテン・グラミー賞をはじめ多数の受賞歴があります。
経歴の概観(ポイント)
- ハバナでクラシック音楽の教育を受け、若くして高水準の演奏技術を獲得
- 1970年代に登場した革新的なキューバのバンド(Irakereなど)の中心人物として、アフロ・キューバン音楽と現代ジャズの融合を推進
- 後にキューバ国外へ拠点を移し、ニューヨークを拠点に国際的なキャリアを展開
- ソリスト、バンドリーダー、作曲家として多彩な録音と共演歴を持つ
音楽的な魅力を深掘り
1) 極めて高い技術と表現の幅
クラリネットとアルト/ソプラノ・サクソフォンを自在に使い分ける技術は、クラシックで培った基礎とジャズ的なアプローチが融合したものです。高速のビバップ的フレーズも、情緒豊かなバラードも同じ説得力で聴かせ、音色のコントロールやニュアンスの豊かさは聴衆を惹きつけます。
2) ジャンル横断のレパートリーと作風
パキートの真骨頂はジャンルを横断する柔軟性です。ビバップ、モダンジャズ、アフロ・キューバのリズム、ダンソンやチャチャチャ、さらにはタンゴやクラシックの要素まで取り込み、オリジナル曲やアレンジで独自の世界を築きます。その結果、聴き手は「キューバの伝統」と「北米・ヨーロッパ発のジャズ表現」が有機的に結びついた新しい音楽体験を得られます。
3) 即興と構成感のバランス
即興演奏ではモダンなハーモニー感とラテン系リズムへの適応力が光りますが、単なる技巧の見せ場に終わらせず、メロディラインやフレーズの構成を意識した演奏で物語性を生み出します。これによりクラシック的な「形」とジャズ的な「即興」が共存します。
4) ステージでの存在感とコミュニケーション
彼のライブは音楽的な精度だけでなく、表現力・ユーモア・観客とのやり取りにも富んでいます。ソロをとる瞬間やアンサンブルの中での合図、リズム賦活の仕方など、バンドメンバーとの緻密なコミュニケーションがライブの熱気を生み出します。
代表曲・名盤(入門ガイド)
- Irakere時代の録音(1970年代) — アフロ・キューバンなビートとジャズ的ソロが融合した歴史的音源。パキートを知る上で必聴。
- ソロ/リーダー作(代表例) — パキート名義のアルバム群は、ジャズとラテン、クラシックの要素をバランスよく聴ける作品が多い。まずはベスト盤やライヴ盤から入ると彼の多面性が掴みやすい。
- コラボレーション作品 — ピアニストやビッグバンド、クラシック編成との共演作も多く、編成別の表現の違いを楽しめます。
(注:具体的なアルバム名を挙げると選択肢が多いため、まずはIrakere期の録音とソロ名義の代表作を聴くことをおすすめします。)
ライブでの楽しみ方
- イントロやテーマが出た段階でリズムやハーモニーの骨格を把握しておくと、即興が変化していく過程を追いやすい。
- クラリネットとサックスでの音色の切り替えに注目すると、同じ奏者が異なる声で語りかける面白さがわかる。
- アンサンブルの中での小さな掛け合いやリズム・アクセントの変化に敏感になると、バンド全体の緊張感がより伝わる。
教育・文化的側面と影響
パキートは単なる演奏家にとどまらず、キューバ音楽とジャズの架け橋としての役割を果たしてきました。若手プレイヤーへの影響は大きく、技術面だけでなく「多文化的な音楽の捉え方」を体現する存在として、ワークショップや共演を通じて多くのムーブメントを促進しています。
受賞・社会的評価(概観)
キャリアを通じてグラミー系の賞を複数受賞するなど、国際的にも高い評価を受けています。批評家からは「技術と感性の両立」「ジャンルを超える芸術家性」が特に評価されており、ジャズ/ラテン音楽界の重要人物の一人として位置づけられています。
聴き手としての提案(入門〜深化のために)
- まずは代表的なライブ盤かベスト盤で彼の音色と即興の特徴を掴む。
- 次にIrakereなどバンド演奏を聴き、アンサンブルにおける役割やリズム感を理解する。
- さらにクラシック寄りの演奏や室内楽的な共演作を聴いて、表現の幅と構成力を比較する。
- 余裕があれば自伝やインタビューを読むことで、彼の音楽観や歴史的背景が深く理解できる。
まとめ — パキートの魅力とは何か
Paquito D'Riveraの魅力は、卓越した演奏技術と豊かな音楽性を持ちつつ、文化やジャンルを超えて自由に音楽を語れる点にあります。クラシック的な緻密さ、ジャズ的な即興性、アフロ・キューバンの躍動感が一人の表現者の中で自然に溶け合い、多様な聴き手に訴えかける力を持っています。彼の音楽に触れることは、ひとつの国やジャンルに閉じない「音楽の多様性」を味わうことでもあります。
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参考文献
- Paquito D'Rivera — Wikipedia (English)
- Paquito D'Rivera Official Website
- Paquito D'Rivera — AllMusic
- Grammy.com — Paquito D'Rivera
- NPR — Paquito D'Rivera(記事・インタビュー等)


