Mississippi John Hurtの音楽を深掘りする:指弾きギターとフォーク・ブルースの名盤レコードガイド
はじめに — Mississippi John Hurtとは
Mississippi John Hurt(1892?–1966)は、アメリカ南部ミシシッピ州出身のギタリスト/シンガーで、ブルースとフォークを柔らかく結びつけた独特のスタイルで知られます。1928年に最初のレコーディングを行いましたが、その後長く忘れられた時期を経て、1960年代のフォーク・リバイバル期に再発見され、若い聴衆のあいだで再評価されました。
音楽的特徴とレコードを聴く価値
- 指弾きの洗練されたギター:やわらかく跳ねるようなフィンガーピッキングが特徴で、メロディと伴奏を同時に奏でる「一人オーケストラ」的な魅力があります。
- 温かいボーカルと語り口:低くてやわらかい声質、冗談めいた語りと落ち着いた語感が親しみやすさを生み出します。歌詞は恋愛、日常生活、伝説や民話まで幅が広いです。
- ブルースとフォークの橋渡し:荒々しいデルタ・ブルースのイメージとは異なり、優美でメロディ重視。フォーク・リスナーにも入りやすい音楽性があります。
- レコードで聴く意義:彼の演奏は生々しいニュアンスやテンポの揺れ、マイクやレコーディング環境による音色の違いが魅力になるため、まとまったアルバムやオリジナル音源(または良質なリマスター)で聴くことをおすすめします。
おすすめレコード(深掘り)
ここでは「どのレコードから聴き始めるか」を基準に、歴史的価値・音楽性・入手しやすさの観点で厳選して紹介します。各項目でおすすめの聴きどころと選び方も解説します。
- 初期の78回転(1928年のOkehセッション)/コンピレーション
1928年にニューヨークで録音された最初期の音源群は、Mississippi John Hurtを知るうえで必聴です。オリジナルの78回転盤はコレクターズアイテムですが、現代では「Okehセッション」や「The Complete 1928 Sessions」といったコンピレーションCDやデジタル配信で手に入ります。
聴きどころ:初期の素朴さとともに、すでに確立された指弾きの技術と特有の歌唱が確認できます。代表曲として「Frankie」「Nobody's Dirty Business」「Louis Collins」などが収録されていることが多いです。
選び方のコツ:できるだけ音質の良いリマスター盤(信頼できるレーベルの再発)を選ぶと、当時の演奏表現がクリアに伝わります。
- 1960年代に再発見された後のVanguard録音(ライブ/スタジオ録音集)
1963年に故郷で再発見され、フォーク・リバイバル期に行われたコンサートやスタジオ録音は、より落ち着いた演奏と会場との相互作用(観客の声やMC)が残っている点で魅力があります。これらは当時の雰囲気を直接感じられる資料的価値も高いです。
聴きどころ:代表曲「Candy Man(Candy Man Blues)」「Spike Driver Blues」「Make Me a Pallet on Your Floor」「Stack O' Lee」など、後の世代に影響を与えた名演が多く残っています。MCやトークのやり取りから彼の人柄も感じられます。
選び方のコツ:Vanguardや他の信頼できるレーベルから出ているLP/再発CDを選ぶと、曲順や解説がしっかりしていることが多いです。
- 編集盤・ベスト盤(入門向けのコンピレーション)
膨大な再発があるため、入門者は「名曲を効率よく聴ける編集盤」から始めるのが現実的です。代表曲を網羅し、音質の良いリマスターを施したベスト盤は、彼の多面性を短時間で掴むのに向いています。
聴きどころ:初期録音と1960年代録音の両方をバランスよく収録している編集盤を選べば、音楽性の変遷がわかります。
選び方のコツ:解説(ライナーノーツ)に彼の生涯や録音背景の説明が付いている盤を選ぶと楽しみが深まります。
- 高音質リマスター/アナログ再発(オーディオファン向け)
レコードでの音場感や微細なニュアンスを楽しみたい場合は、高品質なリマスター盤やアナログLP再発を検討してください。オリジナルの雰囲気を残しつつノイズ処理やEQで改善された盤が狙い目です。
聴きどころ:ギターのタッチ感、指の動き、ボーカルの息遣いなど、演奏者の“息づかい”がより明瞭になります。
選び方のコツ:レビューやオーディオフォーラムで音質評価が高い盤を選ぶ。レーベル(Vanguard、Yazoo、Smithsonian/Folkwaysなど)の評価を確認しましょう。
楽曲ごとの聴きどころ(代表曲ピックアップ)
- Frankie
物語性の強い曲。語り口のリズムとメロディが印象的で、彼の民謡的側面がよく出ています。
- Candy Man(Candy Man Blues)
軽やかなフィンガーピッキングとキャッチーなフレーズが特徴。カバーも多く、彼の代表曲の一つ。
- Spike Driver Blues
ブルースの物語性と独特のリズム運びが感じられる楽曲。ダイナミックさと抑制のバランスが魅力です。
- Make Me a Pallet on Your Floor
伝統的なブルース/フォーク曲の解釈の一例。シンプルな構造ながら表現力豊かで、ライブでも盛り上がる定番です。
- Stack O' Lee(Stack-O-Lee)
アメリカ民謡「Stack-O-Lee」を親しみやすく歌ったバージョン。物語の語り分けやリズム処理に注目。
レコード選びの実践的アドバイス
- まずは「編集盤で名演と代表曲を把握」→次に「初期録音(Okeh)」「1960s再発見録音(Vanguard等)」の両方を聴き比べると、彼の変化と持ち味がよくわかる。
- ライナーノーツや解説を読むと、録音背景・時代背景が理解でき、楽曲の聴き方が深まる。
- オーディオ的に楽しみたい場合は、信頼できるレーベルのリマスター盤や180g重量盤LPなどを選ぶと良い(レビュー確認推奨)。
まとめ
Mississippi John Hurtは、やわらかく温かいギターと歌でブルースとフォークの橋渡しをした稀有な存在です。入門は編集盤で、より深く踏み込むなら1928年の初期録音と1960年代の再発見後の録音を比較して聴くことをおすすめします。楽曲ごとの味わい、演奏のニュアンスを楽しみながら、彼の人柄や時代の空気も一緒に味わってください。
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