Jamie xx のアナログ盤厳選タイトル大全:In Colour/We're New Here/the xxの名盤を選ぶポイントと聴き方
はじめに — Jamie xx とは何者か
Jamie xx(ジェイミー・エックス)はロンドンを拠点に活動するプロデューサー/DJで、インディー・ポップ〜エレクトロニカ〜UKガラージ/ベース〜クラブ・ミュージックの要素を独自に融和させたサウンドで知られます。バンド〈the xx〉のメンバーとしての活動と並行してソロ/プロデュース仕事を展開し、クラブ向けのダンストラックから繊細なサンプリング作品、リミックスアルバムに至るまで幅広いレパートリーを持ちます。本コラムでは「レコード(アナログ盤)で所有しておく価値が高い」Jamie xx 関連のおすすめタイトルを厳選して、その魅力や聴きどころを深掘りします。
1. In Colour(2015) — ソロ名義の代表作
概要:Jamie xx の初のフルアルバム。クラブ・ミュージックのリズム感とポップ/ソウルの歌ものを融合させた作風で幅広い評価を得ました。
- 聴きどころ:シンセやサンプルの温度感、リズムの緻密なレイヤリング、ソウルフルなゲスト・ヴォーカルの起用が印象的です。中でも「Loud Places(feat. Romy)」は感情の揺らぎを上手く捉えた名曲で、クラブ的なビートと郷愁的なメロディの共存が光ります。「Gosh」は壮大な展開と空間処理が際立ち、フェス/クラブ両方で映えるトラックです。「I Know There's Gonna Be (Good Times)」はジャマイカン・ダンスホールの要素を取り入れたクロスオーバー・チューン。
- アルバムの魅力:アルバム通して矢継ぎ早にジャンルを行き来するのではなく、トーンと空間設計で統一感を作っている点がプロならでは。ダンスフロアの瞬発力とリスニングの余韻、両方を満たすバランス感覚が見事です。
- レコードとしての価値:スタジオ細工の質感(リバーブの広がり、低域の温度)がアナログで一層感じやすく、DJ的にカットインして遊ぶのも楽しい一枚です。
2. We're New Here(Jamie xx の再構築:2011)
概要:Gil Scott-Heron のアルバム『I'm New Here』をJamie xx が大胆にリミックス/再構築したプロジェクト。原曲の詩的で抑制されたヴォーカルを土台に、繊細なサンプリングとミニマルなビートで新たな文脈を与えています。
- 聴きどころ:原曲の出す空気感を尊重しつつ、Jamie xx 特有のスモーキーなビートやビンテージ感あるサンプル処理で別世界に置き換えるアプローチ。エモーショナルなヴォーカルと冷静なビートの対比が聴き手を引き込みます。
- 意義:単なるリミックス集を超えた“再創造”として高く評価され、Jamie xx のプロデューサーとしての感性と解釈力を強く印象付けた作品です。
3. the xx の主要作品(Band 活動の核として)
Jamie xx はソロだけでなく the xx のサウンドメイキングでも中核を担っています。バンドのアルバムは Jamie の持つミニマルな美学やサウンド・コラージュのセンスを理解するうえで重要です。以下の3作はレコードで持っておく価値があります。
- xx(2009) — 極薄のアンサンブルと静謐な感情表現。Jamie の細やかなサンプリング/ビート配置が効果的に効いています。
- Coexist(2012) — 間奏や余白の使い方、音像の空間作りがさらに洗練。ポップの直球から一歩引いた表現が魅力です。
- I See You(2017) — バンド作品としてのスケール感とポップ性が高まり、Jamie のリズム寄りのアプローチがより顕在化しています。
4. 重要なシングル/EP/セルフ・リリース類
短いフォーマットでJamie xx のアイデアが凝縮されたものを集めるのもおすすめです。
- 初期の12インチ(2009年頃のシングル群) — クラブ向けの素っ気ないフレーズやドラムワークが生々しく残っており、彼の出発点を感じられます。
- All Under One Roof Raving(2019、単曲) — ロンドンのレイヴ文化へのオマージュを込めたトラックで、歴史と個人的なメモリーを同時に提示する作品。
- リミックス集・EP群 — 他アーティストの曲を再解釈した作品群はJamie xx の音楽的な引き出しの広さが見えるので、レコードとしてコレクションに加える価値があります。
5. どの盤を選ぶか(購入時の視点)
- 初回盤 vs 再発:初回プレスは資産価値が出ることがある一方、音質やマスタリングは再発の方がリマスター済みで好まれることも。ショップの説明(マスタリング情報)を確認しましょう。
- 限定色盤・輸入盤:コレクター向けの価値はありますが、音質面では通常の黒盤と大差ない場合が多いです。見た目重視か音響重視かで選ぶと良いです。
- ライナーノーツとアートワーク:Jamie xx の作品はアートワークやクレジットに意味があることが多いので、インナースリーヴやブックレットが付くエディションを選ぶと理解が深まります。
6. 聴き方/楽しみ方の提案
- アルバム通しで聴く:In Colour や We're New Here は通して聴くことでトーンの連続性やドラマが浮かび上がります。曲単位の良さだけでなく配置と流れを味わってください。
- 比較試聴:the xx のアルバムとソロ作を交互に聴くと、Jamie がバンドで担っている役割(空間設計・リズムの置き方)とソロでの表現(ダンスミュージック的ダイナミクス)の違いが見えてきます。
- リミックス元と聴き比べ:We're New Here の元曲(Gil Scott-Heron のオリジナル)と比較すると、Jamie の編集・削ぎ落としの美学がより明瞭になります。
7. 最後に — Jamie xx の“聴く意味”
Jamie xx の音楽は、クラブの瞬発力と個人的な感情の余白を同居させる点で特異です。レコードという物理フォーマットで所有することで、曲の空間的な広がりや音の奥行きがより体感しやすくなります。初めて触れるならまずは In Colour を、Jamie の解釈の豊かさを深く知りたいなら We're New Here を、the xx の文脈も味わいたければバンドの主要作を一緒に揃えて聴き比べることをおすすめします。
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参考文献
- Jamie xx 公式サイト
- In Colour — Wikipedia
- We're New Here — Wikipedia
- the xx — Wikipedia
- Jamie xx — Discogs(ディスコグラフィ参照)


