マリアンヌ・フェイスフルの名盤おすすめガイド|代表作の聴き方と時代背景を徹底解説

マリアンヌ・フェイスフルとは

マリアンヌ・フェイスフル(Marianne Faithfull)は、1960年代のロンドンで登場したシンガー/ソングライターであり、長年にわたり音楽的な変遷と独特の歌声で評価を受けてきたアーティストです。初期はフォーク/ポップ寄りの若々しい歌声で注目され、その後の私生活や薬物・困難な時期を経て、1979年の『Broken English』で艶のある低音と陰影を帯びた表現へと見事に変貌しました。以降はロック、ポップ、カヴァー曲、現代アーティストとの共演など幅広い音楽性を示しています。

本コラムの狙い

ここでは「マリアンヌ・フェイスフルのレコード(作品)を深掘りして推薦」します。代表作の聴きどころ、楽曲/歌唱表現の魅力、時代背景や位置づけ、そしてどのようなリスナーに勧めたいかを中心に解説します(レコード盤そのものの再生・保管・メンテナンスの技術的な解説は含めません)。

おすすめレコード(厳選5作)

  • 初期フォーク期(代表作群) — 『Come My Way』ほか(1965年頃)

    特徴:若い頃のリリース群はフォークやトラディショナルを中心とした素朴なアレンジが多く、マリアンヌの透明感のある高音が魅力です。当時の名曲として広く知られる「As Tears Go By」(ローリング・ストーンズの楽曲だが彼女のヴァージョンも象徴的)は、この時期の彼女の人気を決定づけました。

    聴きどころ:声の若々しさとシンプルなギター/室内楽的伴奏により、歌詞の語り口やフレージングの端正さをじっくり味わえます。彼女のキャリアの起点を知る上で必聴です。

    おすすめリスナー:マリアンヌの“素の声”や1960年代の英国フォーク/ポップの風味を楽しみたい人。

  • 『Broken English』 (1979年)

    特徴:転機となった名作で、荒々しく陰影のある低声、荒廃感を帯びたリズムと電子的要素が融合した作品。彼女の“再生”を象徴するアルバムで、これによって批評的な再評価とともに新たなリスナー層を獲得しました。

    聴きどころ:声のキャラクターが大きく変わり、語るような歌い回しがよりドラマティックに。歌詞の内容も個人的な経験や社会的な視点を内包しており、楽曲ごとに異なる表情を見せます。本作を境にマリアンヌは“女優的な語り手”の側面を強めます。

    おすすめリスナー:歌唱表現の変化、ポストパンク〜ニューウェイヴ期の影響を感じたい人、ドラマ性の高いヴォーカルを味わいたい人。

  • 『Dangerous Acquaintances』 (1981年)

    特徴:『Broken English』の成功を受けた続編的な作品で、よりポップ/ロック寄りの音作りとプロダクションが目立ちます。1970年代末〜80年代初頭のサウンドトレンドを背景に、彼女の歌が新たなアレンジで提示されています。

    聴きどころ:アルバム全体にわたってプロダクションのクールさと歌の表現力が融合。『Broken English』で見せたダークな語り口を保ちつつ、メロディや編曲のバリエーションが広がっているのが魅力です。

    おすすめリスナー:1979年の傑作以降の展開を追いたい人、80年代的なアレンジと彼女の歌声の対比に興味がある人。

  • 『Strange Weather』(カヴァー集としての位置づけ、1987年頃の作品群)

    特徴:キャリアの中でカヴァー曲を主題にした録音群は複数ありますが、こうした作品ではマリアンヌの“解釈者”としての才能がよく表れます。原曲の意味や感情を自分の声で再翻案する力は、彼女独特の表現の強さを示します。

    聴きどころ:アレンジは比較的抑制的なものが多く、歌の表情が前面に出ます。原曲と比較してどのように意味が変容するかを楽しむのが醍醐味です。

    おすすめリスナー:カヴァー曲の解釈や歌唱表現の深さを味わいたい人、原曲との比較で新たな発見をしたい人。

  • 『Before the Poison』(2004年)

    特徴:キャリア後半の重要作で、現代的な作家やミュージシャンとのコラボレーションが注目されるアルバムです。時代を越えた成熟した歌唱と、様々な作曲者/編曲者の色合いが混ざり合います。

    聴きどころ:成熟した声の説得力、照明のように楽曲ごとに変わるアプローチ。キャリア全体を俯瞰した上での“現在地点”を確認するのに適しています。

    おすすめリスナー:近年の活動や現代作家との交流を踏まえてマリアンヌの表現の拡張を知りたい人。

代表曲(聞き始めにおすすめ)

  • As Tears Go By — 初期のシンプルで印象的なナンバー。彼女を一躍有名にした曲のひとつ。
  • Broken English — キャリアの転換点となったタイトル曲。彼女の低く深い声と表現力が集約されています。
  • Sister Morphine — 彼女の人生と関わりの深い楽曲で、感情の生々しさが伝わります。
  • The Ballad of Lucy Jordan — ストーリーテリング性の高い代表的な解釈曲として知られます。

聴き方の提案(アルバムごとの楽しみ方)

  • 初期盤は通しで聴いて、若い声の素直さと歌詞の素朴さを味わう。
  • 『Broken English』はアルバムの流れを重視して、歌詞や間(ま)を感じながら集中して聴くと深く刺さります。
  • カヴァー集は原曲との比較を楽しむ。どのように歌い手の人生経験が解釈に影響しているかを味わってください。
  • 後期作ではゲストや作家の色が出る曲と彼女自身の歌声の化学反応を意識して聴くと面白いです。

どの盤(エディション)を選ぶか

マリアンヌのように長期間にわたり再発・編集盤が多いアーティストでは、次のような観点で選ぶと良いでしょう。

  • オリジナル・アルバムとしての流れを重視するなら、オリジナル発売時のトラックリストに忠実なエディション。
  • ボーナス曲や未発表音源が興味深い場合は、公式のデラックス盤/リマスター盤を選ぶと発見があります。
  • アナログ・コレクションを楽しむなら、信頼できるレーベルのリイシュー(リマスター済みの180gなど)を検討するのも手です。

マリアンヌ・フェイスフルの魅力まとめ

彼女の魅力はひとことで言えば“声のドラマと解釈力”です。若い頃の純粋さ、挫折と再生、そのすべてが声の変化として刻まれており、単なるポップ・シンガーやカヴァー歌手の枠を超えた“語り手”としての存在感があります。作品ごとに異なる顔を見せるため、時代を追って聴くことで彼女の全体像が浮かび上がります。

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参考文献