System 7 入門ガイド: ヒレッジとミケット・ジローイが紡ぐサイケ×エレクトロニックの世界
System 7 — プロフィールと魅力を深掘りするコラム
プロフィール(概略)
System 7(システム・セブン)は、ギタリストのスティーヴ・ヒレッジ(Steve Hillage)とパートナーのミケット・ジローイ(Miquette Giraudy)を中核にした電子音楽ユニット/プロジェクトです。もともとヒレッジはプログレッシブ・ロック/サイケデリックの伝説的バンドGong出身で、その後ソロ活動を通じてエレクトロニックなサウンドへと接近しました。System 7はその背景を土台にしながら、アンビエント、テクノ、トランス、ハウスなどダンスミュージックとサイケデリックなギター/音響実験を融合させた独自の音世界を築いてきました。
音楽的特徴と美学
- アナログ感とデジタル・ビートの融合
System 7の音楽はリズムのダンス性と、アナログ的な温かみ(ギターやエフェクトによる音響空間)を同居させます。機械的な4つ打ちビートに対して、流れるようなギターやテクスチャーが“生きた”表情を加え、クラブでの高揚感とリスニングの瞑想性を両立させます。
- サイケデリック伝統の持続
ヒレッジが持つ70年代サイケ/プログレ系の美学は、単なる“レトロ趣味”ではなく、電子音楽と結びつくことで現代的なトリップ感を生み出します。音の広がりや反復フレーズで聴き手を徐々に別世界へ誘う手法が特徴です。
- リミックスとコラボレーション志向
クラブ文化に深く根ざしているため、リミックスや他アーティストとの共演が多く見られます。さまざまなDJ/プロデューサーによるリミックスを通じて、原曲が異なるダンスフロア文脈へと展開されるのも彼らの音楽の面白さです。
魅力の深掘り — なぜ支持され続けるのか
- 多層的な体験を作る音作り
System 7のトラックは単純な“曲”というよりも、時間をかけて変化する「環境」や「旅路」を提示します。小さな音の変化、フィルターのかかり具合、ギターの入退出などで、聴き手は長時間のセットでも飽きずに没入できます。
- ライブの強さ — DJ文化とバンド演奏の中間
彼らのライブは、クラブセットにもフェス的なバンドセットにも適応する柔軟性を持ちます。生演奏(ギター)とシンセ/ビートの即興的な組み合わせが、録音とは異なる躍動感を生み出します。観客の反応を取り込む即興性があるため、現場ごとにユニークな体験になります。
- 時代/ジャンルを横断するネットワーク
ロック、アンビエント、ダンスミュージックのファンが交差する稀有な立ち位置にいるため、幅広い層に届きます。若いクラブ世代にも、昔からのヒレッジの追随者(プログレ/サイケ好き)にも刺さる音楽を提供してきました。
- 一貫したビジョンと柔軟なアプローチ
サウンド自体は時代とともに変化しますが、「トランス感覚」「宇宙的広がり」「グルーヴ追求」といった指向性は一貫しています。一方でリミックスやコラボに積極的なので、柔軟に新しいサウンドと接続し続けているのも魅力です。
代表作・名盤(入門向けリストと聴きどころ)
以下はSystem 7を初めて聴く人におすすめしたいアルバムや傾向です。作品はスタジオ作・ライブ・コンピレーションやリミックス集など多彩なので、目的に応じて選んでください。
- セルフタイトル・アルバム(System 7)
プロジェクトの出発点としての世界観を示す一枚。アンビエントとダンスの橋渡しをするトラック群が含まれ、System 7らしい音色とアレンジが凝縮されています。
- Point 3(ポイントスリー)系の作品
よりダンスフロア寄り、もしくはリミックスを通した展開を楽しめる時期の音源。クラブ向けミックスや拡張されたバージョンが多く、エネルギッシュな側面を味わえます。
- ベスト/リミックス・コンピレーション
多くのリミックスや別バージョンが存在するため、コンピレーションはSystem 7の多面的な魅力を短時間で掴むのに便利です。原曲の持つ雰囲気が異なる文脈でどう変容するかを比較する楽しみがあります。
- ライヴ録音/DJスタイルのセット
ライブ盤やDJセット風の編集は、現場での躍動感や即興性を伝えてくれます。初めてSystem 7を聴くなら、スタジオ盤とライブ盤を聴き比べることで音楽の幅が見えてきます。
聴きどころと楽しみ方の提案
- ヘッドフォンでのディテール確認
アンビエント的なテクスチャーや細かいエフェクト処理はヘッドフォンでの視聴でより明瞭になります。最初は落ち着いた音量で、音の広がりや残響感を味わってください。
- クラブ志向のトラックはダンスフロアでの体感も推奨
4つ打ちなどダンス向けトラックは、実際のスピーカーや大音量環境で聴くと低域のグルーヴが体に伝わりやすく、より没入できます。
- リミックスを聴き比べる
同じ曲の異なるリミックスを並べて聴くと、サウンドの解釈の幅や、どの要素が曲の核になっているかが見えてきます。リミックス文化そのものを楽しむには最適です。
- ライブ映像やDJセットをチェック
視覚情報が加わると、サウンドの意図やパフォーマンスのテンポ感がわかります。現場の空気感をつかむことで、スタジオ録音の聞こえ方も変わります。
System 7が与えた影響と位置づけ
System 7は、ロックやサイケデリックのバックグラウンドを持つアーティストが、90年代以降のクラブ/エレクトロニック文化に自然に溶け込んだ先駆的な例といえます。ジャンル境界を横断する姿勢は、以降の多くのアーティストに“異ジャンルを横断するサウンド作り”の好例を示しました。とくに「生楽器的表情を持つ電子音楽」の可能性を拡げた点で評価されます。
まとめ
System 7は、ヒレッジのサイケデリックな感性と、電子ダンスのグルーヴを融合させた特殊な存在です。クラブでの高揚と、静かに耳を傾けるリスニングの両方に応える音楽を提供してきました。初めて触れるときは、セルフタイトル作やリミックス集、ライブ録音を順に聴くことで多面的な魅力が理解しやすくなります。ジャンルの枠を越えた音の旅に興味がある人にとって、System 7はぜひ体験してほしいプロジェクトです。
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