ロバータ・フラックのLP名盤ガイド:アナログで聴くおすすめアルバムとコレクションの極意
はじめに — Roberta Flackというアーティスト
Roberta Flack(ロバータ・フラック)は、その深く温かい低音域の歌声と、ジャズ/ソウル/R&B を横断するエモーショナルな表現力で知られるシンガー・ピアニストです。繊細さと力強さを併せ持つ歌唱、丁寧に構築されたアレンジ、そして歌詞の感情を丁寧に描き出す解釈力が特徴で、1970年代のアメリカ音楽シーンに大きな影響を残しました。本稿ではレコード収集家・リスナー双方に向けて、いまぜひ手元に置きたいおすすめアルバムをピックアップし、その魅力を深掘りして紹介します。
おすすめレコード一覧と深掘り解説
First Take
ロバータ・フラック初期の代表作。静謐さと密度の高い演奏/歌唱が同居する作品で、彼女の存在を広く世に知らしめたアルバムです。
- 聴きどころ:タイトル曲「The First Time Ever I Saw Your Face(※彼女のヴァージョンが広く知られるきっかけとなった)」の時間感覚、余韻の作り方。ピアノ伴奏と声だけで表現される場面の説得力。
- アレンジと演奏:ミニマル寄りのバックに、必要十分なストリングスやコーラスが差し込まれ、歌を際立たせる作り。ジャズ的な即興性というより「歌のためのアレンジ」を極めた音作り。
- レコードで聴く価値:静かなダイナミクスを生かすアナログ再生は非常に相性が良い。歌の息遣いや微細な音像がダイレクトに伝わるため、LPでの鑑賞がおすすめです。
Roberta Flack & Donny Hathaway(共作アルバム)
ドニー・ハサウェイとの共演作は、デュエットのケミストリーが強烈に光ります。互いの声質を生かしたコーラスワークと、ソウルフルな解釈が魅力です。
- 聴きどころ:互いに呼応するハーモニー、会話するようなフレージング。シンプルなバッキングにおける表現の幅。
- 感情表現:個々のソロ曲とは違う「二人で紡ぐ」物語性があり、それが盤全体の温度感を決定づけています。
- コレクションのポイント:オリジナル・アナログ盤は、二人の声が中央に密に定位するミックス感が魅力的です。状態の良い初版が手に入ればぜひ押さえたい一枚。
Killing Me Softly
彼女を象徴する代表曲「Killing Me Softly with His Song」を含むアルバム。ポピュラーソングとしての浸透力と、表現の繊細さが同時に楽しめます。
- 聴きどころ:タイトル曲で見せる歌の「語り」のような抑揚。プロダクション面でもストリングスやパーカッションの使い方が巧妙で、曲のドラマ性を後押しします。
- アルバム構成:バラエティに富む選曲ながら、通底するムードは一貫して落ち着いたソウル。全曲通して夜の静けさに似た余韻があります。
- リスニング・ヒント:歌詞の一語一語を追いながら聴くと、彼女の解釈力の深さがより明瞭になります。ヘッドフォンではなく良好なスピーカーでのアナログ再生もおすすめです。
Feel Like Makin' Love
タイトル曲が大ヒットしたアルバムで、よりソウル/ポップ寄りのアプローチが目立ちます。商業的成功と芸術性のバランスがとれた一枚です。
- 聴きどころ:ポップな側面を持ちながらも、歌唱の芯にある繊細さは失われていません。ミディアム・テンポのナンバーで見せるグルーヴ感。
- 制作面:スタジオワークの洗練が感じられ、アレンジはやや豪華。都会的で洗練されたソウルを堪能できます。
- 収集ポイント:シングルカット曲のオリジナル盤や、プロモ盤(当時のラジオ・エディットが収録されることがある)もコレクション価値が高いです。
その他:注目すべきシングル/ベスト的編集盤
アルバムだけでなく、彼女の代表曲をコンパイルした編集盤や、シングルのB面・別ミックスが面白いことがあります。入門用としては年代を横断したベスト盤も有効です。
- デュエット曲やライブ録音を含む編集盤は、アルバム単位では味わえない側面を補完してくれます。
- 初期プレスとリマスター盤では音の質感が大きく異なることがあるため、音の好みに応じて選ぶと良いでしょう。
選び方のポイント(購入前に見るべき点)
- 盤質とマトリックス情報:コレクション価値や音質は盤の状態・マトリックスによって左右されます。中古で買う場合は写真や出品コメントで確認を。
- プレス元:オリジナルのアメリカ初版(Atlantic等)は当時のアナログらしい質感があります。日本盤はプレス・カッティングが良好なことが多いのでチェックに値します。
- リマスター/再発:音が鮮明になる一方でオリジナルの温度感が薄れることもあります。音像の「自然さ」を重視するか「解像度」を重視するかで選び分けてください。
- 楽曲のバリエーション:彼女はジャズ寄りの曲からポップ/ソウル寄りの楽曲まで幅広く歌っているため、好みの曲調に合わせてアルバムを選ぶと満足度が高いです。
聴き方の提案
- 歌詞を追いながらの繰り返し再生:歌の語り口や語尾の処理など細かな表現に気づきます。
- 同時代のソウル/ジャズ作品と並べて比較試聴:アレンジ志向やミックスの違いから時代背景が見えてきます。
- デュエット曲は両者の録音時期を意識して聴く:ハサウェイとのケミストリーは彼女の歌を別角度で照らし出します。
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まとめ
Roberta Flack の音楽は「声」を中心に据え、アレンジや演奏は歌を支えるために緻密に作られています。静かな情感、語りかけるような歌唱、デュエットで生まれる化学反応──これらがアナログLPで聴いたときにひときわ魅力を増します。まずは『First Take』『Killing Me Softly』、そしてハサウェイとの共演作を押さえ、そこから好みの時期やアレンジを深掘りしていくのが良いでしょう。
参考文献
- Roberta Flack — Wikipedia
- Roberta Flack | AllMusic
- Roberta Flack — Discogs
- Roberta Flack — Rolling Stone(検索結果)


