Dusty Springfieldの名盤ガイド:Dusty in Memphisを中心に聴くべきアルバムと魅力
はじめに — Dusty Springfieldとは
Dusty Springfield(本名:Mary Isobel Catherine Bernadette O'Brien、1939–1999)は、英国出身のソウル/ポップ・シンガー。1960年代のブリティッシュ・ポップとアメリカン・ソウルを橋渡しした存在として評価され、豊かで切ない歌声、細やかなフレージング、そして選曲眼の良さで多くのリスナーとミュージシャンに影響を与えました。本コラムでは「レコードとして持っておきたい」おすすめ作品を中心に、各作品の魅力を深掘りして紹介します。
1. Dusty in Memphis(1969) — 必携の名盤
プロデューサーにジェリー・ウェクスラー、アリフ・マーディン、トム・ダウドを迎え、アトランティック系のスタッフと録音されたアルバム。モータウンやスタックスのソウル感を背景に、Dustyの歌が一段と深みを増した作品です。ポップ・スターが本場アメリカ南部のソウルに真正面から取り組んだ稀有な例で、彼女の代表作として広く評価されています。
- 聴きどころ:表題曲に匹敵する代表曲「Son of a Preacher Man」をはじめ、緻密なストリングスとブラス、バックコーラスの配置が楽曲の感情を増幅します。
- なぜ聴くか:ポップ/ソウルの折衷が最高潮に達している一枚。歌唱の抑揚、語りかけるようなフレージングは、彼女の真髄を示しています。
2. A Girl Called Dusty(1964) — 初期の魅力が詰まったデビュー作(英国盤)
初期のヒット曲を中心にまとめられたアルバムで、ブリティッシュ・ポップとしての可憐さと、R&B的な嗜好が混ざり合っています。スタンダードや当時のヒットのカバーを通じて、若き日のDustyの音楽的幅がよく分かる作品です。
- 聴きどころ:「I Only Want to Be with You」などのシングル曲群は、キャッチーさと歌唱の個性が同居しています。
- なぜ聴くか:彼女のポップ・スターとしての出発点を知るのに最適。後のソウル路線との対比でも興味深いアルバムです。
3. Ev'rything's Coming Up Dusty(1965) — ポップ・センスとアレンジの妙
より洗練されたポップ・アレンジと幅広い選曲が特徴のアルバム。プロデュースやアレンジの面でも進化が見られ、シングル寄りの楽曲からアルバム向けの曲までバランスよく並びます。
- 聴きどころ:ポップ・スタンダードの解釈や、当時の英国ポップ/ブリティッシュR&Bの流れを反映した選曲。
- なぜ聴くか:中期のDusty像を形作る一枚で、彼女の表現力が多彩に発揮されています。
4. Where Am I Going?(1967)とSee All Her Faces(1972) — 実験性と多面性
1967年のWhere Am I Going?はやや大人びた選曲やアレンジで、よりドラマティックな歌唱を試みた作品。1972年のSee All Her Facesはスタジオセッションを集めたコンピレーション的な側面があり、様々なプロデューサーやアレンジャーとのコラボで多彩な顔を見せます。
- 聴きどころ:アルバム単位での一貫性よりも、曲ごとのドラマや解釈の違いを楽しめる点が魅力。
- なぜ聴くか:Dustyの振れ幅——ポップ、バラード、ソウル、シアトリカルな表現など——をより広く把握したいリスナー向け。
5. Reputation(1990) — 復活と現代ポップとの接点
1980年代後半にPet Shop Boysらとの交流を経て注目を浴びたDustyが、1990年にリリースした復帰作的アルバム。若いプロデューサー/ソングライターとの協働で、時代性を取り入れつつ彼女の歌唱力が活かされています。
- 聴きどころ:80〜90年代のエレクトロポップ的な要素とDustyのクラシックな歌唱が交差する点。
- なぜ聴くか:キャリア後期の試みと、彼女の歌唱が時代を越えて通用することを確認できる作品です。
代表曲・名演の楽しみ方(曲ごとの注目ポイント)
- 「Son of a Preacher Man」:物語性の強い歌詞を、カメラで寄るような歌い方で語る——語りかけるような表現に注目。
- 「I Only Want to Be with You」:ポップなフックに宿る切なさ。イントネーションのちょっとしたずらしがドラマを生む。
- バラード群(例:「I Don't Want to Hear It Anymore」など):抑制と解放のバランス、言葉の間を使う技術が光ります。
どの盤を選ぶか(購入の指針)
オリジナルのLPは時代の空気感を強く持っていますが、リマスターやデラックス盤にはセッション音源や詳細なライナーノーツが付くため、作品理解を深めたいならそれらもおすすめです。まずは「Dusty in Memphis」から聴き、そこから前期/後期の作品へ遡るのが典型的な楽しみ方です。
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参考文献
- Dusty Springfield — Wikipedia
- Dusty Springfield — AllMusic (Artist)
- Dusty in Memphis — AllMusic (Album)
- Rolling Stone — "Dusty in Memphis"(リスト掲載・記事)


