Sonny Boy Williamson II入門ガイド|語り口とハーモニカで味わうシカゴ・ブルースの魅力とおすすめ盤
はじめに — Sonny Boy Williamson II とは
Sonny Boy Williamson II(通称:Rice Miller)は、20世紀前半から中盤にかけて活躍したシカゴ・ブルースのハーモニカ奏者/歌手です。生年には諸説ありますが、一般には1899年生まれとされることが多く、1965年に他界しました。彼は同名の先行するブルースマン(John Lee “Sonny Boy” Williamson I)と名前が重なったことでも知られますが、独自の語り口、ユーモアを交えた歌詞、そしてハーモニカのフレージングで多くのミュージシャンに影響を与えました。
音楽的特徴と影響力
- 語りのようなヴォーカル表現:彼の歌は単なる歌唱ではなく、語り(トーキング・ブルース)的要素を含むことが多く、ストーリー性や軽妙なやり取りが魅力です。
- ハーモニカの「声」化:ハーモニカでのフレージングはまるで会話をしているかのように間(ま)を生かし、シカゴのバックビートと絡むことで独特のグルーヴを作り出します。
- ダブル・エンタンドル/ユーモア:日常的な題材に性的な含意や皮肉を混ぜる歌詞が多く、ブラック・ユーモアも彼の魅力の一つです。
- 英国ブルース・リヴァイヴァルへの影響:1960年代の英国ロック/ブルース世代(ヤードバーズ、ビートルズ以前の若いギタリストたち)は彼のレコードや来日(来英)公演から多くを学び、ロックとブルースの橋渡し役となりました。
おすすめレコード(入門から深掘りまで)
ここではジャンル別(シングル集/コンピレーション/ライブ/レア音源)に分けて、初めて聴く人にもコレクターにも役立つタイトルを挙げ、各作品の聴きどころを解説します。
1. まずはこれを押さえる(代表曲コンピ)
- 「Don't Start Me Talkin'」を中心にしたシングル集
「Don't Start Me Talkin'」は彼の代表曲のひとつ。初期のシングルで彼の語り口とハーモニカが端的に味わえます。シングル群を集めた編集盤は、短い曲で彼の多彩な表現を追うのに最適です。
- 「Help Me」「Eyesight to the Blind」などの代表曲を含むベスト盤
「Help Me」(Willie Dixon 共作とされる曲)や「Eyesight to the Blind」は、後年のカバーや編曲にも影響を与えた名曲です。これらがまとまったベスト盤は入門に向いています。
2. 深掘りしたい人向け(アルバム/編集盤)
- チェス(Chess/Checker)系の編集盤(1950s〜60sのシングル集)
Sonny Boy II の重要録音はシングル中心で発表されていることが多く、チェス系の編集盤は音源のまとまりと時代変遷を追うのに便利です。録音年代順に聴くとハーモニカの表現や伴奏スタイルの変化がよく分かります。
- ポストゥーム/編集コンピ(The Real Folk Blues 等)
彼の死後にまとめられた編集盤にも名演が収録されています。アナログLPでのリリースがオリジナルに近い空気感を残すことが多いので、音質や雰囲気を重視するリスナーはオリジナル・プレス/初期プレスを探す価値があります(ただし入手難易度は高め)。
3. ライブ盤/来英公演関連
- ヤードバーズやThe Animalsと共演したライヴ・セッション/LP
1963年の来英公演で若い英国バンドに影響を与えた記録は、ブルースがロックへと接続する過程を体感できます。バンドが未熟な分、原曲の「ルーツ」としての力強さが際立つ場面もあります。
4. コレクター向け(レア・セッション集)
- 完全盤/ボックス・セット
彼のシングルを網羅したボックスやレア・セッションを収めた編集は、研究目的や細部の比較に最適。録音ごとのミックスや別テイクで表情が変わるので、聴き比べは学びが大きいでしょう。
楽曲ごとの聴きどころ(代表曲ピックアップ)
- Don't Start Me Talkin'
語りのテンポ感、間(あいだ)を活かしたヴォーカルとハーモニカの掛け合いが光る一曲。彼のユーモラスな自己主張が表れる名曲です。
- Eyesight to the Blind
メロディックなハーモニカ・ラインが特徴で、後にロック系アーティストにも取り上げられました。ハーモニカの「歌わせ方」を学ぶには最適。
- Help Me
ブルースの王道的コード進行の上で、ソロもヴォーカルもよりソウルフル。ミュージシャン間のインタープレイ(会話)を感じさせる録音です。
聴き方ガイド:どこに注目するか
- ハーモニカのフレーズに注目:歌を補完する“返事”や“合いの手”としての役割を果たす瞬間が多い。
- 歌詞の構造とユーモア:一見シンプルな言葉の中に繊細な皮肉やダブル・ミーニングが潜む。
- 伴奏とのバランス:初期録音は弦楽器やピアノ中心、シカゴ移行後はリズム・セクションが強化される変化を追うと興味深い。
- ライブ音源での即興性:レコーディングとは違う、会場の空気に応じたアドリブが聴けることが多い。
購入・選盤のヒント
- まずは代表曲がまとまったベストやチェス系の編集盤を一枚。そこから気になった時代のシングル集やライブへ進むのがおすすめ。
- オリジナル・プレスは音色や雰囲気が違いますが、状態や価格を考えると信頼できるリイシューCDや配信で全体像を把握するのが現実的です。
- 来英/来米時のライヴ盤は、若い英国バンドとの共演によって別の魅力が出ているので、ブルースからロックへ繋がる歴史を感じたい人に特におすすめです。
まとめ
Sonny Boy Williamson II はハーモニカと語りでブルースに独自の表情を与えたアーティストです。代表曲を押さえつつ、シングル群や来英公演のライヴ音源、編集ボックスで時代ごとの変化を追うことで、彼の全体像と影響力がより深く理解できます。まずは「Don't Start Me Talkin'」「Eyesight to the Blind」「Help Me」などの名演から入り、気に入ればチェス系編集盤やライヴ音源へと広げていくのが良いでしょう。
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参考文献
- Sonny Boy Williamson II — Wikipedia
- Sonny Boy Williamson II — AllMusic
- Sonny Boy Williamson II — Discogs


