The Saints(ザ・セインツ)おすすめレコード徹底解説|初期パンクからポストパンクまで全作品と版の選び方

The Saints(ザ・セインツ)おすすめレコード深掘りコラム

オーストラリア発のパンク/ポストパンク・バンド、The Saints。1970年代半ばにブリスベンで結成され、初期の衝動的なパンク・サウンドから、ソウル/ジャズ的な管楽器の導入、そしてメロディ志向のロックへと進化したその音楽性は、当時のシーンに強烈な印象を残しました。本稿では代表作と注目盤を取り上げ、楽曲の魅力、メンバーの音楽的特徴、入手時の選び方(版や編集のポイント)や聴きどころを深掘りして紹介します。レコードの再生・保管・メンテナンスに関する解説は割愛します。

簡単なバンド解説(背景)

結成メンバーはクリス・ベイリー(ボーカル)、エド・キュッパー(ギター)、イヴァー・ヘイ(ドラム)。初期は短い楽曲と荒々しい演奏でパンクの最前線に位置づけられましたが、キュッパーのギター・アプローチ(スライスの効いたリフ、コードの変形使い)とベイリーのソングライティングは次第に幅を持ち、ブラスやアレンジを取り入れて独自路線を追求していきます。キュッパー脱退後はベイリーを中心によりメロディックでプロダクション志向の作風へと移行しました。

おすすめレコード一覧(深掘り)

I'm Stranded(1977)

ポイント:

  • 初期パンクの衝撃をそのまま封じ込めたデビュー作。タイトル曲「I'm Stranded」はシンプルだが即効性のあるメロディと荒々しい演奏が特徴。
  • 楽曲は短く、攻撃性とキャッチーさが同居。ブリスベンという閉塞的な土地柄から生まれたエネルギーが直球で伝わる作品です。
  • 聴きどころ:熱量のあるボーカル、切れの良いギター・リフ、シンプルだが完成度の高い曲構成。
  • 版の選び方:オリジナル盤(初期プレス)はコレクター価値が高い一方、近年の公式リイシュー/リマスターは音像が整って聴きやすい場合が多い。ジャケットや帯、レーベル表記でオリジナルか再発かを確認。

Eternally Yours(1978)

ポイント:

  • デビューのストレートなパンクから一段進化し、よりアレンジ志向が前面に出た2作目。ソウルやモータウン的な要素を取り入れた楽曲が目立ちます。
  • 代表曲「Know Your Product」はリズム感とブラスを活かした攻撃的なナンバーで、バンドの幅を感じさせる一曲。
  • 聴きどころ:短いながらもアレンジに凝った曲群、ベイリーの歌唱とバンド全体のタイトなアンサンブル。
  • 版の選び方:当時の曲順やシングル・カットの有無で収録差があることがあるため、収録曲一覧をチェックするとよい。

Prehistoric Sounds(1978)

ポイント:

  • エド・キュッパー期の集大成とも評される作品で、管楽器やストリングス的なアレンジを積極的に導入。ポストパンク/アートロック的な側面が強く出ています。
  • 商業的には成功しなかったものの、音楽的には非常に野心的で、後のポストパンク系バンドにも影響を与えた名盤とされることが多いです。
  • 聴きどころ:哀愁を帯びたメロディと陰影のあるアレンジ、キュッパーのギターとブラスの対話。
  • 版の選び方:音像の違いが大きい作品なので、評価の高いリマスター盤を探すのもおすすめ。オリジナル盤はコレクターズ・アイテムになっている場合があります。

All Fools Day(1986)

ポイント:

  • キュッパー脱退後、クリス・ベイリーの指向が強く反映された時代の代表作。よりポップでプロダクション志向のサウンドに振れています。
  • シングル曲「Just Like Fire Would」などメロディの良さが際立つ楽曲が含まれ、ラジオ向けのアプローチが功を奏した作品です。
  • 聴きどころ:80年代的なプロダクションの中で光るメロディラインと洗練されたアレンジ。
  • 版の選び方:CDや再発LPで入手しやすい。オリジナルを探す場合はリリース年とレーベル表記を確認。

All Times Through Paradise(コンピレーション)

ポイント:

  • 初期シングル群や名曲をまとめた入門向けコンピ。初心者が最初に触れるには最適で、初期のエネルギーを一気に聴ける利点があります。
  • 特にシングル「I'm Stranded」「This Perfect Day」などの短期間に集中した名曲群を網羅しているものが多く、コストパフォーマンスが高い。

シングル・レアトラック、コレクター向けの注目盤

  • 初期7インチ(例:「I'm Stranded」シングルなど)はコレクター価値が高く、音源的にもバンドの原石的魅力を濃縮しています。
  • 輸入盤の仕様違いや、英/豪でのジャケット差、プロダクション違いを楽しむのもコレクターの楽しみの一つ。Discogsなどでカタログ番号を比較して版ごとの差分をチェックすると良いでしょう。

聴き方・順番のおすすめ(入門〜深掘り)

  • 入門:まずはコンピレーション(All Times Through Paradise等)で初期ヒットを把握。
  • 基本:続いてデビュー・アルバム I'm Stranded を通しで聴き、当時の衝動を体感。
  • 深掘り:Eternally Yours → Prehistoric Sounds の順で聴くと、バンドのアレンジ志向の広がりと実験性がよく分かります。
  • 変遷確認:All Fools Day やその後の作品で、バンドがどのようにメロディとプロダクションへ移行したかを確認すると全体像が見えてきます。

音楽的特徴の深掘り(なぜ名作とされるのか)

・初期の直接的な攻撃性:短尺で鋭い楽曲構築はパンクの「速さ」「怒り」を体現していますが、単なる模倣ではなく独自のメロディ感覚がある点が重要です。

・アレンジの幅:2作目以降に見られるブラス導入や複雑なリズム・アレンジは、当時のパンク像を拡張しました。ソウルやモータウンに通じるグルーヴ感をパンクの衝動に結びつけた点がユニークです。

・メンバーの個性:エド・キュッパーのギターはしばしばジャズ/アヴァン寄りの感覚を見せ、クリス・ベイリーの歌とソングライティングがそれを支える構図が作品の魅力の核になっています。

購入時の実務的なアドバイス(版の見分け方など)

  • 収録曲リストとクレジットを必ず確認:初回盤と再発でトラック順やボーナストラックの有無が異なることがあります。
  • ジャケット/ライナーを確認:オリジナルは写真のトーンや紙質、クレジット表記が異なる場合が多いです。
  • レーベル表記とカタログ番号の照合:ディスコグラフィ(Discogs等)と照合して真贋やプレス情報を確認しましょう。
  • リマスター表記にも注目:リマスターやリイシューでは音作り(EQやラウドネス)が変わることがあるため、マスタリング担当者や発売年を確認すると音の傾向が把握できます。

どの盤から入るべきか(シチュエーション別)

  • 「まずは名曲だけ」:All Times Through Paradise のような初期コンピ。
  • 「パンクの名盤を体感したい」:I'm Stranded を押さえる。
  • 「音楽的な変化を楽しみたい」:Eternally Yours → Prehistoric Sounds でバンドの実験性を味わう。
  • 「メロディとプロダクションを楽しみたい」:All Fools Day 以降の作品。

最後に:The Saintsが残したもの

The Saintsは単なる「初期パンクの一員」という枠を超え、短期間で多様な音楽性を試し、独自の道を切り開いたバンドです。激しい衝動だけでなく、アレンジやメロディの追求も同時に行った点が、今日でも評価され続ける理由です。レコードで聴く際は、時代感と制作背景を意識しながら各アルバムを比較してみると、より深い発見があります。

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参考文献