HD+とは何か?解像度の意味・使い方・選び方を徹底解説

HD+とは — 基本の定義と背景

「HD+(エイチディープラス)」は、映像・ディスプレイの世界でよく見かける表記ですが、実は厳密な国際規格で定義された単一の解像度を指す言葉ではありません。一般には「HD(720p)を基準に、それより横方向または総画素数が多いがフルHD(1080p)には満たない領域」を指すマーケティング用語として使われます。つまり「HDよりちょっと良いけれど、フルHDではない」解像度帯をまとめて表現するための曖昧なラベルです。

文脈別の使われ方

「HD+」は用途や文脈によって意味合いが変わります。代表的な2つの使われ方を押さえておきましょう。

  • スマートフォンやタブレットの表示解像度として
    縦方向に720ライン(720p相当)を保ちつつ、ノッチや縦長アスペクト比の導入で横ピクセル数が増加した解像度を「HD+」と呼ぶことが多いです。例:720×1520、720×1560、720×1600(19:9、19.5:9、20:9等)など。メーカー側のマーケティング表記として使われ、実際は縦方向が720ラインの“+”版を指します。
  • PCディスプレイやノートPCの解像度として
    デスクトップやラップトップの世界では、1600×900などの解像度が「HD+」と表記されることがあります。これは1366×768(いわゆるHD)よりも解像度が高いが、1920×1080(フルHD)未満であることから「HD+」と称されます。

代表的なHD+解像度の例

  • スマートフォン系(縦長ディスプレイ): 720×1520、720×1480、720×1560、720×1600 など(横幅は端末により異なる)
  • PC/ノート系: 1600×900(16:9)など

これらはあくまで「よく見られる例」であり、メーカーによっては別のピクセル数でも「HD+」と表記されることがあります。重要なのは「数値を見て実際のピクセル数・アスペクト比を確認する」ことです。

技術的なポイント:画素数・PPI・アスペクト比

ディスプレイ仕様を見る際は以下の点に注目しましょう。

  • 総画素数(ピクセル数):幅×高さで表されます。解像度が大きいほど表示できる情報量は増えますが、画面サイズが同じならPPI(ピクセル密度)も重要になります。
  • PPI(pixels per inch):ディスプレイの見え方(シャープさ)はPPIで決まります。同じHD+でも画面サイズが大きければPPIは低くなり、ドット感が目立ちます。
  • アスペクト比:従来の16:9から、18:9、19.5:9、20:9など縦長比率が増えた結果、縦方向のピクセルを保ちながら横ピクセルが増えるケースが多いです。これが「720p相当の縦ラインを保って横が増えた=HD+」の背景です。

なぜHD+を採用するのか(メリット)

  • コストの抑制:フルHDやそれ以上の解像度よりパネルコストや製造歩留まりが有利なことが多く、低〜中価格帯端末で採用されやすい。
  • 省電力性:描画するピクセル数が少なければGPU負荷が低く、同じ条件でバッテリー消費を抑えられる可能性がある。
  • 性能面でのバランス:中〜低価格帯のSoCでもスムーズに動作させやすく、ゲームやUI操作時の動作が安定しやすい。

注意点・デメリット

  • 表示の精細さが劣る場合がある:画面サイズが大きい場合、同じHD+でもPPIが低くなり、文字や細かい要素が粗く見えることがある。
  • 動画・写真の拡大縮小:フルHDや4Kコンテンツはスケーリングが必要になるため、再生時にアップ/ダウンスケールの影響で画質が変わる。
  • マーケティング表記の曖昧さ:メーカーによって同じ「HD+」でも実際の解像度やアスペクト比は異なるため、仕様を確認しないと期待と異なることがある。

実際の選び方:どんな人にHD+が向くか

  • スマートフォンの画面が小さめ(5.5インチ前後)で、動画や高精細写真閲覧よりもWeb閲覧やSNSが中心の人
  • コスト優先でバッテリー持ちや軽快さを重視する人
  • 予算を抑えつつ、そこそこの表示品質で十分な中〜低価格帯端末を求める人

一方で、映像鑑賞や写真編集、細かい文字の読みやすさを重視するならFHD(1920×1080)以上の解像度を検討した方が満足度は高いです。

「HD+」と混同しやすい用語

  • HD(720p):1280×720(16:9)を代表とする規格。HD+はこれより“プラス”された領域を指すことが多い。
  • FHD(フルHD):1920×1080。HD+はこれより下の階層に位置することが多い。
  • QHD(1440p)/4K:より高解像度で、HD+とは明確に差がある。

同名の商標・サービスに注意(ドイツの「HD+」など)

もう一つ注意点として、「HD+」は表示解像度の意味以外に、特定の商標・サービス名として使われることがあります。たとえばドイツの衛星放送向け有料サービス「HD+」(HD PLUS GmbH)があり、これは高画質放送チャンネルの提供サービスを指します。文脈によっては「あの商品はHD+対応」といった表現が技術仕様ではなくサービスの加入を指す場合があるため、混同に注意してください。

まとめ:HD+をどう受け止めるか

HD+は便利なマーケティング用語ですが、技術的には曖昧さを含みます。製品選びの際には「HD+」という表記に頼るのではなく、具体的なピクセル数(幅×高さ)、画面サイズ、PPI、アスペクト比を確認することが最も重要です。用途(動画視聴、写真編集、メール・SNS閲覧など)と予算に応じて、HD+で十分か、FHD以上が望ましいかを判断してください。

参考文献