New Riders of the Purple Sage(NRPS)徹底解説:結成背景から代表作・ライブの魅力まで

New Riders of the Purple Sage — プロフィールと魅力の深掘りコラム

New Riders of the Purple Sage(以下NRPS)は、1969年頃にサンフランシスコ周辺で結成されたカントリー・ロック/アメリカーナ系バンドです。グレイトフル・デッド(Grateful Dead)を中心とするサイケデリック・ロックの文脈と、アメリカ南部のカントリー/ホンキートンク的要素を独自にブレンドしたサウンドで1970年代初頭から中期にかけて人気を博しました。本稿ではバンドの成り立ち、音楽的特徴、代表作やライブの魅力、そして現代で聴く価値について詳しく解説します。

結成の背景と初期の流れ

NRPSはジョン・“マーマデューク”・ドーソン(ボーカル/ギター)とデイヴィッド・ネルソン(ギター/ボーカル)を中心に始まりました。サンフランシスコのサイケデリック・シーンとカントリー音楽の接点で自然発生的に育まれたバンドで、初期にはグレイトフル・デッドのメンバー(特にジェリー・ガルシア)がペダルスティールで参加し、デッドと深い関係を持ちながら活動を展開しました。

1971年のデビュー作リリース以降、バンドは仲間内での演奏やツアーを通じて聴衆を拡大。やがてペダルスティール奏者が固定され、よりカントリー寄りの色合いが強まっていきます。メンバー交代は比較的多く、長期にわたってドーソンとネルソンが核となって活動してきました。

音楽的特徴 — なぜNRPSの音が魅力的なのか

  • カントリーとサイケデリアの融和:トラディショナルなカントリー楽器(アコースティックギター、ペダルスティール)を中心に据えつつ、当時のサイケデリック/フリーな即興精神を取り入れた点が特徴です。シンプルなコード進行に自由なアレンジや延長が加わり、リラックスしたが独特の「間(ま)」を生みます。
  • 歌詞の幅広さ:伝統的なカントリーの物語性(旅、アウトロー、日常の風景)を踏襲しつつ、ユーモアやヒッピー文化的な要素、時にドラッグカルチャーを匂わせる題材も登場します。そのバランスが聴き手にとって親しみやすく、同時に当時の時代感を反映しています。
  • ペダルスティールの存在感:ジェリー・ガルシアの参加により初期の特徴となったペダルスティールの使い方は、Buddy Cage の加入以降もバンドのサウンドの要となり、牽引力のあるメロディーや空間的なテクスチャを作り出しました。
  • ライブでの伸びやかさ:NRPSはスタジオ録音の完成度も高いですが、ライブでは延長やインプロヴィゼーションを交え、曲の空気が変化していく面白さがあります。グレイトフル・デッドのファン層にも受け入れられ、共演や共同ツアーの機会も多かった点がライブ文化を育てました。

主要メンバー(代表的な顔ぶれ)

  • ジョン・“マーマデューク”・ドーソン(ボーカル/ギター) — 多くの代表曲を手掛けた中心人物。
  • デイヴィッド・ネルソン(ギター/ボーカル) — バンド結成当初からの重要メンバーで、ギターとコーラスで音を支える。
  • ジェリー・ガルシア(当初のペダルスティール参加) — グレイトフル・デッドとの結びつきを象徴する存在(初期にゲスト参加)。
  • Buddy Cage(ペダルスティール) — ガルシアの後を継ぎ、NRPSのクラシック期におけるペダルスティール奏者として長く活動。
  • その他(ドラマーやベーシストは時期により変動) — ラインナップの変化が演奏スタイルや曲のニュアンスにも影響を与えました。

代表作と入門盤

NRPSのディスコグラフィーはスタジオ作・ライブ作が混在し、どこから聴いても楽しめます。特に以下のアルバムは入門としておすすめです。

  • New Riders of the Purple Sage(1971年) — デビュー作。初期の柔らかいカントリー感とサイケデリックな余韻が混ざる作品。ジェリー・ガルシアのペダルスティール参加が聴きどころのひとつです。
  • Powerglide(1972年) — 初期の勢いを継承した力作。バンドの演奏力がより研ぎ澄まされており、カントリーロックの道筋が明確になります。
  • The Adventures of Panama Red(1973年) — 商業的にも人気が高く、NRPSを代表するアルバム。タイトル曲「Panama Red」を含む、ポップで親しみやすい曲が並びます。
  • Home, Home on the Road(ライブ、1974年) — ライブでの即興性や空気感を味わうには最適。生の演奏の伸びやかさがよく出ています。

ライブ体験の魅力

  • リラックスしたムード:硬派なカントリーバンドとは異なり、観客と肩の力を抜いて楽しむ空気が流れます。
  • 即興とスタンダード曲のブレンド:曲の途中での展開や長尺の演奏があり、同じ曲でもライブごとに表情が変わります。
  • デッド系ファンとの接点:グレイトフル・デッドと親交が深かったため、その周辺コミュニティでの評価が高く、フェスや共同公演での伝播効果もありました。

なぜ今改めて聴く価値があるのか

NRPSは単なる懐古主義ではなく、現代のルーツ音楽・オルタナカントリーの系譜に直接つながる存在です。シンプルながら深みのあるアレンジ、ストーリーテリングに富んだ歌詞、そしてライブでの自由な演奏は、今のリスナーにも新鮮に響きます。フェス文化やルーツ志向が再興している今、NRPSの録音やライブを通して“アメリカの音楽の接合点”を見ることができます。

聴き方・探索のすすめ

  • まずは『The Adventures of Panama Red』から:ポップな曲が多く、バンドの魅力がわかりやすい。
  • デビュー作→ライブ作の順で聴く:スタジオの完成形とライブの伸びやかさ、双方を比較することで理解が深まります。
  • 関連アーティストも同時に聴く:グレイトフル・デッド、Peter RowanやOld & In the Wayなど、同時代や周辺ジャンルを併せて聴くと文脈が掴みやすいです。
  • 歌詞を追う:カントリー的物語性や小ネタが多く、歌詞を読むことでユーモアや時代背景がより楽しめます。

まとめ — NRPSが遺したもの

New Riders of the Purple Sageは、カントリーの伝統を尊重しつつサイケデリックな余白を取り入れた“心地よい異種交配”の成功例です。名曲や名盤も多く、ライブでの柔軟な演奏スタイルは今も色褪せていません。ルーツ音楽や70年代のアメリカン・ロックに興味があるリスナーにとって、NRPSは知っておくべき重要な存在です。

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参考文献