The Blasters(ザ・ブラスターズ)入門ガイド:ルーツロックの魅力と代表曲・名盤・ライブの楽しみ方
The Blasters — プロフィール
The Blasters(ザ・ブラスターズ)は、アメリカ・カリフォルニア州ドウニー出身のルーツロック/ロカビリー系バンド。フィル・アルヴィン(Phil Alvin:ボーカル/ギター)とデイヴ・アルヴィン(Dave Alvin:ギター)というアルヴィン兄弟を中心に、ジョン・バズ(John Bazz:ベース)とビル・バテマン(Bill Bateman:ドラム)らで1979年に結成されました。1970〜80年代のロカビリー、ブルース、初期R&B、カントリーといったアメリカン・ルーツ・ミュージックを現代に直結させるサウンドで知られ、パンク、ニューウェーブが席巻していたロサンゼルスのシーンにおいて独自の存在感を放ちました。
音楽性と魅力 — 何が彼らを特別にするのか
The Blastersの魅力は大きく分けて「音楽的ルーツの深さ」と「エネルギッシュな表現力」にあります。
- ルーツへの敬意と再解釈
ロカビリーやブラック・ルーツ音楽の原典に近いアプローチを取りながら、単なる復刻ではなく現代的な緊張感やロックのダイナミズムを加えている点。古いレコードの香りを残しつつも、若々しく押し出す演奏が特徴です。
- ギターとリズムの濃密さ
デイヴ・アルヴィンのギターはルーツ音楽のフレーズを基盤としながらも荒々しく情緒的。ベースとドラムのリズム隊(ジョン・バズ、ビル・バテマン)はタイトで跳ねるようなグルーヴを作り、フィルのボーカルがそれを引き立てます。
- 多様なレパートリー
オリジナル曲だけでなく、ブラインド・レモン・ジェファーソンやジミー・リードなどの古典を取り入れ、カバーと自作曲が自然につながるステージ運びをします。これにより聴き手はアメリカン・ミュージックの連続性を体感できます。
- ライブの熱量
音源以上にライブでの説得力が強いバンドで、フロントマンのフィルのシャウト、ギターの切れ、リズム隊の推進力が直に伝わる公演は、観客の体感として記憶に残ります。
代表曲・名盤の紹介
The BlastersはシングルやEP、アルバムを通じて多くの魅力的な曲を残しています。以下は代表的な楽曲と、バンドの魅力を知るうえで重要な作品群です。
- 代表曲(視聴するとバンド像が掴める曲)
- 「American Music」— バンドの精神を端的に表すナンバー。ルーツ志向の熱量が詰まっています。
- 「Marie Marie」— デイヴ・アルヴィン作のポップで力強い曲。カバーヒットも生んだ代表曲。
- 「Long White Cadillac」— ブルースやカントリー的な物語性を持つ名曲で、後に他アーティストにも取り上げられました。
- 「Border Radio」や「Dark Night」などのナンバーもライブで人気です。
- 重要アルバム
- EP「American Music」 — 初期のエネルギーと方向性がよく現れた作品。
- セルフタイトルのフルアルバム(初期作) — バンドの基本フォーマットと楽曲群が整った一枚。
- 「Non-Fiction」や「Hard Line」 — 80年代の主要作。より洗練されたプロダクションとツアーの成熟が反映されています。
ライブとパフォーマンスの魅力
The Blastersはスタジオ録音よりもライブで評価されることが多く、その理由は「演奏の即興性」と「観客との距離の近さ」にあります。セットは古典的なロカビリー曲から疾走感あるオリジナルまで幅広く、曲ごとにギターのニュアンスやボーカル表現が変化するため、繰り返し観ても新しい発見がある点が魅力です。
メンバーとその後の活動
結成期の4人(フィル、デイヴ、ジョン、ビル)はバンドの核ですが、メンバー変遷やソロ活動も重要です。特にデイヴ・アルヴィンは1980年代中盤にバンドを離れソロ作でシンガーソングライター/ルーツ系の作家として大きな評価を得ました。フィルもソロや再結成で活動を継続し、バンドとしての活動は時折の再結成ツアーや新録でファンを喜ばせています。
影響とレガシー
The Blastersは1980年代のアメリカン・ルーツ・リバイバルにおいて重要な存在で、以降のルーツロック/オルタナ・カントリー/アメリカーナのアーティストに影響を与えました。彼らの功績は単に過去音楽の再現に留まらず、「ルーツ音楽を現代のロック感覚で鳴らす」方法を示した点にあります。また、同時代のLos Angelesシーン(XやLos Lobosなど)との交差も、シーン全体の多様性を助長しました。
The Blastersを聴くためのおすすめ入門順
- まずは代表曲や初期EPを聴いてバンドの核を掴む(「American Music」「Marie Marie」など)。
- 次に主要アルバムを通して聴き、プロダクションや曲作りの幅を確認する。
- 最後にライブ音源やソロ作(特にデイヴ・アルヴィンのソロ)を聴くと、個々の表現がより立体的に見えてきます。
聴きどころ・楽しみ方のヒント
- ギターのフレーズやリズム隊のグルーヴに注目することで、演奏の巧さと迫力がより伝わります。
- 歌詞の中に散りばめられたアメリカの風景や人物描写を味わうと、曲の世界観が深まります。
- ライブ映像やライブ盤を観ると、スタジオ録音では出ない熱量やアレンジの変化が楽しめます。
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参考文献
- The Blasters — Wikipedia(日本語)
- The Blasters — Wikipedia(English)
- The Blasters — AllMusic
- The Blasters 公式サイト(公式情報・ツアー情報)
- Rolling Stone(The Blasters関連記事・レビュー 検索結果)


