The House of LoveのLPおすすめ完全ガイド:初期セルフタイトルからBabe Rainbowまで
The House of Love — レコードで聴きたいおすすめ作を深掘りするコラム
1980年代後半から90年代にかけて英国インディー/オルタナティヴシーンで独自の存在感を放ったThe House of Love(以下HoL)。ギタリストのテリー・ビッカーズの浮遊するサイケデリックなギターと、メインソングライター/ボーカルのガイ・チャドウィックのメロディー志向で、ポップと翳りの両方を併せ持つサウンドを築きました。本稿では、レコード(LP)で聴く価値が高いおすすめタイトルをピックアップし、音楽的特徴、代表曲、購入時にチェックしたいポイントなどを解説します。
選定の基準
- バンドの代表性(音楽的な完成度やバンドらしさが強く出ているか)
- レコードでの音像的魅力(ギターの空間感やヴォーカルの表情が活きるか)
- 入手しやすさとコスト面のバランス
おすすめレコード(アルバム)と詳細解説
The House of Love(初期作/Creation期のセルフタイトル)
なによりもまず真っ先に挙げたいのがバンド初期のセルフタイトル作。インディー感あふれるダイナミズムと、ビッカーズのギターによるサイケデリックな彩りが強く、後年の洗練されたサウンドとは対照的な生々しさがあります。
- 代表曲の傾向:ドラマティックなフックを持つナンバーとインディーらしい切れ味が同居。
- レコードで聴く価値:ギターの空間表現、ヴォーカルの湿り気、アナログの暖かさが楽曲の魅力を引き立てる。
- 選ぶときの目安:当該時期のオリジナル・プレスはエッジがあり、音の迫力が魅力。リマスター盤は分離が良く聞きやすい場合があるので好みで選ぶと良い。
The House of Love(メジャー移籍後のセルフタイトル/再録バージョンを含む)
バンドはメジャーレーベルへ移籍し、一部楽曲を再録したセルフタイトル作を発表します。プロダクション面での明瞭さが増し、よりポップで聴きやすいアレンジが前面に出た作品です。
- 代表曲の傾向:同曲の別アレンジやシングル向けの磨き上げが目立つ。
- レコードで聴く価値:オリジナルの荒々しさとは別ベクトルで、スタジオでの完成度や楽曲のポップ性を楽しめる。
- 選ぶときの目安:大手レーベル盤はプレスの品質が安定していることが多く、クリアで細部が聞き取れる傾向。
Babe Rainbow
サイケデリックな色合いとポップな曲作りが調和した、バンドらしい多彩さが発揮された作品。管弦やコーラスなどのアレンジが豊かで、聴いていて気分が開けるアルバムです。
- 代表曲の傾向:メロディーの魅力が前面に出た楽曲が多く、アルバム通しての統一感がある。
- レコードで聴く価値:アレンジの空気感や余韻がアナログの再生でより豊かに感じられる。
- 選ぶときの目安:オリジナル・プレスは盤質に差が出る場合があるため、状態確認が重要。
Audience with the Mind
バンドのラインナップや内情が揺らいだ時期に作られたため、全体にダークで実験的な側面が見え隠れします。好みは分かれますが、深みのある聴き応えがあり、コアなファン向けの重要作です。
- 代表曲の傾向:陰影の強い楽曲と、内省的な歌詞世界。
- レコードで聴く価値:曲の重心や空間がしっかり再現されると、アルバム全体の流れが生き生きと伝わる。
- 選ぶときの目安:盤状態の良いものを選べば、低域の表現やリズムの厚みが活きる。
Days Run Away(再結成以降の作品)
再結成後の成熟した表現が光る作品。若い頃の激情とは異なる静かな強度があり、往年のファンにも新規リスナーにも訴えかける楽曲が並びます。
- 代表曲の傾向:叙情性が増し、メロディーと歌詞の深まりが感じられる。
- レコードで聴く価値:落ち着いた音像は家庭のオーディオでも心地よく鳴る。
シングル&EPで押さえたい曲(代表トラック)
アルバム以外にも、彼らはシングルやEPに強い楽曲を残しています。以下はレコード収集で真っ先に押さえたい代表トラックの例です。
- “Christine”(バンドの代名詞的な曲;ドラマ性のあるメロディーと切ない歌詞)
- “Shine On”(キャッチーでポップな魅力が際立つナンバー)
- “Destroy the Heart”(ギターのドラマとメロディーの高揚が特徴)
どのプレス/エディションを狙うか(購入ガイド)
- オリジナル・プレス(当時のCreationや後のメジャー盤):
音の勢いや制作当時の空気感を重視するならオリジナル。特に初期のインディー盤は当時の録音/ミックスの色合いが濃く残っている。
- リマスター/再発盤:
音の分離や低ノイズを重視する場合はリマスターが魅力。近年のアナログ再発はプレス品質が良いことが多く、手に取りやすい。
- 限定カラー盤や再発のボーナス付属:
コレクター向けの価値は高いが、音質は盤ごとに差があるため視聴できるならチェック推奨。
購入時の実用的なチェックポイント(簡潔に)
- 収録バージョン(初期のオリジナル録音か、後の再録か)を確認する。
- 盤やジャケットの状態(中古購入時)。帯やインサートの有無はコレクション価値に影響。
- プレス元と再発年。特に初期インディー盤は希少性が高まりやすい。
聴きどころのガイド(曲ごとの注目点)
- ギター・レイヤー:ビッカーズによる独特のリバーブ/フランジ系のギターが楽曲の空気を作る。
- メロディと歌詞:チャドウィックのメロディメイキングはポップでありつつ翳りがあり、歌詞の情景性も強い。
- ダイナミクス:静と動の対比が巧みで、アルバムの曲順で聴くと構成美が味わえる。
どの1枚から始めるべきか(初心者向けの提案)
初めてHoLをレコードで楽しむなら、作品の「顔」が分かる1枚を選ぶのが良いです。インディーらしい荒々しさとバンドの本質を知りたいなら初期セルフタイトル、洗練されたポップ感をまず味わいたければメジャー期のセルフタイトル、メロディと彩りを堪能したければBabe Rainbowをおすすめします。
コレクションとしての価値観
The House of Loveは音楽的に独特で、コアなファンが多いバンドです。オリジナル・プレスは年々希少になっており、特に初期シングルや限定盤はコレクターからの支持が高いです。一方で音質や保存性を重視するなら良質な再発を選ぶ合理性もあります。楽しみ方に合わせて「音像を優先するか」「コレクター性を重視するか」を決めると良いでしょう。
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参考文献
- The House of Love — Wikipedia
- Discogs検索:The House Of Love(ディスコグラフィ/各リリース情報)
- AllMusic検索:The House of Love(レビュー・ディスコグラフィ)


