The Knack 徹底解説:My SharonaからGet the Knackまで、必聴アルバムと聴き方ガイド

The Knack を聴く理由──パワー・ポップの象徴

1970年代末に登場したアメリカのロック/パワー・ポップ・バンド、The Knack(ザ・ナック)は、短いブレイクの中でポップなフックとビート感を武器に一躍トップに躍り出ました。代表曲「My Sharona」は1979年に全米チャート1位を獲得し、同名のデビュー盤『Get the Knack』は瞬く間に商業的成功を収めました。ここでは、コアなファンから初めて聴く人までを想定して、購入やコレクションの優先順位としておすすめできるアルバムを中心に、楽曲・制作の背景・聴きどころを深掘りして解説します。

推薦盤 1:Get the Knack(1979) ― 必携のデビュー作

The Knack の代名詞的作品。パワー・ポップのエッセンスが凝縮されており、キャッチーなギターリフと即効性のあるメロディが次々と現れる全10~11曲は、当時の若者文化やラジオ志向の商業性とも見事に噛み合いました。

  • 聴きどころ:代表曲「My Sharona」はもちろんだが、「Good Girls Don't」など、緊張感のあるギター・アレンジとコーラスの効いた曲が並ぶ。
  • 制作の背景:デビュー作としての"勢い"とプロの手腕が融合したサウンドで、ポップ性を最大化したプロダクションが特徴(プロデューサーとの相性やスタジオの作り込みが成功に寄与)。
  • 楽しみ方の提案:キャッチーさを追体験するためにA面通しで聴くと、当時のラジオ的快感が楽しめる。

推薦盤 2:But the Little Girls Understand(1980) ― 人気に対する応答と批評のはざまで

デビューの成功を受けてすぐに発表された2作目。メジャーなヒットを意識した楽曲群と、前作との違いを出そうとする試みが混在しています。評論家や聴衆から賛否が分かれた作品でもあり、バンドの“光と影”が見える重要な一枚です。

  • 聴きどころ:デビュー後の“続けざまのヒット”を狙う楽曲構成。歌詞やイメージに対する批判も出た時期であり、その文脈を踏まえて聴くと興味深い。
  • 楽しみ方の提案:前作との比較を意識して聴くと、バンドの方向性の揺れや制作側の判断が見えてくる。

推薦盤 3:Round Trip(1981) ― 実験と成熟の兆し

グループとしての音楽的な幅を試そうとした3作目。ポップな側面を保ちながら、アレンジやリズムの変化を導入しており、単純な追随ヒット路線からの脱却を図った痕跡が残ります。セールス面ではピークを越えますが、音楽的には聴き応えのある作品です。

  • 聴きどころ:シングル志向から若干離れた楽曲選びや編曲。楽曲の質感にバリエーションが出てくる点が評価できる。
  • 楽しみ方の提案:アルバム全体を通して、楽曲ごとの編曲の違い(テンポ、ギターの質感、コーラス表現)を追ってみると面白い。

推薦盤 4:コンピレーション/ベスト盤 ― 初めての入門に最適

短期間での代表曲やシングル中心に聴きたい場合はベスト盤が便利です。The Knack はシングル曲の強度が高く、ベスト盤で聴くことで彼らの「短時間で耳に残るポップセンス」を効率よく体験できます。

  • 聴きどころ:A面シングル群の並びで、バンドの勢いとキャッチーさを再確認できる。
  • 楽しみ方の提案:まずは代表曲の連続で“入門”し、気に入った曲を元にオリジナル・アルバムへ展開するとリスニングが深まる。

推薦盤 5:1990年代以降の復帰作(例:Zoom/Normal as the Next Guy 等) ― 成熟した姿を求める向きへ

1990年代以降、メンバーの再結成や復帰作が発表されています。初期の勢いとは異なる“落ち着いた”作風や成熟したソングライティングが聴けるので、デビュー期の直線的なパワー・ポップに加えて、別の側面を味わいたい人におすすめです。

音楽的特徴と聴きどころの深掘り

The Knack の魅力は、短く端的なフレーズでの“グリップ力”にあります。ギターの刻み、ツボを押さえたコーラス、そしてキャッチーなリフ――ポップソングとしての完成度が高く、瞬間的な"中毒性"を生む点が特徴です。歌詞やイメージに対する賛否はあったものの、メロディとアレンジの力で長年リスナーを惹きつけ続けています。

どの盤を買うべきか:目的別ガイド

  • 「代表曲を短時間で楽しみたい」→ ベスト盤や『Get the Knack』(ベスト収録版があればそちら)
  • 「バンドの勢いと当時の空気を味わいたい」→ 初期アルバム(特に『Get the Knack』のオリジナルLP)
  • 「深掘りして音楽性の変化を追いたい」→ 2作目・3作目や復帰作まで通して聴く
  • 「コレクション的に楽しみたい」→ オリジナル盤(初版プレス)や公式リマスター盤を探すのがおすすめ

ジャケット・ライナーと時代性を見る楽しみ

The Knack の作品群は、ジャケットやライナーノーツにも当時のカルチャーやマーケティング戦略が反映されています。デビュー当時のブランディング、批評家の反応、ツアー情報などをライナーで追えば、音楽そのものだけでなく当時のシーン全体を立体的に理解できます。コアなファンなら、初版ジャケットやインナー・ライナーの違いをチェックする価値があります。

購入時のチェックポイント(リリース史を中心に)

  • リイシューかオリジナル盤か:音質やパッケージの再現度、価値観が変わるため目的に応じて選ぶ。
  • クレジット/ライナーの有無:当時のクレジット情報や写真/解説が残っているかで楽しみが増す。
  • 国内盤/輸入盤の仕様差:ボーナストラックや解説の有無、歌詞対訳などが異なることがある。

まとめ:まずは『Get the Knack』を、そして深掘りを

The Knack を初めて聴くなら、まずは『Get the Knack』で「My Sharona」を含む名曲群に触れてください。そこから2作目・3作目、復帰作やベスト盤へと横断的に広げると、バンドの多面性や時代性、批評との関係まで見えてきます。短期でのブレイクという側面と、ソングライティングの純粋な強度──その両方を楽しめるのが The Knack の面白さです。

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参考文献