Warの多文化サウンドを徹底解剖:代表作と聴き方・おすすめレコード案内
War — 多文化が混ざり合ったサウンドの源流
War(ワー)は1960年代末に結成された米国のバンドで、ファンク、ソウル、ラテン、ジャズ、ロックを柔軟に融合させた独自のサウンドで知られます。米西海岸の多文化的背景を反映したリズム感とブラス/ギターの絡み、メッセージ性のある歌詞が特徴で、商業的にも大きな成功を収めました。本稿では「レコードで聴くべきWarのおすすめ盤」を中心に、その聴きどころや選び方のポイントを解説します。
おすすめレコード(代表作と名盤)
以下はWarのキャリアを辿るうえで押さえておきたい主要リリースです。各アルバムごとに、音楽的特徴・聴きどころ・入手時の選び方の観点を簡潔にまとめます。
Eric Burdon Declares "War"(1969)
ポイント:エリック・バードン(The Animals)とのコラボレーション作。初期の実験的側面とヒット曲「Spill the Wine」を含む作品で、Warの出発点が詰まっています。ロック寄りのアプローチとファンク/ラテンの芽が同居するため、Warを最初に聴くには好適。
All Day Music(1971)
ポイント:バンドとしての個性が明確になり始めた作品。タイトル曲をはじめ、ゆったりしたグルーヴとホーン・アレンジのバランスが見事で、ラテンやジャズ的な色合いが強く出ています。アルバム全体の流れで聴くとWarの幅広さが実感できます。
The World Is a Ghetto(1972)
ポイント:商業的にも批評的にも成功した代表作で、バンド史上最も知られるアルバムのひとつ。タイトル曲をはじめとする長尺のサウンドスケープと、シングル「The Cisco Kid」などのキャッチーさが同居。1970年代初頭のアメリカ社会を反映したテーマ性も強く、Warの「代名詞」と言える作品です。
Deliver the Word(1973)
ポイント:前作の成功を受けて、より洗練されたアレンジとソウルフルな表現が強まった一枚。シングルヒットやバンド内で愛される楽曲を含み、演奏の緻密さとグルーヴ感が際立ちます。アルバム通しての流れを楽しんでほしい作品です。
Why Can't We Be Friends?(1975)
ポイント:ポップで親しみやすい楽曲が多く、シングル「Why Can't We Be Friends?」や「Low Rider」といった代表曲を収録。これらはラジオやCMなどでも広く使われ、世代を超えて耳に残るフレーズとリズムを提供します。メッセージ性のある歌詞とキャッチーさの両立が魅力。
Love Is All Around(1976)
ポイント:よりメロウでソウルフルな面が強調された時期の作品。バラードから中速のグルーヴまで、情感豊かな演奏が中心で、バンドの幅広い表現力を感じられます。落ち着いたムードで聴きたいときにおすすめ。
The Music Band シリーズ(1979年頃〜)
ポイント:70年代末〜80年代初頭にかけての作品群で、音作りやアレンジに当時の流行も反映されています。初期の有機的なサウンドとは違った“都会的・洗練”さを持ち、バンドの成熟と変化を追いたいコレクター向けです。
編集盤・ベスト盤(入門編として)
ポイント:Warはシングルヒットや代表曲が多いため、初めて聴くなら「ベスト盤」も有効です。キャリア全体のハイライトを短時間で把握でき、気に入った時点でオリジナル・アルバムに遡る聴き方が自然です。
各盤の聴きどころ(音楽的観点)
リズムの多層性:ファンクのグルーヴをベースに、ラテンパーカッションやカリブ系のリズムが溶け込み、独特の推進力を生む点。
ホーンとギターの対話:ホーン・セクションが旋律を引っ張る場面と、ギターやオルガンがテクスチャーを作る場面のバランスが魅力。
社会性とポップセンスの両立:社会的メッセージを含む楽曲でもポップなメロディやキャッチーなフックがあり、聴きやすさを保つ点。
長尺曲の構築美:アルバムには数分から10分前後の長めの楽曲もあり、テーマの展開や即興的な演奏を楽しめる。
どの盤を先に買うべきか(目的別ガイド)
まずは代表曲を知りたい:コンピ盤や『The World Is a Ghetto』、『Why Can't We Be Friends?』がおすすめ。
バンドの始まりから追いたい:エリック・バードンとの共作「Eric Burdon Declares 'War'」から順に聴くと進化がよく分かります。
演奏力・アレンジの深さを味わいたい:『All Day Music』『Deliver the Word』などアルバム単位で聴くのが向きます。
変遷・晩年の作風を知りたい:The Music Bandシリーズなど晩年の作品を並べて聴くと、時代ごとの音作りの変化が把握できます。
リイシューや音源の選び方のヒント(録音・版について)
Warは複数のレーベルや時代を経て再発も多いため、選ぶ際はいくつかの観点があります。
オリジナル・アルバムの曲順で聴くことでアルバムの構成美を楽しめます。ベスト盤は曲の取捨選択がされているため、アルバム体験とは異なります。
デジタル・リマスターやCD化で音質が改善されている場合もありますが、オリジナルのアナログ盤特有の空気感を好むリスナーもいます。まずはストリーミングやリマスター盤で全体を把握してから、気に入った作品の別エディションを探すのが効率的です。
ライヴ盤や編集盤にはスタジオ録音とは違う即興性や別テイクが収められていることがあるため、コアリスナーはチェックしてみてください。
まとめ
Warは多様な音楽的要素を自然に溶け込ませたバンドで、アルバムごとに異なる魅力があります。まずは「Eric Burdon Declares 'War'」で出発点を押さえ、「The World Is a Ghetto」「Why Can't We Be Friends?」で代表曲やキャッチーさを体感し、さらに「All Day Music」や「Deliver the Word」で深みを味わう──という流れが王道です。リイシューや編集盤も多いので、まずは聴きやすい形態で入門し、気に入った盤を掘っていくのがおすすめです。
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参考文献
- War (American band) — Wikipedia
- The World Is a Ghetto — Wikipedia
- AllMusic — Search: War
- Discogs — Search: War


