Ary Barrosoのブラジル音楽を再発見する:Aquarela do Brasilを軸に原盤・リマスター・カバーまで厳選レコードガイド

Ary Barroso:ブラジル音楽の巨匠を改めて聴くために

Ary Barroso(1903–1964)はブラジルを代表する作曲家の一人で、サンバやショーミュージックを通じて「ブラジルらしさ」を世界に伝えた人物です。代表作「Aquarela do Brasil(ブラジルの水彩画/通称:ブラジル)」をはじめ、情景描写と劇的なメロディを兼ね備えた曲群は、アレンジ次第でジャズやボサノヴァとも自然に融合します。本コラムでは、バロッソ作品の魅力を堪能できる“レコード(音源)”を厳選して紹介し、それぞれの聴きどころや探し方、どんなリスナーに向くかを深掘りします。

選び方の視点(簡潔)

  • “作曲者自身や当時の歌手によるオリジナル”で時代の息遣いを味わう
  • “国際的に広まったカバー(Carmen Mirandaなど)”で世界的な広がりを見る
  • “現代アーティストによる再解釈”で楽曲の普遍性と再発見を楽しむ
  • 音質重視ならリマスター/編集ベスト盤、歴史的資料重視ならオリジナル盤(78回転シングル等)を探すのが近道

おすすめレコード(厳選)

1) Francisco Alves(代表的な吹き込み)/1930s–1940s 78rpm シングル群(コンピレーションでも可)

なぜ聴くか:Francisco Alvesは1930〜40年代ブラジルの人気歌手で、多くのAry Barroso作品を初期にレコーディングしました。当時の歌唱様式、マイクや編成の音響がそのまま伝わるため、楽曲の“原風景”を理解するのに最適です。

  • 聴きどころ:歌詞の語り口、ストリングやホーンのアレンジの原型、リズムの扱い。
  • 探し方:Discogsやオークションで「Francisco Alves Ary Barroso」や曲名で検索。近年はコンピレーションLP/CDに収録されていることも多い。

2) Carmen Miranda/米盤・欧盤のコンピレーション(1940s録音を含むもの)

なぜ聴くか:Carmen Mirandaは米国市場でブラジル音楽を広めた立役者。彼女の録音はアレンジが派手で劇場的、Barroso曲が国際的ポップ・スタンダードへ転化する過程を体感できます。

  • 聴きどころ:シネマティックな編曲、英語圏向けに若干アレンジされた歌詞やイントネーション、楽曲の大衆受けのされ方。
  • 探し方:「Carmen Miranda best of」「Aquarela do Brasil Carmen Miranda」などでコンピを探すと、代表録音をまとめて聴ける。

3) Ary Barroso 純粋なコンピレーション/ベスト盤(現代リマスター盤)

なぜ聴くか:作曲家としての全体像(ヒット曲以外の隠れた佳曲や多様な編成)を一気に俯瞰できます。音質を重視するなら最新のリマスターCDやデジタル盤がおすすめです。

  • 聴きどころ:代表作だけでなく、ショー音楽的な短い楽曲やインスト曲、民族色の濃いサンバも含めて作品世界を俯瞰。
  • 探し方:「Ary Barroso best of」「Anthology Ary Barroso」「Aquarela do Brasil anthology」などで配信・CDを検索。

4) オーケストラ/ビッグバンド編の録音(1930s–50s)

なぜ聴くか:Barrosoの曲はビッグバンドや大編成と相性が良く、ホーンやストリングでの劇的表現が作品の魅力を引き出します。映画音楽やラジオ・オーケストラ録音に良盤が残っています。

  • 聴きどころ:オーケストラによるダイナミクス、映画音楽的な華やかさ。
  • 探し方:曲名+「orchestra」「big band」「radio orchestra」等で検索。古いLPの再発や編集盤に収録されていることが多い。

5) 現代の再解釈・トリビュート盤(MPB/ジャズ編)

なぜ聴くか:Caetano Veloso、Gal Costa、Elis Regina、João GilbertoらMPB/ボサノヴァ世代のアーティストや、近年のジャズ系ミュージシャンがBarroso曲を独自に咀嚼しています。楽曲の普遍性やアレンジの可能性を知るには最適。

  • 聴きどころ:リズムの自由化、ハーモニーの現代的拡張、歌詞解釈の多様性。
  • 探し方:アーティスト名+曲名、もしくは「Ary Barroso tribute」で検索。近年はストリーミングで見つけやすい。

曲ごとの聴きどころ(代表作を例に)

Aquarela do Brasil(ブラジル)

— 歴史的位置づけ:ブラジル国家イメージを象徴する一曲。作曲当時から映画やショーで何度も採用され、国際的なスタンダードになった。

  • オリジナル系(Francisco Alves等):メロディの力強さと民族的骨格を直に感じられる。
  • Carmen Miranda系:華やかなショー的解釈で“ブラジル像”の輸出物としての側面を知る。
  • 現代カバー:テンポや和声を大胆に変え、原曲の骨格がどれほど普遍的かを示す。

Na Baixa do Sapateiro など(地域色の強いナンバー)

— 聴きどころ:地名や風景が歌詞に織り込まれ、ローカルな情景描写が豊か。原曲のリズム感と歌詞の語りが魅力。

どの盤(フォーマット)を選ぶか:実用的アドバイス

  • 「歴史的雰囲気を重視」→オリジナルの78rpmシングルや当時のLP(コレクターズアイテム)を探す。
  • 「聴きやすさ、音質重視」→ 近年のリマスターCDやデジタル配信(正規リマスター)を選ぶ。
  • 「解釈の幅を楽しみたい」→ トリビュート盤やMPBアーティストのカバー集を聴く。

具体的な探し方と入手のコツ

  • まずはストリーミングでキー曲(Aquarela do Brasil、Na Baixa do Sapateiro など)の複数バージョンを聴き比べる。
  • 気に入った録音の盤情報(録音年・レーベル・歌手)を確認したら、Discogsや中古レコード店で同録音のフォーマット(78/LP/CD)を探す。
  • ベスト/アンソロジー盤は曲解説やライナーノーツが付くことが多く、歴史的背景を学ぶのに便利。

まとめ — Ary Barroso を“複層的”に楽しむ

Ary Barroso の音楽は、作曲家自身のブラジル観、時代のポピュラー音楽の産物、そして世界各地での再解釈という複数の層で成り立っています。オリジナルの歌手による古い録音で当時の息遣いを感じ、Carmen Mirandaらの国際録音で世界化の過程を追い、現代のカバーで楽曲の普遍性を確認する——この三段構えでレコード収集・聴取を進めると、Barroso音楽の深みを効率よく味わえます。

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参考文献