Richard Hell & the Voidoidsの名盤徹底ガイド:Blank GenerationとDestiny StreetをLPで聴くパンクの極致
はじめに — Richard Hellという存在
Richard Hell(リチャード・ヘル、本名:リチャード・メイヤーズ)は、1970年代ニューヨーク・パンクの象徴的存在のひとりです。詩的で捩れたリリック、尖ったヴィジュアル、そしてヴォイド感覚(Blank Generation を代表するアイデア)で、パンクのサウンドや精神性に大きな影響を与えました。本コラムでは、レコード(ヴィニール)で聴く価値の高い作品を中心に、代表作の解説と聴きどころ、購入時のポイントなどを紹介します。
おすすめレコード一覧(優先順)
- Richard Hell & the Voidoids — Blank Generation
- Richard Hell & the Voidoids — Destiny Street
- Destiny Street Repaired(再編集/リミックス版)
- 編集盤/コンピレーション(入門用)
- 関連作品:Television「Marquee Moon」など同時代の重要作
1. Blank Generation(Richard Hell & the Voidoids)
なによりもまず薦めたいのが代表作「Blank Generation」。パンクの名盤として広く認知されており、タイトル曲「Blank Generation」は彼の思想と佇まいを最もストレートに示すナンバーです。このアルバムは、詩情と粗さが同居したサウンドが魅力で、ギターのアタック感、スナップの効いたリズム、そしてヘルのシャープなボーカル/語りが際立ちます。
- 聴きどころ:タイトル曲「Blank Generation」の断定的なフレーズ、トータルの詩的世界観、Love Comes in Spurts の瞬発的な狂気。
- なぜレコードで聴くべきか:オリジナル盤は1970年代の空気感(ミックスの粗さや歪み)がそのまま残っており、当時のパンクの衝動をダイレクトに感じられます。
- おすすめのエディション:入手できればオリジナルの初期プレスはコレクターズアイテムですが、近年のリイシューで音が整えられたものも聴きやすくおすすめです。
2. Destiny Street(Richard Hell & the Voidoids)
「Blank Generation」から数年を経て発表された作品で、より実験的・成熟した面が見えるアルバムです。メロディやアレンジ面で異なる表情を持ち、楽曲によっては冷たく孤独な情緒を漂わせます。スタジオでの試行錯誤が感じられ、ヘルの作家性(詩人としての側面)が強く出た一枚です。
- 聴きどころ:哀愁や透徹した雰囲気をたたえた楽曲群。ネオン/都市感のある歌世界。
- 購入のヒント:オリジナルLPはプロダクションの賛否が分かれることがあり、好みによってオリジナルと後年の修正版を聴き比べるのがおすすめです。
3. Destiny Street Repaired(リミックス/再編集版)
オリジナル「Destiny Street」への反応を受けて、後年にミックスを見直したバージョンが出ています。元々の録音の良さを活かしつつ音像やバランスを現代的に整理してあり、「歌や演奏をよりクリアに聴きたい」リスナーには特に向いています。どのバージョンを選ぶかでアルバムの印象がかなり変わるため、両方を聴き比べるとRichard Hell の多面性がよく分かります。
4. 編集盤・ベスト、シングル集(入門用)
初めて聴く人、あるいは作品を一通り把握したい場合は編集盤やベスト、当時のシングル集も有効です。代表曲がまとまっていれば、アルバムごとの音質差や制作背景を知る前段階として役立ちます。また、初期のシングル音源にはアルバム未収録のテイクが残されていることもあります。
5. 周辺作品を押さえる(文脈理解のために)
Richard Hell は単体でも魅力的ですが、同じニューヨーク・シーンの作品と聴き比べることでその価値が際立ちます。たとえば Television の「Marquee Moon」や New York Dolls の作品など、同時代の高い創造性を持つアルバムを並べると、ヘルの美学や楽曲観がより明瞭になります。
レコード購入時の実用的ポイント(機材やメンテは除く)
- どのバージョンが欲しいかを明確に:オリジナル盤(1970年代)か、後年のリマスター/リミックス盤かで音の印象が大きく変わります。オリジナルの雰囲気重視か、音のバランス重視かを考えて選びましょう。
- ライナーやクレジットを確認:収録テイクやミックスの違い、参加ミュージシャンの情報は作品の理解を深めます。ヴォイド感を作ったギタリストやエンジニアの名前は要チェックです。
- 盤の状態と封入物:初回盤には特典のスリーブやインナーシートが付くことがあり、コレクション価値が上がります。
- コンテクスト重視の聴き方:歌詞や詩的表現に注目して聴くと、Richard Hell の特徴(短詩的フレーズ、断片的なイメージ)がよく分かります。
なぜ今改めてRichard Hellを聴くべきか
パンクという言葉が大量消費化した現代において、Richard Hell の作品は「言葉と音の硬質な組合せ」という本質を思い出させてくれます。詩人的な視点と生々しいロックの衝動が同居するこれらのレコードは、単なるレトロ趣味を超えて現在のリスナーにも新しい発見を与えるはずです。
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参考文献
- Richard Hell — Wikipedia
- Blank Generation (album) — Wikipedia
- Destiny Street — Wikipedia
- Richard Hell — AllMusic


