Cabaret Voltaire完全ガイド:初期実験から80年代ダンス志向までの聴き方と名盤・おすすめアルバム

Cabaret Voltaireとは — ざっくり概要

Cabaret Voltaire(キャバレー・ボルテール)は、イギリス・シェフィールド出身の実験的エレクトロニック/ポストパンク/インダストリアル・ユニットです。1970年代後半に活動を始め、アナログ・テープのコラージュ、ノイズ、ドローン、ダンス志向のビートを独自に融合させていきました。初期の工業的/実験的サウンドから、1980年代中盤以降のよりダンス/エレクトロ志向への変化まで、長いキャリアの中で音像を大きく変化させてきた点が魅力です。

おすすめレコード(代表作と深掘り)

  • 初期シングル群(late 1970s — early 1980s)

    “Nag Nag Nag” 等の初期シングルは、彼らの“実験とパンクの接合点”を象徴する音源群です。ノイズと機械的リズム、断片的なサンプル処理が前面に出ており、インダストリアル/ポストパンク好きには必聴。オリジナルの7"や初期EPはコレクターズ・アイテムにもなっています。

  • The Voice of America(初期アルバム期の代表作)

    荒削りで実験色の強い作品。コラージュ的な編集と冷たい機械音、政治的・メディア批評的な歌詞が混ざり合い、当時の無政府的なエネルギーを感じさせます。初期のCabaret Voltaireサウンドを知る上で重要な一枚。

    聴きどころ:雑多な音響処理や断片的なヴォーカル、独特の緊張感。

  • Red Mecca(1981)

    バンドのサウンドが一段と研ぎ澄まされ、ダブ的な空間処理やミニマルなリズムが効果的に使われた傑作。政治的なテーマ性と音響的実験が融合し、批評的にも高評価を受けるアルバムです。初期〜中期の転換点として非常に重要。

    聴きどころ:深いリヴァーブ/ダブ処理、緻密なリズム・プログラミング、冷たいメランコリー。

  • The Crackdown(1983)

    この時期からバンドはより“ダンス寄り”かつ洗練されたサウンドへと舵を切ります。ファンク/エレクトロの要素を取り入れ、コンパクトで強烈なリズム・トラックが前面に。クラブでも機能する楽曲が増え、聴き手の幅が広がった作品です。

    聴きどころ:タイトなビート感、エレクトロ路線のきらびやかなシンセ使い。

  • Micro-Phonies(1984)

    よりプロダクション志向が強く、シングル「Sensoria」を含むことで知られるアルバム。映像作品との結びつき(代表曲のビデオ)も印象的で、バンドが“ポップ性”を取り入れつつも実験性を保った好例です。

    聴きどころ:「Sensoria」などのキャッチーなトラックと、スタイルの多角化。

  • Drinking Gasoline(mid-1980s EP群)

    シングル/EP群はアルバムの流れとは少し異なる刺激を与えます。断片的ながら緊張感のあるトラックが揃い、リミックス的アプローチやダンス・クラブ向けの編集が見られる点が面白いです。

  • Code(1987)

    80年代後半の作品で、さらに電子音楽寄り/プロダクティブなサウンドへ。商業的な志向と実験性の折衷が進み、シンセやサンプルの扱いが洗練されています。時代の潮流(ダンス/エレクトロ)を積極的に取り入れた一枚。

  • 編集盤・コンピレーション(入門用)

    初期のシングル集や編集盤は、断片的に散らばる重要曲を一度に聴けるため入門には最適です。初期実験音源とダンス期の曲調の差を比較するのに役立ちます。

各盤の楽しみ方(聴きどころの掘り下げ)

  • 初期期(実験重視):サウンドコラージュ、ノイズ処理、テープ編集の妙をまずは“音像”として味わう。曲間やノイズの“意味”を想像すると面白い。

  • 中期(Red Mecca〜The Crackdown):リズムと空間処理の効果を体感。低域のうねりや残響の効き方、ミニマルなビートの心地よさに注目。

  • 後期(Micro-Phonies〜Code):楽曲の構造美、シンセ・メロディやポップ寄りの手触りを楽しむ。映像作品と合わせると世界観が広がることが多いです。

コレクター向けメモ(何を探すと面白いか)

  • 初期7"シングルや限定EP:初期のオリジナル・プレスは状態次第で価値が出やすく、音の荒々しさをそのまま残していることが多い。

  • 12"シングルやリミックス:ダンス寄りのトラックは12"でのミックス違いが存在することがある。クラブ寄りの編集を楽しみたい場合はチェック。

  • リイシューとオリジナルの聞き比べ:リマスターや再発で音像が変わることもあるため、音の“厚み”や低域の出方を比べるのも面白い。

  • ジャケットやインナーの違い:初期盤のアートワークやインサート類の有無はコレクション価値に影響します。

誰におすすめか?

  • 実験音楽・ノイズ好き:初期の荒々しい音響実験が刺さるはずです。

  • ポストパンク/ニューウェイヴ好き:変則的で冷たいビートやメディア批評的な歌詞に魅力を感じる人に。

  • ダンス/エレクトロ好き:中期以降のリズミカルな作品はクラブ・エナジーを持っており、ダンスミュージックの文脈でも楽しめます。

まとめ — 聴き進める順の一例

  • 入門:編集盤・ベスト盤で大まかな流れを掴む

  • 初期に興味が湧いたら:初期シングル/The Voice of America、Nag Nag Nag等

  • 中期の洗練を堪能:Red Mecca → The Crackdown → Micro-Phonies

  • 後期の進化:Code などで80年代後半の音作りを確認

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