Francesco Merliの歴史的録音ガイド:オテロとヴェルディ系アリアを極める聴き方とおすすめレコード
はじめに — Francesco Merliとは
フランチェスコ・メルリ(Francesco Merli, 1887–1976)は、20世紀前半に活躍したイタリアのドラマティック・テノールとして知られます。声質は力強く金属的な輝きを持ち、ヴェルディやベルディズモ(ヴェリズモ)系の大役、特にヴェルディの『オテロ』で高い評価を得ました。イタリア国内の主要歌劇場(とくにミラノ・スカラ座)や著名な指揮者との共演録音が残されており、歴史的音源として再発されているレコード/CDが多数存在します。
聞きどころを押さえる:Merliの魅力
演劇的迫力:劇的テノールらしい強いアタックと激しい感情表現。
金属的かつ切れの良い高音:大きなホールでも通るテッサituraを持つ。
レトリック志向のフレージング:言葉の強調と表現の明瞭さに特徴がある。
録音様式の違いを楽しむ:78回転や初期電気録音の音色は現代音源とまったく異なる味わいを与える。
おすすめレコード(/CD)セレクション
以下は「初心者がまず聴くべき」「コレクター向けの豪華復刻」「一場面を堪能する抜粋盤」など用途別に整理したおすすめです。タイトルはレーベル名や復刻シリーズが異なる場合があるので、リンク先や流通元で最新のリイシュー情報を確認してください。
1) 総合的に楽しみたい:歴史的録音集(ボックス/全集)
歴史的録音を網羅したボックスセットは、演奏の変遷や貴重なライブ音源を含むことが多く、初めてMerliを深く掘るには最適です。通常、1920〜1930年代のスタジオ録音や放送用のライブをまとめており、解説書(ブックレット)付きで音質改善(ノイズ除去・イコライジング)が施されています。
おすすめポイント:全体像(レパートリー、音声の変化、共演歌手や指揮者)を把握できる。
注意点:リマスターの質に差があるため、評判の良い歴史音源復刻レーベル(Marston、Naxos Historical、Pearl、Testamentなど)を選ぶと良い。
2) 代表曲を抜粋で:アリア/ハイライト盤
短時間でMerliの魅力を掴みたいなら、オテロやヴェルディ系アリアの抜粋集が便利です。特に「アヴァント」(Otello の有名アリア)や劇的シーン集は、彼の声の持つ切れ味と表現力を直接感じられます。
おすすめの聴きどころ:『オテロ』のクライマックス・アリアや、ヴェルディの英雄的テノール場面。
購入の目安:曲目リストで自身の聴きたい場面が入っているかを確認。解説が充実している国内盤の復刻CD(日本語解説付)も狙い目です。
3) 生(ライブ)演奏を味わう:スカラ座などの放送/ライヴ録音
スタジオ録音より荒削りで一層「歌手の本性」が出るのがライブ音源。指揮者や共演者との相互作用、会場の熱気が伝わり、Merliの演技力と瞬発力がより鮮明に感じられます。特にスカラ座/トスカニーニとの共演録音は歴史的重要性が高いです。
4) レアトラック/コア・コレクター向け:78回転盤を復刻した編集盤
出自が78回転の単発録音を集めた編集盤は、音楽史的価値は高いものの音質は当時の技術に依存します。ノイズや周波数帯域の狭さを許容できるなら、出会いものの名演が含まれていることがあります。
代表的なレパートリー(聴いておきたい曲目)
Giuseppe Verdi — Otello(特にオテロのアリア、クライマックスの場面)
イタリア・ヴェリズモ系のアリア(劇的な一幕場面、激情を帯びたシーン)
オッフェンバックやプッチーニの一部レパートリー(録音により選曲が限られます)
選び方のポイント(購入・試聴時)
リマスターの品質:オリジナルの雰囲気を残しつつ不要ノイズを抑えているか確認。レビューや専門誌の評価を参考に。
ブックレット/解説:時代背景や録音履歴、共演者情報があると理解が深まる。
収録音源の出自:スタジオ録音か放送録音かで音質・演奏の性格が変わる。
レーベル選び:歴史的音源の復刻はレーベルごとに音作りの方針が違うため、信頼できるレーベル(Naxos Historical、Marston、Pearl、Testament、Preiserなど)を優先。
聴き方のコツ(作品ごとの着目点)
オテロなどドラマティックな役:声の鋭さ・持続力、語尾の処理(表情付け)に注目するとMerliらしさがわかる。
アリア短縮盤:短時間での表現凝縮を見ることで、フレージングとカデンツァの作り方が分かる。
ライブ音源:周囲のオーケストラや観客の反応も含めて“舞台上の瞬間”を楽しむ。
入手先・調べ方
ディスクグラフィ検索:Discogsで「Francesco Merli」と検索するとリイシュー状況が見やすいです。
専門レーベルのカタログ:Naxos Historical、Marston、Testamentなどのサイトで再発情報をチェック。
ストリーミング/配信:一部の歴史音源は主要配信サービスや大学図書館系の音楽配信(Naxos Music Library等)で聴けることがあります。
中古レコード店・オークション:78回転や初期LPは個人売買でしか出ないことがあるので、コレクター市場をこまめにチェック。
最後に
Francesco Merliは、現代の歌手とは別の録音技術・舞台慣習の文脈で理解する必要があります。音質の違いはありますが、彼の「声の個性」と「表現の強度」は、歴史的録音として今なお聴き応えがあります。まずは抜粋盤で代表的な場面を聴き、気に入れば全集的な復刻盤に進む—という段階的なアプローチをおすすめします。
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参考文献
- フランチェスコ・メルリ — Wikipedia(日本語)
- Francesco Merli — Discogs(ディスコグラフィ)
- Francesco Merli — AllMusic(アーティスト紹介/一部ディスコグラフィ)
- Naxos — Francesco Merli(歴史音源解説/関連リイシュー)
- Marston Records(歴史音源復刻レーベル)


