Orchestra of the 18th Centuryの魅力と名盤ガイド|Frans Brüggen指揮の古楽オーケストラ入門
Orchestra of the 18th Century — 概要と魅力
Orchestra of the 18th Century(オーケストラ・オブ・ザ・18th・センチュリー)は、フランス・ブリュッヘン(Frans Brüggen)を中心に1981年に結成された古楽器オーケストラです。18世紀の演奏習慣や楽器編成を現代に再現することを目的に、弦楽器のヴィブラート抑制や当時の管楽器・ホルンの使用、明瞭なアーティキュレーションとフレージングによる表現を特徴とします。バロック〜古典期のレパートリーを中心に幅広く録音を残し、古楽演奏の普及とクオリティ向上に大きく貢献しました。
オーケストラの特色(聴きどころ)
- 対話的なアンサンブル:室内楽的なバランスで各声部の独立性が強調され、細部の掛け合いが魅力です。
- 自然な息づかいとダイナミクス:現代オーケストラよりも小編成で、音量差やニュアンスで物語性を作ります。
- 管楽器の存在感:バロック管・古典期ホルンなどが積極的に用いられ、旋律線やリズムを際立たせます。
- テンポとリズムの柔軟さ:快活なダンス感覚、装飾やアゴーギクに自由度があり、作品の本質を鮮やかに浮かび上がらせます。
おすすめレコード(代表的・入門盤から通好みまで)
以下は「Orchestra of the 18th Century」が特に魅力を発揮している録音群を、作品ごとの聴きどころとともに紹介します。盤ごとの年号やレーベル表記は版により異なることがあるため、購入時はリリース情報を確認してください。
Bach:ブランデンブルク協奏曲
おすすめポイント:各協奏曲で楽器群の色彩が際立ち、バロックの対位法とリズム感が生き生きと表現されます。小編成ならではの透明感と精密なアンサンブルを堪能できます。
ここを聴け:第2番のトランペットや第5番のチェンバロ独奏など、ソロ楽器の登場場面での鮮烈さ。
Handel:Water Music / Music for the Royal Fireworks(管楽器重視の舞曲集)
おすすめポイント:管楽器の明瞭さとダンスの軽快さが際立つ演奏。古楽器のフレーズ処理によって、王侯の祝祭音楽がより生々しく聞こえます。
ここを聴け:序曲や舞曲のリズムの明快さ、ホルン・オーボエなどの対話。
Vivaldi:四季(The Four Seasons)
おすすめポイント:ソロとリトルル・オーケストラの掛け合いが明快で、ヴィヴァルディ特有の描写力(雷、鳥のさえずりなど)が鮮やかに浮かび上がります。テンポ設定の生き生きとしたスピード感も魅力。
ここを聴け:各楽章のコントラスト、特にソロが物語る“場面描写”。
Mozart:交響曲(特に後期作品の演奏)
おすすめポイント:古典派のクリアなレイヤー感とウィンドの存在感で、モーツァルトの室内的側面と劇的側面の両方が浮かび上がります。弦のアーティキュレーションが歌心を損なわずに立体的。
ここを聴け:ホルンやクラリネット(その時代の編成に合わせた編曲)による対位的なやりとり、メヌエットやフィナーレの推進力。
Haydn:交響曲(名作集)
おすすめポイント:ハイドンのユーモアやリズム感が、細やかなニュアンスで表現されます。管楽器を活かしたフレーズの応答や、意表をつくトリック(“驚き”など)がより際立ちます。
ここを聴け:特にメヌエットやトリオ、サプライズ効果の扱い方に注目。
C.P.E. Bach / J.C. Bach:古典派前夜の作品群
おすすめポイント:古典派への移行期に位置するこれらの作品は、劇的表現と感情の揺れが特徴です。Orchestra of the 18th Centuryの解釈は、当時の語法に基づく自然な表現で、その“揺れ”を説得力をもって聴かせます。
ここを聴け:感情の転換点、装飾的なソロの言い回し。
Beethoven(古典派〜初期ロマン派作品の歴史的解釈)
おすすめポイント:ベートーヴェンの初期から中期にかけての作品を、古楽器的視点で再検討した演奏。音色やテンポの違いから、楽曲の構造や表情の別側面が見えてきます(好みは分かれるポイントです)。
ここを聴け:古典的な小編成が強調する対位法や、弦楽器のレスポンス。
初めて買うなら/盤選びの指針
- まずは「ブランデンブルク協奏曲」や「四季」など、メロディの魅力が分かりやすい作品から。演奏スタイルの違いが直感的に分かります。
- 録音年代やリマスター情報を確認。80〜90年代の録音は当時の古楽復興の勢いがよく出ていますが、近年のリマスター盤は音像が改善されていることがあります。
- 解説やライナーノートを読むと、その演奏法の背景(速度設定、装飾、楽器編成)を理解でき、聴く楽しみが増します。
- 複数録音を聴き比べると、同じ曲でも解釈の差が面白く、アンサンブルの特徴がより明確になります。
通(つう)向けの楽しみ方・深掘りポイント
- ソロ楽器の扱い方を重点的に聴く:どの程度装飾が付けられるか、フレーズ終わりの処理、ポルタメントの有無など。
- 古楽器特有の音色がフレーズの意味づけにどう影響するかを比較する。たとえばヴィブラートの少なさが旋律線の輪郭をどう変えるか。
- 録音ごとの編成(奏者数)を確認し、”室内楽的”な演奏と”やや大編成”の演奏の違いを聴き分ける。
おすすめの聴き比べテーマ
- 同じ作品の歴史的演奏 vs モダン楽器版:響きと解釈の違いを比較する。
- Frans Brüggen が指揮する盤と、他の古楽指揮者(例:リリック系やネオバロック派)の盤を比べ、テンポ感や表情付けの違いを探る。
- ソロ楽器が主張的な盤とアンサンブル重視の盤の対比で、作品の“語り口”の差を楽しむ。
購入・収集の実用メモ
- CDや配信で手軽に聴くのも良いですが、アナログ盤(LP)でのリリースもあるため、音色の違いを楽しむなら盤種ごとの比較もおすすめです(ただし機材や好みによります)。
- ライナーノートに当時の演奏史的な解説や楽器情報が載っていることが多く、購入前にチェックすると理解が深まります。
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参考文献
- Orchestra of the 18th Century — Wikipedia
- Orchestra of the 18th Century — AllMusic
- Orchestra of the 18th Century — Discogs(検索結果)
- Frans Brüggen — Gramophone(レビュー検索)


