ビックス・バイダーベックのレコード聴き方完全ガイド:入門から深掘りまで必聴盤と聴きどころ
はじめに — バックス・バイダーベックとは
ビックス・バイダーベック(Bix Beiderbecke, 1903–1931)は、ジャズ史において特別な存在です。短い活動期間ながら、透明感のあるコルネットの音色と詩情的なフレーズ、そして作曲家としての先進性(ピアノ曲「In a Mist」など)で多くの演奏家に影響を与えました。本稿では「レコード(盤)で聴く」ことに焦点を当て、ビックス入門〜愛好家向けにおすすめの音源と聞きどころを詳しく解説します。
選び方の基本方針
楽曲そのものを味わう:ビックスは演奏に「歌うような」フレーズが多いため、ソロの透明感やフレージングをまず聴くことを勧めます。
編成と時代背景を押さえる:Wolverines時代(地方バンド)→Jean Goldketteオーケストラ→Frankie Trumbauerとのコンビ→Paul Whiteman系のビッグバンド、そしてソロのピアノ曲と、時期ごとに演奏スタイルが変わります。盤ごとに誰と演奏しているかを確認すると理解が深まります。
音質の良いリマスター/コンプリート盤を選ぶ:78回転原盤からのリマスターや、信頼できる解説が付いたコンプリートセットは聴取体験を大きく向上させます(特定レーベル名は各自の入手しやすさで選んでください)。
必聴の代表レコード(編集盤・コンピレーション中心)
『Singin' the Blues』(収録曲「Singin' the Blues」など)
なぜおすすめか:1927年の「Singin' the Blues」はビックスの名演を象徴するテイクで、甘く柔らかいコルネットの音色と、フレーズの間の余情が際立ちます。多くのコンピレーションに収録されており、ビックス入門の“顔”とも言える一曲です。聞きどころ:音色のコントロール、モチーフの展開、バックのアンサンブルとの対話。
『In a Mist』(ピアノ録音を集めた盤)
なぜおすすめか:ビックスはコルネット奏者として有名ですが、作曲家・ピアニストとしての一面も重要です。代表作「In a Mist」は印象派的な和声進行とジャズ的リズムの融合が聴け、彼の音楽的深さを知るには必聴です。聞きどころ:和声の色彩、テンポ感の揺らぎ、作曲上の独自性。
Wolverines期のセッション集(例:「Davenport Blues」「Fidgety Feet」「Royal Garden Blues」などを含む盤)
なぜおすすめか:若き日のビックスが地方ジャズバンドWolverinesで見せた鋭い即興とアンサンブル感。彼の原点を知るうえで重要です。聞きどころ:初期のフレージング、グループ・ダイナミクス、録音の素朴さが魅力。
Frankie Trumbauer Orchestraとのセッション集(「I'm Coming, Virginia」など)
なぜおすすめか:トランブオーケストラとの共演でビックスの歌うようなソロが際立ちます。テナーやヴァイオリンなどのソリストとの掛け合いも聴きどころです。聞きどころ:アンサンブルの中での主張の仕方、対話的即興。
Paul Whiteman時代の録音を集めた盤
なぜおすすめか:ビッグバンド編成のなかで、より“アレンジされた”音響の中でのビックスのプレイが楽しめます。商業的な側面が強い時期ですが、アレンジの面白さと彼の個性の両方を味わえます。聞きどころ:大編成とのバランス、作曲/編曲との関係性。
「Complete」や「Anthology」タイプのコンプリート盤
なぜおすすめか:時系列で彼の成長を追えるため、初学者から研究者まで幅広く重宝します。補足的なセッションノートや解説が付くことが多く、演奏背景の理解に役立ちます。聞きどころ:同一曲の異なるテイクを比較してフレージングの差や発想の変化を追う。
各レコードで注目すべき「聞きどころ」ポイント
音色(トーン):「ビックス節」と言われる透明で柔らかい音色に注目。唇・息遣いの微妙なコントロールがフレーズの感情表現につながります。
間(ブレス)とフレーズの終わり方:歌を想定したような呼吸感と、フレーズ末の余韻の取り方が特徴的です。
対話性:トランブオーケストラやヴァイオリン(Joe Venuti等)との掛け合いで、どのようにメロディを受け渡しているかを聴き比べると面白いです。
作曲的側面(ピアノ曲):和声進行や不協和音の扱いに現代的要素があり、単なる即興の枠を超えた思考が伺えます。
おすすめの聞き方(プレイリスト例)
入門:まず「Singin' the Blues」→「I'm Coming, Virginia」などの代表曲を1〜2曲。
深掘り:Wolverines期の短い演奏群→Frankie Trumbauerセッション→Paul Whiteman期の大編成、最後に「In a Mist」ピアノ録音を並べ、時期ごとの変化を追ってみる。
比較:同一曲の別テイクや別編成版があれば聴き比べる。フレーズ、テンポ、アレンジの違いからビックスの音楽的姿勢が見えてきます。
入手・エディションの選び方(ポイントのみ)
解説/ブックレットが充実したエディションは背景知識を補完してくれます。
オリジナル78回転盤の音色を尊重したリマスターと、ノイズ除去を積極的に行ったリマスターは好みによって選び分けてください(雰囲気重視か音の鮮明さ重視か)。
コンプリート盤は未発表テイクや別テイクを含むことが多いので、研究的に聴くならコンプリート系が便利です。
まとめ — まずはこの一枚
最初の一枚としては「Singin' the Blues」を含む代表的なコンピレーションか、信頼できるリマスターのコンプリート盤を推します。これらを通じて、ビックスのコルネットの歌心とピアノ作曲家としての意外な側面、そして1920年代ジャズの多様性を同時に味わうことができます。
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