Arlindo Cruz(アルリンド・クルス)— サンバとパゴージを牽引したブラジル音楽の巨匠とその軌跡
プロフィール
Arlindo Cruz(アルリンド・クルス)は、ブラジル生まれのサンバ/パゴージ(pagode)シーンを代表するミュージシャン、作曲家、歌手、そしてカヴァキーニョ奏者です。マデレイラ(Madureira、リオデジャネイロのサンバの重要拠点のひとつ)で育ち、コミュニティのサンバ文化に深く根ざした環境で音楽を学びました。1970〜80年代から活動を始め、グループ「Fundo de Quintal(フンド・ヂ・キンタール)」をはじめ多くのアーティストとの共演や楽曲提供を通じて、現代パゴージの確立と普及に大きく寄与しました。
キャリアの歩み(概略)
初期:マデレイラの「ろくろ」を中心としたサンバ文化の中で育ち、若年時からドラムやカヴァキーニョなどのリズム楽器を学ぶ。
Fundo de Quintal との関わり:パゴージの重要グループ、Fundo de Quintal の一員として多くのヒットやスタイルの確立に関わり、グループ/シーン全体に影響を与えた。
ソロ活動・作曲家としての台頭:ソロ作や他アーティストへの楽曲提供を通じて名声を確立。Zeca Pagodinho、Beth Carvalho、他多数のサンバ系アーティストと協働。
2017年の脳卒中(ストローク):2017年に脳卒中を患い、一時的に声や運動機能に影響が出ましたが、その後リハビリやコミュニティの支援により回復へ向けた取り組みが続けられています。この出来事は彼のキャリアとサンバ界への影響に対する多くの支援と注目を集めました。
音楽的特徴と魅力を深掘り
リズム感とグルーヴの核を担う存在:パゴージ/サンバは複雑なリズムの重なりが魅力ですが、アルリンドはその中心であるカヴァキーニョやパーカッションの扱いに長け、曲全体を牽引するグルーヴを作り出します。
メロディと和声のセンス:典型的なサンバのリズム感を残しつつ、都度メロディやコード進行にポップさや耳馴染みの良さを取り入れることで、幅広いリスナーに届く楽曲を生み出しています。
作詞・作曲家としての語り口:友情、日常、コミュニティの祝祭、恋愛、マランドリ(malandragem:ブラジルの伝統的な“生き方”や粋な振る舞い)など、サンバの伝統的テーマを現代的な感性で歌うことで共感を呼びます。
共演と育成への貢献:多くの若手ミュージシャンと協業し、楽曲を提供・共作することでシーンの継承に寄与。ライブではオーディエンスとのコール&レスポンスや即興的な展開で場を盛り上げる力があります。
文化的アイデンティティの体現:マデレイラをはじめリオのコミュニティに根ざした表現は、単なるエンタメにとどまらず、サンバという文化そのものを外へ発信する役割を果たしています。
代表曲・名盤(入門ガイド)
以下は、Arlindo Cruz の音楽性や影響力を理解するうえで参考になる代表的な作品や関わりの深い作品群の例です。詳細なディスコグラフィーは参考文献をご確認ください。
Fundo de Quintal 時代の作品群:グループ在籍時に関わった楽曲群は、パゴージのスタイル確立に大きく貢献しており、当時のアルバム/シングルは入門に最適です。
ソロアルバム(ライブ盤や代表作):アルリンドのソロ作品は、彼の作曲力と演奏技術、ライブでの魅力をストレートに伝えます。ライブアルバムは現場感を味わうのに向いています。
有名アーティストへの楽曲提供/共演曲:Zeca Pagodinho、Beth Carvalho などのリオのサンバ・シーンの重鎮たちとの共演や楽曲提供作は、彼の作家性を知るうえで重要です。
近年のリリースやベスト盤:時代を追って変化するアレンジやプロダクション、若手との共演などの変遷をたどるには、ベスト盤や近年の編集盤も有用です。
ライブ体験とパフォーマンスの魅力
アルリンドのライブは「参加型」の側面が強く、観客とのインタラクション、即興的なコール&レスポンス、リズム隊との駆け引きなどがライブならではの魅力です。小規模な会場での親密な空気感から大規模フェスまで、場の空気を一つにする力が強く、サンバのコミュニティ性を体感できます。
影響とレガシー
パゴージの定着と普及:1970〜2000年代にかけて、パゴージを広める立役者の一人としての地位を確立しました。コミュニティから生まれた音楽を全国、世界に発信する橋渡し役を果たしています。
後進への波及効果:作曲や共演を通じて若手につながる機会を作り、現代サンバのサウンド形成に影響を与え続けています。
文化的アイコン化:マデレイラやリオのサンバ文化を象徴する存在として、音楽に留まらない文化的な意味合いを帯びています。
聴き方の提案(入門から深堀まで)
まずはライブ音源やベスト盤で「場のノリ」を掴む:スタジオ録音だけでなく、ライブ特有の即興や観客のエネルギーに触れることで彼の本質が見えます。
Fundo de Quintal 時代の作品とソロ作を比較:グループ内での役割とソロでの表現の違いを比較すると、作曲やアレンジ上の特徴がわかりやすくなります。
共演曲を辿る:Zeca Pagodinho や Beth Carvalho などとの共演作を聴くことで、サンバ・シーン全体における彼の位置づけが把握できます。
注意点
ここで触れた代表作や年表の詳しい項目、リリース年、楽曲のクレジット等については、ディスコグラフィーの正式な資料を参照してください。特にコラボレーションや楽曲提供に関する情報は複数の出典を照合することをおすすめします。
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参考文献
- Arlindo Cruz — Wikipédia (português)
- Discogs — Arlindo Cruz(ディスコグラフィー検索)
- AllMusic — Arlindo Cruz(検索結果)
- Spotify — Arlindo Cruz(検索)
- BBC(Arlindo Cruz に関する記事検索)


