エレーナ・オブラズツォワのLPレコード徹底ガイド:カルメンからロシア歌曲まで聴きどころと盤選びのコツ
序文 — エレーナ・オブラズツォワとは
エレーナ・オブラズツォワ(Elena Obraztsova、1939–2015)は、ソビエト/ロシアを代表するメゾソプラノの一人です。豊かな中低域、劇的な表現力、舞台での存在感で知られ、特にビゼーの『カルメン』やヴェルディの主要メゾロール、ロシア・レパートリーの歌唱で高く評価されました。本稿では、レコード(LP)収集の視点から「おすすめの盤」とその聴きどころ、盤選びのポイント、聴き方の提案を中心に深掘りして解説します。
おすすめレコード(必聴リスト)
以下は、オブラズツォワの魅力をさまざまな角度で堪能できる代表的なレコード群です。盤名は「曲目/作品(役)」という形で示し、なぜ聴くべきかを解説します。
Bizet — Carmen(カルメン/タイトルロール)
理由:オブラズツォワの演技性と声の色が最もよく映える代表作。情熱的で妖艶なカルメン像を、ドラマティックかつ繊細な表現で聴かせます。舞台でも録音でも「物語を語る」歌い方が光ります。初めて彼女を聴くならここから。
Verdi — Aida(アムネリス/抜粋または全集)
理由:ヴェルディの大きなドラマに対する迫力ある立ち回りと、中低域の豊かな響きが魅力。エジプト宮廷の策謀や情念を表現する「女の強さ」を実感できます。アムネリスのアリア・二重唱などでの集中力は特筆に値します。
Verdi — Don Carlo(エボリ/抜粋)
理由:エボリはメゾの大役。内面の葛藤と高いドラマ性を声で描き出すオブラズツォワの力量がよく分かります。特に「おお、神よ…」のような名場面での表現は聴きどころです。
Russian Songs & Romances(ロシアの歌曲集) — リサイタル盤
理由:チャイコフスキー、ラフマニノフ、ロシア民謡的なレパートリーを収めたリサイタルLPは、彼女の抒情面と語りかける歌唱を楽しめます。英語圏のオペラ録音とは一味違う、母語ならではの語感と発音が魅力。
Live at the Bolshoi / Bolshoi Theatre Scenes(ボリショイ劇場でのライブ録音集)
理由:オブラズツォワは舞台人としてのキャリアが豊富。ライブ盤では即興的な表現、舞台の熱、観客との化学反応がそのまま聴けます。スタジオ録音よりも生々しい感動を求めるならライブが最適です。
コンピレーション/ベスト盤 — “The Art of Elena Obraztsova” 的な選集
理由:複数のオペラと歌曲を短時間で網羅できるため、まずは彼女の音色・表現の幅を掴むのに便利。名場面のダイジェストで「好きな役」を見つけたら、該当オペラの全集やライブに手を伸ばすと良いでしょう。
各盤の聴きどころ(より具体的に)
カルメン(オペラ):第1幕の登場、カードの場面、ハバネラでの音色の変化(低音の色気と中高域の切り返し)を注目。演技と歌が一体化する瞬間が何度も訪れます。
アムネリス/エボリ:オーケストラに負けない強い声量と、内面を語るような弱音のコントロールを比べて聴くと、ヴェルディ・メゾの魅力が分かります。
ロシア歌曲集:母語ならではの母音の伸ばし方、語尾のニュアンス、小さな語りの抑揚を味わってください。リサイタルは声の温度感がダイレクトに伝わります。
ライブ録音:拍手や舞台の空気感が入る分、瞬間の感情の強さが魅力。息づかいや表情の変化が音に現れる瞬間を聴き逃さないでください。
盤選びのポイント(LPコレクター向け)
オリジナル・メロディア(Melodiya)盤と西側リイシューの違い
メロディア原盤はソ連時代のオリジナル・テイクが残っていることが多く、歴史的価値があります。西側のDecca/EMIなどがリイシューやステレオ・リマスターを行っている盤は、音質面で現代的に聴きやすくなっている場合が多いです。音像と編集(カットの有無)を確認して選ぶと良いでしょう。スタジオ録音 vs ライブ録音
スタジオは精緻で完成度の高い演奏、ライブは迫真の表現と偶発性が魅力。どちらを重視するかで選び分けてください。コンピレーション盤の注意点
編集で曲順が入れ替わっていたり、モノラルや疑似ステレオに加工されている場合があります。解説とクレジット(録音年・会場・指揮者)をチェックしましょう。
聴き方の提案(深掘りリスニング)
一度に全集を聴くのもよいですが、まずは「名場面セッション」──例えばカルメンならハバネラ、セギディーヤ、最終幕の三重唱などを取り出して聴き比べると、表現の変遷や声のニュアンスが分かりやすいです。
役ごとに比較する聴き方も有効です。ヴェルディのエボリ/アムネリスとビゼーのカルメンを交互に聴くと、同じメゾでも求められる表現の違いが浮かび上がります。
リサイタル盤では詩の意味(特にロシア語歌曲)を調べながら聴くと、声の表情がより立体的に感じられます。
最後に — オブラズツォワの音楽的遺産
オブラズツォワの魅力は「声の個性」だけでなく、その表現の一貫性と舞台における語りの力です。LPという媒体で彼女を聴くと、録音当時の空気感や演出の意図がより身近に感じられます。気になる役や曲を見つけたら、スタジオ録音とライブ録音の両方を聴き比べることをおすすめします。
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参考文献
- エレーナ・オブラズツォワ — 日本語版ウィキペディア
- Elena Obraztsova — English Wikipedia
- AllMusic — Elena Obraztsova 検索結果
- Discogs — Elena Obraztsova(ディスコグラフィ検索)


