John Patitucciの必聴レコードガイド:名盤選と演奏的観点からの深掘り
はじめに — John Patitucciという存在
John Patitucciはモダン・ジャズの最前線で長年活躍してきたベーシスト/作曲家です。エレクトリックとアコースティックの両方で高い表現力を持ち、テクニックだけでなく即興的なメロディメイキングやアンサンブルでの応答力に優れます。本コラムでは、彼を深く知るうえで特に聴くべきレコード(リーダー作と重要な共演作)をピックアップし、音楽的な聴きどころや演奏的な見どころを解説します。
おすすめレコード(リーダー作/代表作)
Self-titled / John Patitucci(セルフタイトル・デビュー)
解説:彼のリーダー作の出発点として最適な一枚。エレクトリックとアコースティック双方のバランスが取れた編成で、Patitucci自身の作曲センスやソロとしての語り口を知ることができます。ベースを楽器としてだけでなくメロディを担う声音として使うアプローチがよくわかる作品です。
聴きどころ:バンド内での会話(コンピングとソロの相互作用)、ベースのメロディライン、楽曲ごとの色付けの多様性。
Heart of the Bass(ベース表現をさらに追求した作品)
解説:タイトル通りベースの表現に重心が置かれたアルバム。アコースティック・ピチカートやアルコ奏法、ハーモニクスなどを使った音色のバリエーションが豊富で、ベーシスト視点でも非常に学びが多い録音です。
聴きどころ:ソロの語り口、リズム・セクションとの絡み方、ベースを旋律楽器として扱う瞬間。
One More Angel(抒情性とコンテンポラリーな要素の融合)
解説:メロディ重視の楽曲が揃い、Patitucciの歌心が際立つ一枚。コード感やハーモニーの使い方が巧みで、フュージョン寄りのグルーヴとリリカルな即興が同居しています。
聴きどころ:テーマの提示と変奏の作り方、ベースとリード楽器の対話、空間を生かしたアレンジ。
重要な共演作(Patitucciのプレイを知る上で欠かせないアルバム群)
Chick Corea Elektric Band(チック・コリアとのエレクトリック・バンド作品)
解説:Patitucciの電気ベースでの超高速フレーズ、複雑なポリリズム、シンコペーションへの対応力が際立つ場面が多く、テクニカルかつエネルギッシュな演奏が楽しめます。エレクトリック・ジャズ/フュージョン的サウンドの中での役割がよく分かります。
聴きどころ:スリリングなインタープレイ、リズムの刻み方、エレクトリック・ベースの音色選択とエフェクトの使い分け。
Chick Corea Akoustic Band(チック・コリアとのアコースティック・トリオ/バンド作品)
解説:アコースティック・ベースでの温かさと即興的会話力が光る録音群。ここではPatitucciのビートメイクだけでなく、豊かな低音の歌わせ方、弓(アルコ)を用いた色彩的な表現が学べます。
聴きどころ:トリオ間のダイナミクス、伴奏とソロの切り替え、アンサンブル内での重心移動。
その他の主要な共演(著名プレイヤーとの共演作)
解説:Patitucciは多くのトップ・プレイヤー(作曲家/リーダー)のバンドに参加しており、各プロジェクトで求められる役割に柔軟に応えています。共演作を聴くことで、コンテクストに応じた彼の選択(フレーズ、音色、アーティキュレーション)を比較できます。
聴きどころ:アンサンブルでの機能的ベースプレイ、ソロ時の語り口の違い、各リーダーの音楽観に対する応答。
演奏的視点での深掘りポイント
メロディ化されたベースライン:Patitucciはベースを単なる低音補強ではなく旋律を担う楽器として使います。テーマのコピーだけでなく、対位的に動くラインや装飾的なハーモニクスを多用します。
タッチと言葉のようなフレージング:ピチカート/アルコの使い分けや、スラープを抑えた滑らかなラインなど、フレージングで“語る”ことを重視しています。
リズム感とポリリズム処理:複雑なリズム環境でもタイムキープに徹するだけでなく、ビートの分割や変拍子を自然に感じさせる処理が特徴です。
エレクトリックとアコースティックの二面性:エレキではエフェクトや指弾きのスピード感、アコースティックでは音色の温度や弓の色彩を使い分け、楽曲の文脈に合わせた音像を作ります。
聴き方の提案(プレイ指向・楽しみ方別)
ベーシストとして学びたい場合:リーダー作とアコースティック・セッション(トリオ系)を繰り返し聴く。フレーズの開始点/終端、バッキングの選択、ベースの役割転換に注目。
アンサンブル全体として楽しみたい場合:Chick Coreaとのバンド録音を聴くと、アンサンブルの中でベースがどう寄与するかが分かりやすいです。楽曲構造とベースの配置を同時に追うと面白い。
作曲的観点で聴く場合:Patitucciの作曲作はハーモニーの使い方やモチーフの展開が学びになります。テーマ提示→展開→再解釈のプロセスに注目してください。
まとめ — どこから入るべきか
初めてPatitucciに触れるなら、まずはセルフタイトルのリーダー作とChick Coreaのエレクトリック/アコースティック両方のバンド録音をセットで聴くと、彼の幅が一気に把握できます。その後、ソロ色の強い作品や共演作を時系列で追うことで、表現の変遷やより細かな技法が見えてきます。
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参考文献
John Patitucci - Official Site
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