自動火災報知設備の点検項目を徹底解説｜機器点検・総合点検の内容とチェックポイントを専門家目線で紹介
エバープレイ編集部自動火災報知設備とは
自動火災報知設備（自火報）は、建物内の火災を早期に検知し、警報を発することで避難と初期消火を促す最重要の消防設備です。
感知器・受信機・発信機・ベル・スピーカーなど、複数の機器が連動して作動します。
建築設備の中でも点検項目が多く、法令で定められた定期点検が必須です。
点検は「機器点検」と「総合点検」に分かれる
自動火災報知設備の点検は、他の消防設備と同様に以下の2種類があります。
- 機器点検（半年に1回）
- 総合点検（1年に1回）
それぞれで確認する項目が異なるため、両方の点検を確実に行う必要があります。
1. 自動火災報知設備の機器点検項目（半年に1回）
機器点検は外観確認や簡易操作が中心で、個々の機器の状態に異常がないかを確認します。
① 受信機（火災受信盤）
受信機はシステムの中枢にあたり、点検項目が多く重要です。
主な点検内容
- 電源ランプ・警報ランプの状態
- 盤内の配線の緩み・腐食
- バッテリーの電圧・交換期限
- 断線表示の有無
- 入力回路の異常表示の確認
② 感知器（煙感知器・熱感知器など）
最も数が多い機器で、異常が起きやすい部分です。
主な点検内容
- 感知器の外観破損・汚れ・腐食
- 設置位置のズレ・遮蔽物の有無
- 配線の緩み
- 感知器の経年劣化（交換基準の判断）
特に煙感知器は埃によって誤作動しやすいため、外観点検は非常に重要です。
③ 発信機（手動起動スイッチ）
非常時に人が押して警報を鳴らす装置。
主な点検内容
- 破損・ガラス部（もしくは樹脂部）の状態
- 作動レバーの固着の有無
- 表示灯の点灯確認
- 設置高さ・視認性の確認
④ 警報ベル・非常放送設備
火災発生時に警報音を鳴らす重要設備。
主な点検内容
- 機器の破損・腐食
- 音響機器の外観点検
- 必要に応じた試験放鳴（テナント調整により実施判断）
⑤ 中継器・感知区域の確認
建物が広い場合に設置される中継器も点検対象。
主な点検内容
- 動作表示ランプの確認
- 配線の緩み・腐食
- 周囲環境により電波障害がないか確認
2. 自動火災報知設備の総合点検項目（1年に1回）
総合点検では、火災を想定して設備全体が連動して作動するかを確認します。
① 感知器作動試験
実際に感知器を作動させて、受信機に信号が届くかを確認します。
- 煙感知器 → テストスモーク
- 熱感知器 → 加熱試験器
- 受信機が正しく作動・表示するかの確認
② 発信機作動試験
実際に押して警報が作動するか確認します。
- 受信機に信号が届く
- 地区表示灯が正しく点灯
- 警報ベルが鳴動
③ 警報設備の動作確認
建物全体の警報・放送設備が正常に作動するか確認。
試験内容
- ベル・スピーカーが正常に鳴るか
- 音量・音質に異常がないか
- 放送の自動切替機能の確認
④ 受信機の連動確認
設備の中枢が正常に動作しているかを総合的に評価。
- 火災信号の受信
- 障害信号の復旧
- 系統ごとの表示確認
- 複合システム（防火シャッターなど）との連動判定
⑤ 補助警報設備・誘導設備との連動確認
必要に応じて他の消防設備との連動テストも行います。
- 防火シャッターの閉鎖
- 排煙設備の起動
- 誘導灯の点滅（連動するシステムの場合）
自動火災報知設備の点検でよく見つかる不具合
- 感知器の汚れや腐食
- 配線の断線・接触不良
- 電池切れ・バッテリー劣化
- 受信機内部の基板故障
- 機器の経年劣化
- 工事後の誤配線による不作動
自火報は機器数が多いため不具合も発生しやすく、点検とメンテナンスが非常に重要です。
まとめ
自動火災報知設備は、消防設備の中で最も重要な設備のひとつであり、点検項目も多岐にわたります。
- 機器点検（半年に1回） → 外観・個別機器の状態確認
- 総合点検（年1回） → 火災を想定した本格的な連動試験
これらを確実に実施することで、火災の早期発見・避難誘導が確実に機能し、建物の安全性を大きく高めることができます。
参考文献
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