B&W 606 S2徹底ガイド：音作りから設置・相性まで深掘りレビュー

2025年12月13日 最終更新日時 : 2025年12月13日 エバープレイ編集部

概要：606 S2とは何か

Bowers & Wilkins（B&W）の606 S2は、同社の600シリーズに位置するブックシェルフ型スピーカーで、「エントリー寄りのハイエンド」を志向するモデル群の中でも代表的な存在です。コンパクトな外形を保ちながら、上位機に通じる音の明瞭さや空間描写を実現することを狙った設計で、リスニングルームの第二ペアやデスクトップオーディオ、2ch入門機として広く評価されています。

設計のポイント（技術的な観点）

606 S2はブックシェルフらしい2ウェイ構成を採用しているのが基本です。設計上の重要ポイントは以下の通りです。

  • ドライバー構成：比較的小径のトゥイーターと中低域用のコーンを組み合わせ、ボーカルやアコースティック楽器の帯域を重視した設計になっています。
  • エンクロージャー設計：コンパクトながら剛性を確保するキャビネット設計で、不要共振の低減とタイムドメインの整合性に配慮されています。
  • クロスオーバー：スムーズな帯域分割により、ドライバー間のつながりを自然に保つ工夫が施されています。これが結果として良好な位相特性と音像の安定に寄与します。

これらの要素は、同社が長年培ってきた高域の制御や中域の表現力をコンパクトなモデルに落とし込むという方針に沿ったものと言えます。

音質の特徴（実聴に基づく評価）

606 S2を実際に聴くと、いくつかの基本的な印象が共通して得られます。

  • 中域の明瞭さ：ボーカルやピアノなど中域情報が前に出てくる傾向があり、歌ものやアコースティック音源での伝達力が高いです。
  • 高域の解像感：小口径トゥイーターによる解像感があり、シンバルや弦楽器のディテールを明瞭に描きます。過剰な刺さりは少なく、長時間リスニングにも向く性格です。
  • 低域のコントロール：ブックシェルフとしては低域の伸びよりもタイトさを重視した鳴り方。小型のため深い低域は限られますが、リズムは締まりやすく音楽のテンポ感は失われにくいです。
  • ステレオイメージ：左右方向の定位がはっきり出るため、音場の厚みや奥行き表現が良好に感じられます。適切な設置でライブ感が強化されます。

設置とセッティングのコツ

ブックシェルフスピーカーは設置条件で音が大きく変わります。606 S2を最大限生かすためのポイントは次の通りです。

  • スタンドの利用：床置きよりは専用スタンドに載せ、耳の高さにツイーターを合わせると定位が安定します。スタンドは剛性と適度な床伝搬吸収のバランスが重要です。
  • 壁からの距離：後方や側面の壁近接は低域を膨らませやすいので、壁から少なくとも数十センチは離して設置するのがおすすめです。部屋の反射も含めて微調整してください。
  • トーイン（向き調整）：スピーカーを内向きに少し振る（トーイン）ことで高域の明瞭さとステレオイメージが整います。リスニングポイントでの音像が自然に感じられる角度を探しましょう。
  • サブウーファーとの併用：低域を補いたい場合はサブウーファーを併用すると良いですが、クロスオーバー周波数や位相調整を丁寧に行わないとつながりが悪くなります。

アンプやソースとの相性

606 S2の鳴り方はアンプやソースの質に敏感です。一般論としては、低歪で解像度の高いアンプと組み合わせると中高域の情報がさらに明瞭になります。具体的な指針は以下：

  • アンプ選び：クリーンで十分な電流供給能力を持つアンプが望ましいです。歪みや色付けの少ない増幅特性は606 S2の長所を引き出します。
  • ソース品質：高品質なCDやハイレゾ音源、良好なマスターを用いることで、ツイーターの描写力や中域の情報量が活かされます。ストリーミングでも高ビットレートを選びましょう。
  • ケーブル類：接続の基本は良好な接触と適切な導体。大きな差を生むことは稀ですが、確実性の高い端子処理と適切な太さを選ぶと安定します。

向いている音楽ジャンル・向かない使い方

606 S2は以下のジャンルで高い評価を得やすいです。

  • アコースティック、ジャズ、ボーカル中心の音楽：中域の明瞭さが心地よく、歌声や楽器のニュアンスをしっかり伝えます。
  • クラシックの室内楽や小編成：定位の良さと分解能で楽器の配置や響きを再現します。

一方で、重低音が重要なクラブ系のEDMや大型シネマサウンドをフルスケールで楽しみたい用途では、サブウーファーの併用やより大型のフロア型スピーカーの方が適しています。

価格帯に対する評価（コストパフォーマンス）

同価格帯には多くの選択肢がありますが、606 S2は「音楽性」と「汎用性」のバランスが良く、導入のしやすさと実用性で高いコストパフォーマンスを示します。特に初めての本格的な2ch構築や部屋がそれほど大きくない環境では満足度が高いでしょう。

長期使用とメンテナンス

エンクロージャーやドライバーは過度な湿気や直射日光を避けること、端子部の接触不良を防ぐために定期的に接点を確認することが長寿命化の基本です。また、ネットグリルは布埃が溜まりやすいので、乾いたブラシや真空掃除機の弱モードで優しく手入れしてください。

実用的な購入アドバイス

購入前には必ず自分のリスニング環境で試聴することをおすすめします。店頭試聴の際はできれば持ち込んだ音源や普段よく聴く曲を再生して、部屋と機器の相性を確認してください。また、スタンドやケーブル、アンプとのトータルコーディネートまで考慮すると導入後の満足度が高まります。

まとめ

B&W 606 S2は、コンパクトサイズながら音楽性に寄与する中高域の表現力、定位の正確さ、扱いやすい性格を兼ね備えたブックシェルフスピーカーです。深い低域を重視するリスナーにはサブウーファー併用を勧めますが、ボーカルやアコースティック中心のリスニングには非常に相性が良く、初めてハイファイを本格的に始める人にも安心して薦められるモデルです。

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