Sony HT-G700徹底レビュー:3.1chサウンドバーの音楽表現とホームシアター適性を深掘りする
序章:HT-G700とは何か
Sony HT-G700は、3.1ch構成を採用したサウンドバーで、専用のワイヤレスサブウーファーがセットになったモデルです。物理的な高さスピーカーを備えない一方で、Sonyの「Vertical Surround Engine」や「S-Force PRO Front Surround」といった音場処理技術により、Dolby AtmosやDTS:Xソースの立体感を仮想的に再現することを狙った製品です。本稿ではHT-G700の音楽再生特性に焦点を当てつつ、映画再生や設置・接続面での使い勝手、競合製品との位置付けまでを詳しく解説します。
外観・設計と物理的な特徴
HT-G700はスリムでインテリアに馴染みやすいデザインを採用しています。前面中央に明確なセンタースピーカーを備えており、セリフやボーカルの定位が安定する設計です。付属のサブウーファーはワイヤレス接続のため設置の自由度が高く、リビングの配置に合わせて低域の位置や距離を調整できます。壁掛けにも対応できる取り付け穴があるため、テレビとの連動で見た目をすっきりさせたい場合にも便利です。
主な音響技術とフォーマット対応
HT-G700はDolby AtmosやDTS:Xといったオブジェクトベースの立体音響フォーマットに対応していますが、内部的には上方反射スピーカーを持たないため、これらのフォーマットをネイティブに左右・上方に投射するわけではありません。代わりに、Vertical Surround Engineなどの信号処理で高さや奥行きを仮想的に作り出します。加えてS-Force PRO Front Surroundは前方での広がりを強調し、フロント主導の映画体験や音楽のステレオイメージを拡大する役割を果たします。
音楽再生:ジャンル別の印象
HT-G700を音楽再生で評価する際には、センタースピーカーとサブウーファーの組み合わせがポイントになります。以下にジャンル別の傾向をまとめます。
- ボーカル主体の楽曲(ポップ/ジャズ):センターの明瞭さが活き、ボーカルの定位と可聴性は高いです。中域の解像度がしっかりしているため、歌詞の聞き取りや表現のニュアンスも良好に伝わります。
- アコースティック/クラシック:広がり感を重視する楽曲ではS-Forceの効果で前方の音場が拡張され、ある程度の包囲感が得られます。ただし楽器の自然な残響や空間再現性は、フルサイズのステレオセットや上級のマルチチャンネルシステムに一歩譲ります。
- EDM/ロックなど低域が重要な楽曲:付属サブウーファーが低域を補強するため、ビートや重低音は力強く鳴ります。クオンタイズ感のある現代的な楽曲では満足度が高い一方、サブウーファーのチューニング次第でやや過剰になることもあるため、設定で音量バランスを調整することを推奨します。
立体音響(Dolby Atmos/DTS:X)の実情
HT-G700はAtmos/DTS:X信号に対応し、これらのソースを入力した場合でも仮想的な高さ方向の演出を行います。映画やライブ録音では上下の動きや天井方向からの効果音をある程度感じられ、テレビ内蔵スピーカーや通常の2.0chステレオよりは確実に立体感が増します。ただし、前方のみで再構成する方式のため、本物の上向きスピーカーを備えたハイエンド機ほどの“頭上を通るような”明確な音像の移動は期待できません。要するに、手軽にAtmos体験を拡張するには有効だが、本格的な3Dオーディオを追求するなら上位機や専用の天井/上方スピーカーを検討すべきです。
接続性と使い勝手
入力端子としてはHDMI(eARC/ARC対応の出力端子を含む)や光デジタル入力、Bluetoothによるワイヤレス再生など基本的な接続を備えます。HDMI eARC対応により、対応テレビからの高品質なオーディオ信号(Dolby Atmosなど)を損なわずに受けられる点はホームシアター用途での利便性を高めます。また、リモコンやテレビのARC/eARC連動により音量連動などの操作も容易です。初期セットアップは比較的シンプルで、サブウーファーは電源を入れると自動で本体とリンクするのが一般的です。
音質調整とリスニングモード
HT-G700はプリセットのサウンドモード(映画、音楽、ゲーム、夜間用のナイトモードなど)や、ボイス強調機能を搭載しているため、視聴コンテンツに合わせて手早く最適化できます。夜間モードは低域の圧迫を抑えつつ会話の明瞭度を保つように設計されており、近隣配慮が必要な環境でもセリフを聞き取りやすくします。音場や低域の好みは人それぞれなので、購入後はプリセットを試しつつ細かく調整するのが良いでしょう。
実際のリスニングで気をつけたい点
- 仮想的な高さ再生は部屋の形状や設置位置に影響されやすく、最良の効果を得るにはスピーカー前方に十分な反射面(天井・前方の壁)があることが望ましい。
- サブウーファーの位置で低域のレスポンスは大きく変わるため、部屋での設置場所を試して最適なバランスを探すこと。
- 音楽鑑賞を主目的とするなら、EQやボイスモードなどで中高域のバランスを調整し、楽曲のジャンルに合わせたモード選択を行うと良い。
他モデル・競合との比較
HT-G700は価格対性能比で見れば、センターの明瞭性と手軽なAtmos体験のバランスが取れたモデルです。上位のHT-Aシリーズや、天井反射を実機で行う上位のサウンドバーと比べると、空間表現のリアリティでは劣りますが、コストや設置の手軽さを重視するユーザーには現実的な選択肢です。2.1chのスピーカー構成よりもセリフ強調やフロントステージの厚みを求める場合にも向いています。
購入前のチェックポイント
- テレビがHDMI eARCをサポートしているか。対応しているとAtmosなどの高ビットレート音声が伝送可能になる。
- リビングの広さと設置場所。広い部屋では仮想の高さ表現が希薄になることがあるため、視聴距離やサブウーファーの配置を検討する。
- 音楽を重視するか映画を重視するか。ハイブリッドな用途ならHT-G700はバランスが良いが、純粋な音楽愛好家には専用のステレオセットを勧める場合もある。
総評:HT-G700はどんな人に向いているか
Sony HT-G700は、テレビの音を確実にグレードアップさせつつ、手軽にある程度の立体音響体験を得たいユーザーに適した製品です。特にドラマや映画でのセリフの明瞭化、ポップスや映画サウンドトラックの迫力ある低域再生を手軽に実現したい人に向いています。一方、音楽の厳密なハイファイ再現や、本格的な上方・後方の立体音響を求めるオーディオファンには、上位モデルや別途スピーカーを追加することを検討してもらいたいです。
導入後の具体的なセッティングアドバイス
初期設定では、テレビとの接続にHDMI(ARC/eARC)を使用すること、サブウーファーは床に直接置くか、壁と平行な位置を試すことを推奨します。部屋の反響が強い場合は、リスニング位置とスピーカーの角度を少し変えて残響を調整しましょう。音量バランスはソースごとに差があるため、映画モード・音楽モードを切り替えて最も自然に聞こえる設定を見つけてください。
まとめ
HT-G700は、コストと機能のバランスが良い3.1chサウンドバーとして、映画・音楽の両面で日常的に満足できるパフォーマンスを提供します。仮想的な立体音響処理でAtmos/DTS:Xの恩恵を手軽に体験でき、センターチャンネルによるボーカルの明瞭化や付属サブウーファーによる低域補強が魅力です。音響の追求度合いに応じて、上位機やマルチスピーカー導入の余地は残りますが、初めてサウンドバーを導入するユーザーやテレビ音質を確実に底上げしたい人には有力な選択肢となるでしょう。
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参考文献
- Sony: HT-G700 製品情報(英語)
- What Hi-Fi? Review: Sony HT-G700
- Rtings: Sony HT-G700 Review
- TechRadar: Sony HT-G700 review


