Native Instruments 完全ガイド:歴史・主要製品・サウンドデザインと選び方
概要:Native Instrumentsとは何か
Native Instruments(略称:NI)は、ソフトウェア音源、エフェクト、DJソフト、ならびにそれらと連携するハードウェアを開発するドイツの音楽テクノロジー企業です。1996年に設立されて以来、Kontakt、Reaktor、Massive、Battery、Traktor、Maschine、Kompleteシリーズなど、プロフェッショナルからホームスタジオまで幅広く使われるツールを世に送り出してきました。サンプルベースの楽器とシンセシスの両面で強みを持ち、現在の音楽制作やライブパフォーマンスのワークフローに大きな影響を与えています。
歴史と位置付け(簡潔に)
1996年の創業以降、NIはソフトウェア中心の楽器設計を進め、ハードウェアと密接に統合された製品群を構築してきました。1990年代後半から2000年代にかけてサンプラーやソフトシンセを充実させ、2010年代にはMaschineやKomplete Kontrolなど、ハードウェアとソフトの“親和性”を重視する方向へ軸足を移していきました。今日ではDAW環境で使うプラグイン群と、ライブや制作でのハードウェア統合という双方で高い評価を得ています。
主要製品とその役割
- Kontakt:高度なサンプラー/プレイヤー。商用・フリーのライブラリが膨大で、スコアリングやサウンドデザインの現場で標準的に使われています。Standaloneとプラグイン(VST/AU)で動作し、Kontakt Playerという無償版がサードパーティ製ライブラリの再生に対応します。
- Reaktor:モジュラー系の音響実験環境。モジュールを接続して独自シンセやエフェクト、分析ツールを作れます。コアレベルでのDSP開発も可能で、研究用途や先進的なサウンドデザインで支持されています。
- Massive / Massive X:ウェーブテーブル/モーフィング系シンセ。EDMやポップスで使われる太いベースやリードサウンドで有名です。
- Battery:ドラム / パーカッション専用のサンプラープラットフォーム。ヒット系ビートメイクからライブ用パッドまで対応。
- Traktor:プロ向けDJソフトウェア。タイムコード、ステム/ループ操作、エフェクトを統合し、ハードウェアコントローラと組み合わせて使われます。
- Maschine:ハード/ソフト統合型のグルーヴ制作環境。パッドベースの演奏感とサンプル管理、シーケンサー機能を持ち、ビートメイクやライブ・パフォーマンスに最適です。
- Komplete:数百に及ぶインストゥルメントとエフェクトをバンドルした製品ライン。初学者からプロまで、包含されるライブラリやシンセの幅が広いのが特徴です。
技術的特長とワークフロー
Native Instruments製品は“統合”がキーワードです。Komplete KontrolキーボードやMaschineハードウェアは、プラグイン内のパラメータやプリセットを即座にブラウズ・操作できるよう設計されており、DAWと連携したときのワークフローが非常にスムーズです。Kontaktはスクリプト言語(KSP)を用いた柔軟な挙動カスタマイズや、ラウンドロビン、ベロシティレイヤー、ストレッチ/チューニング処理など、リアリスティックな表現を可能にします。
Reaktorではモジュールを積み重ねることで独自の音源を構築でき、音響研究・アルゴリズミックコンポジション・またはユニークなFXチェーンのプロトタイプ作成に向きます。Massive系はウェーブテーブルやモジュレーションが充実しており、現代的なサウンドを短時間で作れる点が魅力です。
NKS(Native Kontrol Standard)とサードパーティ連携
NIはNKSという規格を通してサードパーティのライブラリやプラグインを自社ハードウェアに統合する仕組みを提供しています。これにより、Komplete KontrolやMaschineのハードウェア上で他社音源のプリセットブラウズやパラメータ操作がシームレスに行えます。結果として、ユーザーは膨大なライブラリを一貫した操作体系で利用でき、作業効率が上がります。
サウンドデザインにおける実践的ポイント
- Kontaktでのレイヤー構築:複数のサンプルを重ねてEQやコンボリューション、ディテール用のスクリプトで表現力を拡張。
- Maschineでの即興シーケンス:パッド演奏を録音→スライス→パターン化という手順でアイデア出しを高速化。
- Reaktorでのマクロ設計:小さなモジュールを組み合わせ、独自のモジュレーションソースを作ると既存のプリセットとの差別化が可能。
ハードウェア戦略とライブ利用
NIのハードウェアはソフトの“見える化”を重視しています。Komplete KontrolキーやMaschineのディスプレイ/ノブ配置はプラグインのパラメータを直感的に操作できるように調整されており、ライブセットの信頼性も高いです。Traktor KontrolシリーズはDJセットでのテンポ、ループ、キュー操作をハードウェアから直接行えます。
サードパーティ・コミュニティと市場エコシステム
Kontaktエコシステムはサードパーティのライブラリ開発者が多数存在する点が大きな強みです。映画・ゲーム向けの高度なサウンドライブラリ、専門的な民族楽器や効果音集など、多岐にわたる音素材が市場に流通しており、これらはKontakt Player上で動作するため、ユーザーは高品質な音を比較的容易に導入できます。
選び方:用途別の推奨
- ビートメイク中心:Maschine + Komplete(またはBattery)で即戦力を確保。
- 映画・ゲーム音楽:Kontaktベースのオーケストラ/FXライブラリとReaktorで音作り。
- ライブDJ:Traktor + Traktor Kontrolハードウェア。
- 先端的なサウンドデザイン:Reaktorでプロトタイピング、Kontaktでライブラリ化。
ビジネス的側面と業界への影響
NIはソフトウェア販売、バンドルパッケージ戦略、ハードウェア販売という三本柱で収益を上げてきました。プラットフォームとしての地位を築いたことで、多数のライブラリ開発者や教育機関がNIの製品を採用し、音楽制作の標準化に寄与しています。また、NKSのようなオープンではない規格を通じてエコシステムを強固にしつつ、ユーザーに統一された操作体験を提供している点も特徴です。
注意点・デメリット
- 学習コスト:KontaktやReaktorは高機能ゆえに習熟に時間がかかる。
- ライブラリ依存:多くの高品質ライブラリは別途購入が必要で、投資がかさむ。
- プラットフォーム依存:ハードウェアとの親和性が高い反面、他社製品との混在で最適化が必要になる場合がある。
まとめ:なぜNative Instrumentsを選ぶか
Native Instrumentsは、プロダクションとライブの両面で高い汎用性を持つツール群を提供します。豊富な音源、強力なサンプラー技術、ハードウェアとの密接な統合、そして広範なサードパーティ・エコシステム。これらは、クリエイティブな音楽制作を効率的かつ表現豊かにするための礎となります。用途に応じて主要製品を組み合わせることで、初心者からプロまで幅広い制作ニーズに応えられる点が最大の強みです。
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参考文献
- Native Instruments 公式サイト
- Native Instruments - Wikipedia
- Kontakt 製品ページ(Native Instruments)
- Komplete 製品ページ(Native Instruments)
- Maschine 製品ページ(Native Instruments)
- Traktor 製品ページ(Native Instruments)
- Sound on Sound(レビュー・解説記事検索)


