ADAM T5V 徹底ガイド:設計・音質・使いこなし方を詳解
概要 — ADAM T5Vとは
ADAM AudioのT5Vは、比較的手頃な価格帯で提供される2ウェイ・アクティブ・ニアフィールド・モニタースピーカーです。小規模なホームスタジオや作曲・編集作業、モバイル環境でのリファレンス用として高い評価を受けており、ADAMを象徴するリボン型ツイーターのエッセンスをより普及価格帯で体験できるモデルとして位置づけられています。
主要仕様(メーカー公表値)
以下は製品ページ等に記載されている基本的な仕様の要約です。正確な数値や最新ファームウェア情報、バリエーションは必ずメーカーの製品ページで確認してください。
- 構成:2ウェイ・アクティブ・モニター
- ウーファー:5インチ(コーン素材はポリプロピレン等の複合材)
- ツイーター:ADAMのリボン型ツイーター技術(U-ART/X-ART系の薄膜リボン)を採用
- エンクロージャー:フロントバスレフ(ポートは前面に配置)
- 周波数特性:メーカー公称の範囲は低域側が40–50Hz付近、上限は20kHz~25kHz程度(モデル個体差あり)
- 入力:XLRおよびRCAなどのアナログ入力(機種/ロットにより差異あり)
設計思想とドライバー構成
T5Vは「小口径ウーファー+リボン・ツイーター」という組み合わせで、解像度と定位感を重視した音作りをしています。特にリボン・ツイーターは高域の位相特性とトランジェント応答に優れ、ソースのディテールや空気感を自然に描き出す傾向があります。前面バスレフ設計は、リスニングルームでスピーカーを壁際に近づけて使用する際に低域の扱いが比較的扱いやすい点も特徴です。
音質の特徴(実用的な観点)
実際のリスニングで多くのユーザーが指摘するポイントは以下の通りです。
- 中高域の解像度が高く、アコースティック楽器やボーカルのニュアンスが出やすい。
- 低域は5インチウーファーの物理的限界があり、サブウーファー併用でフルレンジのモニタリングを行うのが理想的。
- 定位(ステレオイメージ)は明瞭で、ミックスのパンニング判断や細かな定位調整に有利。
- 音色はフラット志向だが、リボンの持つやや繊細なハイエンドの出方により、ソースの高域ノイズや過剰なシンバル録音が目立つことがある。
設置・チューニングのコツ
アクティブ・モニターで良好なパフォーマンスを引き出すには、以下の点が重要です。
- リスニング位置とスピーカーの三角形を等辺三角形にする(リスナーと左右スピーカーの距離を等しく)。
- ツイーター高さを耳の高さに合わせる。T5Vのような小型モニターはスタンドを使うことで最適化できる。
- 前面バスレフの恩恵を活かすため、背面を壁に近づけすぎない。壁からの距離で低域の膨らみが変わるので、微調整しながら低域のバランスを取る。
- 部屋の音響処理(吸音・拡散)を導入することで、特に中低域の不確定さを改善できる。サブウーファーを追加する場合はクロスオーバー周波数と位相合わせを慎重に行う。
計測と現実的な期待値
メーカー公称の周波数特性やSPLはあくまで測定環境に依存します。実際の部屋では定在波や反射で低域が変動しやすいため、耳だけで判断する前に簡易測定(スマホアプリ+測定マイク、またはRTAソフト)で特性を確認することをおすすめします。必要に応じてDAWやオーディオインターフェイス側で補正を行うと良いでしょう。
他モデル・競合との比較
T5Vは価格帯における「解像度と中高域の自然さ」が強みで、同クラスのコンパクト・モニター(例:KRK Rokit 5、Yamaha HS5、JBL 305Pなど)と比べると高域の透明感や音像の繊細さで差別化されます。一方で、低域の厚みやSPLの面では7インチ級のモニターやサブウーファー併用の構成に及びません。用途に応じてT7Vなど上位の7インチモデルや別途サブウーファーを検討すると良いでしょう。
実務での使いどころ
- 打ち込みやアレンジ、ボーカル編集など細かい中高域の判断が必要な作業に適する。
- ミックスの最終判断では、必ず複数の再生環境(ヘッドホン、カーオーディオ、スマートフォン)でもチェックすることが重要。
- ポッドキャストやナレーション編集、YouTubeコンテンツ制作などでも、声の明瞭さを重視する用途に向いている。
アクセサリ・周辺機器の提案
より良い結果を得るための組み合わせ例:
- モニタースタンド:ツイーター高さを耳の高さに合わせる専用スタンド
- アイソレーションパッド:スタンド上やデスク上での不要な共振を抑える
- サブウーファー:低域を補うためのサブウーファー(クロスオーバーと位相調整必須)
- 測定マイク/ルームチューニングソフト:定量的な補正に有効
よくある質問(FAQ)
Q. T5Vだけでプロミックスは可能か?
A. 小型モニターとしては十分に高精度ですが、低域の情報が不足しがちなので、ラージスピーカーやサブウーファー、複数の再生系での最終確認を推奨します。
Q. リボンツイーターは壊れやすい?
A. リボン型は繊細な設計ではありますが、ADAMは堅牢化した設計を施しています。ただし高音量での過負荷や物理的な衝撃は避けるべきです。
総評 — 誰に向いているか
ADAM T5Vは「限られた予算で中高域の情報量と定位の明瞭さを重視するユーザー」に非常にマッチします。ホームスタジオやモバイル用途で高い解像度を求めるクリエイター、音の微細な差を重視するミキシング段階でのモニターとして有力な選択肢です。ただし、低域の再現性を重要視する場合はサブウーファーの追加や、より大口径のモデルを検討してください。
エバープレイの中古レコード通販ショップ
エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っております。
是非一度ご覧ください。

また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery
参考文献
- ADAM Audio - T5V(公式製品ページ)
- Sound On Sound - Review: ADAM Audio T5V
- MusicRadar - ADAM T5V review
- RTINGS.com(モニタースピーカー比較・レビューの参考)
投稿者プロフィール
最新の投稿
用語2025.12.21全音符を徹底解説:表記・歴史・演奏実務から制作・MIDIへの応用まで
用語2025.12.21二分音符(ミニム)のすべて:記譜・歴史・実用解説と演奏での扱い方
用語2025.12.21四分音符を徹底解説:記譜法・拍子・演奏法・歴史までわかるガイド
用語2025.12.21八分音符の完全ガイド — 理論・記譜・演奏テクニックと練習法

