Bose QuietComfort 35 IIを徹底解説:音質・ノイズキャンセリング・実用テクニックまで
はじめに
Bose QuietComfort 35 II(以下QC35 II)は、2017年に登場したワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホンの代表機種です。発売当初から快適な装着感と高いノイズキャンセリング(ANC: Active Noise Cancellation)性能で高評価を受け、モバイルリスニングや出張・通勤用途で広く使われてきました。本コラムでは、設計・音質・ANCの挙動・接続性・音声アシスタント連携・実用的な使い方・購入時の注意点まで、事実に基づいて深掘りします。
設計と装着感
QC35 IIのデザインはQC35を踏襲したオーバーイヤー型で、イヤーカップとヘッドバンドにソフトなクッションが入っています。長時間の使用でも耳周りに過度な圧力をかけないよう考えられた設計で、装着感の良さは本モデルの大きな強みです。折りたたみ機構と専用ケースが付属し、携行性も確保されています。
- 素材感:プラスチック主体だが表面処理が丁寧で高級感がある。
- 重量:実測で約234g(公称値に近い)と、長時間の装着でも重さが気になりにくい。
- パッシブ遮音:イヤーカップの密閉性も高く、ANCをオフにしても一定の遮音効果がある。
ノイズキャンセリング(ANC)の実力
BoseのANCは長年の研究成果に基づくもので、QC35 IIでも低域のノイズ低減に強みを見せます。飛行機のエンジン音や列車の低周波ノイズの抑制が得意で、外音を自然に削ぎ落としつつ、音楽の聞き取りを妨げない調整がされています。高域の人の声や突発音に対しては完全に消せるわけではありませんが、かなり聞きやすくなります。
QC35 IIは専用の物理ボタンでANCのオン/オフや外音取り込み(パッシブ+透過的なモード)を切替可能。飛行機内やカフェなど使用シーンに応じて手早く切り替えられる点が使い勝手の良さに繋がっています。
音質の特徴
Bose伝統のサウンドは「聴きやすさ」を重視したチューニングです。低域は存在感がありながらも締まりが良く、ポップスやEDMなどで気持ちよく鳴らします。中域はボーカルが前に出て聞き取りやすく、ロックやポップスではボーカル主体のミックスと相性が良いです。一方で、ハイファイ的な精緻なディテール再生や定位の厳密さを求めるオーディオマニア向けではなく、あくまで日常や移動中に心地よく聴ける“実用的な音”を目指した設計です。
有線接続(付属の3.5mmケーブル使用)でも再生可能で、Bluetooth接続時は主にSBC/AACなどの一般的なコーデックを使用します。ハイレゾ再生やaptX/LDACといった高ビットレートコーデックには対応しないため、音質を最優先するリスナーはその点を考慮してください。
通話・マイク性能
通話やボイスチャットでのマイク性能は実用上十分で、屋内や静かな場所での会話は安定しています。ただし風の強い屋外や騒音の多い環境では風切り音や周囲雑音が入ることがあるため、プロユースの通話用マイク代替とまでは言い切れません。オンライン会議や電話用途に使う場合は、環境に応じて注意が必要です。
バッテリーと接続性
QC35 IIはワイヤレスでの連続再生時間が公称で最大約20時間(ANCオン時)とされ、1日~数日の出張や通勤で十分な持ちです。充電はmicro-USBポートを使い、短時間の急速充電(15分程度)で数時間分の再生時間を確保できるとされています。完全放電時からの満充電に要する時間はメーカー値に準じますが、実使用では使用状況やバッテリーの経年により変動します。
Bluetoothは安定しており、マルチポイント接続(2台同時接続)に対応しているため、スマートフォンとPCを同時に接続して使い分けることが可能です。ペアリング・ファームウェア管理には「Bose Connect」アプリが便利で、アシスタントの設定変更やアップデートが可能です。
音声アシスタントとアクションボタン
QC35 IIの大きな特徴の一つが“アクションボタン”です。リリース当初はGoogleアシスタントとの連携を大きく打ち出し、ボタン一つでアシスタントを呼び出して音声操作ができます。Alexaやその他の音声アシスタントの利用にも対応し、Bose Connectアプリから設定を行えます。普段からスマートフォンのハンズフリー操作を多用するユーザーには便利な機能です。
ライバル機との比較
QC35 IIの競合としては、ソニーのWH-1000XM3(後にXM4、XM5)やSennheiserの人気モデルなどが挙げられます。総じて言えるのは次の点です。
- ノイズキャンセリング:静粛性での評価はソニーWH-1000XM3がやや上回るとの評価が多いが、QC35 IIは自然さと長時間装着時の疲れにくさで支持される。
- 音質:フラット志向で精密さを求めるなら他社に軍配が上がる場合もあるが、QC35 IIのバランスは多くのリスナーにとって心地よい。
- 機能性:QC35 IIはアシスタントの操作性が優れる一方、後継機(QC45等)はUSB-C充電や更なるANC改善を実現しており、最新機能を求めるなら後継機の検討も必要。
実用的な使い方・設定のコツ
- ANCを最大限活かす場面:長距離フライトや列車移動など低域ノイズが強い環境で特に効果を発揮します。
- 音楽ジャンル別の向き不向き:ポップス、ロック、ポッドキャストやオーディオブックには非常に合うチューニング。クラシックや繊細なジャズではもう少し解像感のある機種を好むリスナーもいます。
- 通話時:風の強い場所では風防や建物内に移動してから通話するなど工夫を。マイク性能は完全無欠ではありません。
- ファームウェア更新:Bose Connectアプリで定期的に更新を確認しましょう。性能向上やバグ修正が配信されることがあります。
メンテナンスと注意点
QC35 IIはイヤーパッドやヘッドバンドのパッドが消耗します。長期間使用する場合はパッド交換や清掃を行うと長持ちします。バッテリーは内蔵型で簡単に交換できないため、長年の使用で持続時間が短くなった場合は公式のサービス窓口でバッテリー交換を相談することをおすすめします。
また、充電ポートはmicro-USB(USB-AtoMicro-B)であるため、USB-Cしか持たない最新デバイス中心の環境ではケーブルの管理に注意が必要です。なお、QC35 IIは公式には既に生産終了・後継モデルが出ているため新品在庫は限られることがあります。
購入を検討する人へのアドバイス
QC35 IIは「快適さ」や「自然なノイズキャンセリング」、「日常使いでの扱いやすさ」を優先する人に向いています。最新の最高性能(例:最新のANCアルゴリズム、USB-C充電、高ビットレートコーデック)を求めるなら後継機(Bose QC45など)や他社の新モデルを検討してください。一方、リーズナブルな価格で信頼性の高いANCヘッドホンを手に入れたい場合、中古市場やセール品のQC35 IIはコストパフォーマンスが良い選択肢です。
まとめ
Bose QuietComfort 35 IIはリリースから年月が経ってもなお、快適性と扱いやすさ、日常的に頼れるノイズキャンセリング性能で根強い支持を受けるモデルです。音質は多くのリスナーにとって満足できるバランスで、ポータブル用途での実用性が高い一台。最新機能を追うか、信頼性と快適性を重視するかで評価が分かれますが、QC35 IIは“日常を静かに、快適にする”道具として今も有用です。
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参考文献
- Bose - QuietComfort 35 Wireless II(公式製品ページ)
- The Verge review: Bose QuietComfort 35 II
- Rtings - Bose QuietComfort 35 II Review
- SoundGuys - Bose QC35 II Review
- CNET - Bose QuietComfort 35 II review
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