Canon EOS 5D Mark IV 徹底解説:性能・実写・運用テクニックと評価ポイント
イントロダクション — 5Dシリーズの系譜とMark IVの位置づけ
Canon EOS 5D Mark IV(以下5D4)は、2016年8月に発表されたフルサイズ一眼レフのプロフェッショナル/ハイアマチュア向けモデルです。30.4メガピクセルのセンサーやDual Pixel CMOS AF、4K動画対応など、静止画・動画双方での実用性を高めたバランス型のボディとして登場しました。従来の5Dシリーズが持つ堅牢なボディと信頼性を踏襲しつつ、最新のAFや処理エンジンを導入しており、報道、ポートレート、イベント、ウェディング、セミプロの風景撮影など幅広い用途に適しています。
主な仕様ハイライト(要点)
- 有効画素数:約30.4メガピクセル(フルサイズ CMOS センサー)
- 画像処理エンジン:DIGIC 6+
- AF:61点AFシステム(クロスセンサー多数、41点がクロス等)
- 連写性能:最高約7コマ/秒(JPEG/RAW)
- 感度:常用ISO 100–32000、拡張で50–102400相当
- 動画:4K(4096×2160)/30p・24p対応、フルHDは最大60p、Dual Pixel CMOS AF対応(Live View/一部動画)
- 液晶:3.2型 タッチパネル(約162万ドット)
- 記録媒体:CFカードスロット+SD(UHS-I)スロット
- 通信・位置情報:Wi‑Fi、NFC、内蔵GPS
- バッテリー:LP‑E6N(BG‑E20グリップ装着で縦位置操作や予備電池運用可)
- 本体重量:約890g(バッテリー、カード含む)
- 発売時のメーカー想定価格(ボディ):米国で約US$3,499(参考)
画質・センサーの特徴と画作り
30.4MPのフルサイズセンサーは画素密度と高感度耐性のバランスが良く、等倍でのディテールも十分に得られます。DIGIC 6+ のノイズ処理により、標準感度域では階調・色再現が自然で、シャドウ部の持ち上げにも比較的強い印象です。ポートレートや商業撮影では、解像感と滑らかな肌の階調の両立が実用的に設計されています。
RAW現像時のワークフローでは、Canonの色再現(特にスキントーン)が好まれるため、商業用途やウェディングでの採用例が多いです。また、カメラ内での補正に加え、Canon純正のDigital Photo Professional(DPP)でDual Pixel RAWデータを活用することで、マイクロな後処理(ピントシフトやゴースト低減など)も可能になります。
オートフォーカス(AF)性能と実戦での挙動
5D4は61点測距の高度なAFシステムを備え、クロスセンサーを多用することで横縦双方のエッジを捉えやすく設計されています。動体追従やスポーツ撮影のハイエンド仕様には及ばないものの、報道・イベント・ポートレートでの実用性能は高く、中央部のフォーカス精度と演算性能は信頼できます。
Live Viewや動画撮影時にはDual Pixel CMOS AFが機能し、スムーズで自然なフォーカス移動を実現します。ただし、4K記録時は従来のLive View/Full HDとは異なる動作となるため、4K撮影でのAF挙動・制約については事前に確認しておく必要があります。
動画機能の実用性と注意点
5D4は4K(4096×2160)/30pに対応し、静止画への性能と同時に動画制作にも注力したモデルです。ただし、4K撮影時はセンサーの中央をクロップして撮像する方式のため、フルフレームの広角画角をそのまま得られない点に留意してください(実効的に画角が狭くなります)。また、4KはMotion JPEG(巨大ファイル)での記録形式を採るなど、編集ワークフロー/記録媒体の速度や容量への配慮が必要です。
一方、Full HD(1080p)ではDual Pixel AFが活用でき、滑らかな被写界深度制御とフォーカス追従を期待できます。インタビューやイベント撮影、短尺のプロモーション映像などでは高い実用性を示します。
操作性・堅牢性・機材運用
5Dシリーズらしい堅牢なマグネシウム合金ボディを採用し、ある程度の防塵防滴構造を持っています。グリップ形状やボタン配列は実戦を意識しており、長時間の運用でも疲れにくい設計です。タッチ対応の3.2インチ液晶はメニュー操作やライブビューのピント合わせで便利です。
カードスロットがCFとSDの2系統ある点は、デュアルカード運用(バックアップ記録やRAW/JPEG分割)に便利です。ただしSD側はUHS‑Iまでの対応なので、超高速連写や巨大な4Kファイル運用ではカード選びに注意しましょう。
強み・活きる用途
- ポートレート・結婚式撮影:肌の階調表現と実用的な高画素で出力に余裕。
- 報道・イベント:堅牢性と信頼性、内蔵GPS/Wi‑Fiによる運用のしやすさ。
- 商業撮影:十分な解像度と色再現性で広告ワークにも対応可能。
- 動画制作(短〜中尺):Full HDでのDual Pixel AFが強力。
弱点・留意点
- 4K撮影時のクロップと記録形式(ファイルサイズ)の扱いに注意が必要。
- 競合するミラーレス(IBIS付き高解像度機)に比べると動画・高感度での最新機能面で劣る場面もある。
- 本体サイズと重量は長時間ハンドヘルド撮影で負担となる可能性がある。
実践的な撮影テクニック(設定例付き)
ポートレート(屋外・日陰):絞り優先モード、f/2.8〜f/4、ISO 100–400、シャッタースピードは被写体のブレを考慮して1/200秒以上を目安。目に合わせてAFを中央1点→リcomposeでもよいが、被写体が動く場合はゾーンAFや1点AFで追従を意識する。
イベント(室内・動きあり):マニュアル露出やシャッタースピード優先で1/250~1/500秒、絞りはf/2.8–f/5.6、ISOは状況に応じて1600–6400。連写7fpsを活かして決定的瞬間を拾う。RAWで撮っておき、ホワイトバランスと階調はポスト処理で詰めるのが堅実。
風景(三脚使用):ISO 100、絞りは被写界深度とレンズ性能を鑑みてf/8–f/11、低速シャッターで解像を最大化。30MPを活かし、トリミングや大判出力にも対応。
レンズ選びとアクセサリ
5D4はEFマウントなので、既存のEFレンズ資産を活用できます。ポートレートではLレンズの85mm f/1.2、70–200mm f/2.8が定番。イベントや報道では24–70mm f/2.8が万能です。風景では広角ズーム(16–35mm)や高解像の単焦点を組み合わせると良い結果が出ます。
アクセサリでは高速CFカード(UDMA対応)や大容量バッテリー、予備カード/バッテリー、外部マイクやNDフィルター(動画や屋外撮影)を揃えると運用が安定します。
保守・運用上の注意
- 撮影後はボディとレンズの接点を乾いた布で拭き、定期的にセンサークリーニング(必要なら専門店)を行う。
- 長期使用での防塵防滴性は完全ではないため、悪天候での撮影時は雨具や保護カバーを使用する。
- ファームウェアはCanon公式から最新を入手し、カードやバッテリーの互換・信頼性を確保する。
競合機との比較(概略)
発表当時、Sonyのα7R IIやNikon D810などが主要な競合でした。α7R IIはボディ内手ブレ補正(IBIS)や高い高感度性能・ミラーレスの利点を持ち、D810はより高画素(36MP)でスタジオ向けの解像性能を重視していました。5D4は画素数・AF性能・動画機能のバランスを重視した“オールラウンダー”として差別化されています。
まとめ:誰に向いているか
Canon EOS 5D Mark IVは、堅牢性と信頼性、実戦的なAF・画質を求めるプロフェッショナルやハイアマチュアにとって非常に実用的な選択肢です。特に報道、ウェディング、ポートレート、商業撮影など、現場での汎用性を重視するユーザーにマッチします。最新ミラーレス機の台頭で選択肢は増えましたが、EFレンズ資産を持つユーザーや光学ファインダーの操作感を重視する人には今なお有益な機材です。
参考文献
Canon EOS 5D Mark IV 製品ページ(Canon USA)
DPReview: Canon EOS 5D Mark IV Review
Imaging Resource: Canon EOS 5D Mark IV Review
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